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「お茶の間に愛されることが仕事じゃない」宇垣美里が掲げる、フリーアナとしての現在地
自粛期間は読書や映画鑑賞、仕事に対して「不安はなかったですね」
「はい、本質的には何も変わっていないです」
――芸能、エンタメのお仕事をしていると、少なからずコロナの影響を受けた方も多いと思います。宇垣さんはいかがでしたか?
「少なくともラジオはインフラなのでずっとありましたし、いくつか連載のお仕事もさせていただいていて、締め切りもあって。もちろん撮影の仕事などはストップしていたので、仕事量は減っていたと思うんですが、その期間は、今まで時間がなくてなかなか読めていなかった“積ん読”していた本を読んだり、観たいけど観られていなかった映画とかを観たりして。自粛期間はあっという間でした。」
――ご自身の糧になった?
「そうですね。今までありがたいことに忙しくさせていただいていて、どうしても時間がなくて、インプットが足りないというのが自分の中の課題としてあり、そこにある種の焦りもありました。ようやくいくつか読んだり観たりして、取り入れることができたのは、良い時間だったなと思っています」
――広い意味でエンタメのお仕事は、コロナ禍や災害時には優先順位の高くないものとされてしまうこともありますが、そうした不安はありませんでしたか。
「不安はなかったですね。もちろんテレビの作り方や出演者の人数など、変わっていくところもあると思うんですが、それはそれで順応すれば良いだけ、仕事のかたちが変わったら、また新しい道を見つければ良いだけなので。私の力でどうにもならないことに不安になることには、何のメリットも感じないんです」
――当時のインタビューでは「自分が振り返ったときに『ダサっ!』って思うようなことはしたくない」とおっしゃっていたのが印象的でした。そうした価値基準も変わらず?
「はい。振り返ったときに、子どもの頃の自分や、何か選択する前の自分が『他の道に行けばよかった』と思うようなことはしたくない。それが選んだ道に対する責任でもありますし、選ばなかった将来に報いるためにも、いかに今の選択肢を大事にするかが大切だと思います。後悔することは、無駄なので」
自分を貫くよりも「”ブレたな”と思うことのほうがしんどい」
「あまりないですね。お仕事のなかで『ああすればよかった…』っていう後悔や反省はあります。それには意味があると思うし、それをしないと人は成長しませんから、大事にはしています。でも、例えば『アナウンサーにならなければ良かった』とか『フリーにならなければ良かった』とか考えるのは、その当時決断した自分に対してとても失礼なことだと思うし、その決断を後押しして下さった方たちに『ああ、止めれば良かった』と思わせてしまうのは、心苦しいので。心が弱くなるようなことが、私の感情の中にあったとしても、それを拾い上げることはないですね」
――「自分を貫く」ことって、実は非常に大変で、エネルギーの要ることだと思います。
「私は少なくとも『あ、ブレたな』とか、自分の思うカッコいい人の振る舞いができなかったなと思うことのほうがしんどいので、自分を貫くことが大変だと思ったことはないです。私の生きやすいように生きていたら、こうなったという感じですかね」
――アナウンサーの方には、マスの視線を気にされる方も多いかと思います。好感度などを一つの軸として語られることも多いですが、そういった役割についてどう思いますか。
「テレビを観ている方に不愉快な思いをさせてしまったり、ニュースが頭に入ってこなかったりするようなことがあっては良くないと思います。そこはTPOに合わせなければいけないと思うんですが、かといって決してお茶の間に愛されることがアナウンサーの仕事じゃなくて、あくまでもニュースを伝えることや、番組を進行すること、MCの方のお手伝いをすることなどがアナウンサーの仕事だと思っています」