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チャラ軽いのに重い? EXIT・兼近、“本当に刺さる”コメント力

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    EXIT・兼近

 EXIT・兼近大樹が、『ワイドナショー』(5月17日放送、フジテレビ系)に初出演し、チャラ男キャラを前面に出しながらも、視聴者に響く名言を残し反響を巻き起こした。SNS上でも「本当に頭がいい」、「聞く気になる言葉選びがうまい」というコメントが飛び交い、芸人として「お笑い第7世代」のど真ん中をひた走りつつ、若年層の代弁者的な立ち位置も形成しつつある。なぜ彼の言葉は権力者や専門家よりも若者に深く刺さるのか?

「チャラ男がニュース番組!?」と懐疑的な声が…チャラさ全開で時事を切る“腕っぷし”で称賛に変化

 『ワイドナショー』への出演時、兼近はスーツ姿で登場すると「よく僕を呼びましたね」と自虐をかまし、ダウンタウン・松本人志に「よく来たな」と激励(!?)された。もちろん兼近は、ニュース番組という“大舞台”でも「(ニュースや新聞は)好きで見てるわけではないというか、やっぱ女性のことを考えてるほうが楽しいんで」と“チャラさ”全開で視聴者の期待に応えていた。

 称賛が集まったのは、緊急事態宣言が39県で解除された話題(※放送当時)で「解除よりも緩和という意識を」と呼びかけたシーン。続けて、「『パーティーだ!』ってなったら、また陽性が出る。そうなってほしくない」と、自身のキャラに徹した若者言葉を使用しつつ、さまざまな経済的事情を抱える人たちの存在も考慮し、経済活動と自粛を両立させる必要性があるという“まっとうな意見”を伝えた。

 また、「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグをつけてツイートしたきゃりーぱみゅぱみゅが炎上した話題を取り上げたところで兼近は「むずいんですけど、勉強していないと参加したらいけないというのが政治じゃない」、「これを見た若い人が、やっぱり政治に参加したらこういう嫌な思いをするんだな。大人からこういうこと言われるんだ、って衰退していくのがなんかダリーっすね」という私見も。

 同番組には、松本のほかにも泉谷しげる、指原莉乃といったご意見番たちが並んでおり、兼近はある種の大抜擢のようにも見えたが、求められるポジションを素早く汲み取って発言するという頭の回転の良さと嗅覚の鋭さに、SNSでは「兼近、ニュース番組でもコメント力がある!」「たしかにそうだと兼近の言葉で気づいた!」と盛り上がりを見せた。

TPOに応じたワードチョイス&チャラさという強力なオブラートで“伝わる”

 政治や社会情勢、時事ネタなどは、難しく語れば語るほど、「難しい」「よくわからない」などと敬遠する人も一定数いる。どんなに詳しい識者が専門的に話したところで、そういった層には響かないのである。兼近は専門家でもなければ詳しくもないが、自分の言葉が刺さる層を理解し、チャラい表現でオブラートに包みながら、“伝わる言葉”のチョイスができていると言えるだろう。

 それを裏付けたのが先日EXITが出演した『めざましテレビ』(フジテレビ系)で披露したリモート漫才でのエピソード。相方・りんたろーが台本を書いた、リモート中継ならではの“ずれる”感を取り入れたネタは、“間”が大事な漫才芸においてある種の発明であり秀逸だったが、その後YouTubeで公開したアフタートークで「台本で足りないかな〜と思った言葉を、兼近がアドリブで足してくれてより良くなった」と相方から“兼近リスペクト”のコメントがあった。それに対し兼近は、「気づかなかった。流れを汲んで伝わるようにやっただけ」と謙遜していたが、その状況に応じての“伝わる言葉”と“伝わる流れ”を瞬時に理解している証拠だ。

素直さと嘘のない言葉が裏付ける圧倒的な“後輩力”

 諸先輩芸人を前にしながら臆することなく、チャラさ全開で場を盛り上げられる兼近は、明石家さんまを「おしゃべりシーフードパイセン」、東野幸治を「坊主のびかけ兄やん」、俳優の柄本佑には「コンビニ夜勤バイトリーダー」とあだ名をつける。ちょっとヒヤッとするような内容でも、ポジティブで嫌味がないからか、大御所中の大御所・オール巨人をしても「面白い」と言わしめる。ストレートに発言する”後輩力”が魅力となっているようだ。

 そもそもあだ名づけは、有吉弘行や滝沢カレンが先にブレイクしているが、ワンワードで納得させる頭の回転の早さに加え、笑える皮肉が許されるキャラと胆力も必要。先輩たちにも物おじしない発言や、どこか憎めないところがあり、“いい感じの愛され後輩芸人”としてのポジションを確立できているのも、彼の素直さを裏付けることができているのではないだろうか。

 そんな兼近に暗い影を落としたのが、昨年9月に『週刊文春』で報じられた過去の逮捕歴。ただ兼近は当時(2011年)未成年であり、すでに罰金刑も科されて、兼近自身も素直に事実を認め、法律違反を美談にする気はないとはっきりとコメント。逆に、「未成年時代、しかも8年前の事件を今さら蒸し返すのか」と、文春側への非難の声も挙がったくらいであり、それほどのバッシングが起きることもなかった。
 しかし、自身が曜日MCを務めるAbemaのニュース番組『ABEMAPrime』に出演した際は、デマの温床として問題になったトレンドブログに対し、「僕の場合は、やっぱり過去にいろいろ問題を抱えているので。サイト側は事実に基づいたウソを載っけるので、一部の事実とともにウソがまるごと全部信じられてしまう。実際には全然身に覚えがなかったり、ありえない情報までをも全員が信じて。それが拡散されていくので、ちょっと怖い。ほぼ9割ウソだなってこともある」として、過去の事件を“無かったこと”にはせず、さらには“当事者”だからこそ語れる率直な言葉で警鐘を鳴らす。


 そして今、“事件前”をはるかにしのぐ勢いで芸能界を席巻しつつある兼近。その背景には、生真面目すぎても伝わらない、でも軽いだけでは伝わらない…というバランスを見極め、今、若者に刺さる“軽いけれど重たい言葉”としての発言力を持っていることは間違いない。29歳のチャラい若者に対して、今後も浴びせられる“偏見”や“常識の押しつけ”なども、決めフレーズ「ポンポ〜ン」ではないが、兼近大樹は軽〜く乗り越えていくに違いない。

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