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柚希礼音が考える“本当にかっこいい”男役 元トップスターが語る忘れられない宝塚歌劇

ビデオに“横線”が出るほど研究、姿月あさとさんが演じたホセ

――それでは、柚希さんが観劇されて印象深かった宝塚作品についても、お聞かせください。
柚希礼音『激情 −ホセとカルメン−』(1999年)ですね。宙組で姿月あさと(しづき・あさと/宙組初代トップスター)さんと花總まり(はなふさ・まり/宙組初代トップ娘役)さんが役に入り込んで、素晴らしい吸引力で演じていらっしゃったし、柴田侑宏先生の脚本も謝珠栄先生の演出も素晴らしかった。

最後は舞台一面の黄色い花が咲く中でカルメン(花總さん)が立っているところにホセ(姿月さん)が歩いていくんですが、大劇場で観たその絵面が美しくて。宝塚の作品はセットも衣裳も含めて、すべてが素晴らしいなと思いましたね。

――それほど感動した作品を、柚希さんは全国ツアー公演(2010年)で演じられましたね。
柚希礼音初演を見たときの感動も大きいし、画面に“横線”が出るくらい何度もビデオを見続けました。ずんこさん(姿月さん)が演じたドン・ホセは、自分の仕事を辞めてまで、カルメンにすがりついていく。決してカッコいい役ではないと思うけれど、母性本能をくすぐった。

それをなんとかして取り入れたいと思って、どんなに真似をしても追いつかないけれど、ずんこさんのように素敵に見えるにはどうしたらいいんだろうと一生懸命研究しましたね。究極まで人を愛することが素敵に見えるんだろうなと思いました。

宝塚の男役がファンの心をとらえるのは、「女性が考える男」だから

――柚希礼音さんが2015年5月に宝塚を退団されて5年。今改めて感じる宝塚の魅力や独自性は、どんなところにあると思いますか。
柚希礼音演者が女性だけの劇団で、男役がいることが宝塚独自のものであり、魅力につながっていると思います。

――男役が演じている男性像が、女性ファンの心をとらえるのはどうしてだと思いますか。
柚希礼音やっぱり、女性が考える男だからでしょうね。映画や舞台でいろんな男性の役を研究して「ああ、こうやったら女性はうれしいのに」と女性心をもって演じることができるから、素敵な男性像が作れるんじゃないかという気がします。

はじめのうちは、歩き方もお酒の飲み方もぎこちないところから始まるんです。でも、ぎこちないところを通らないと先はないので。とにかく上級生の男役の演技を見て、韓流ドラマや映画などで「素敵」と言われている俳優を見て、ひたすら研究しましたね。

――宝塚の舞台を観るとき、後輩のタカラジェンヌたちはどう見えていますか? 例えば「かわいいな」と思うのか、「頑張ってるな」と思うのか……?
柚希礼音お客様と同じ目線で感動して観ているときもあります。舞台って出演者がどんな姿勢でこの作品に向かって、どんな稽古期間を過ごしてきたか、丸裸に見えるものなんですよ。「あ、この子、何か立ち止まっている気がする」という子にはちょっと声をかけたりもします。

新人公演で自分の役を演じていた子がトップスターになるときにはより良くなってほしいから、衣装の着こなし方など「ここはこうした方がいい」と具体的に伝えることもありますね。

あとは、ラインダンス。宝塚ではラインダンスに出演するのは下級生というイメージがありますが、「海外のレビューではラインダンスに出演するのは選ばれし人たちなんだからね」と、在団中からずっと言っていたんです。だから観に行くときは、ラインダンスがどうなっているか目を光らせ(笑)、気になるところがあるときは組長さんか新人公演の最高学年の人に伝えたりします。

――退団後もそこまで見ているなんて、愛情がないとできないことですよね。
柚希礼音私たちもそういうふうに教わり、つなげていただいたので。時代と共に変わっていく部分がありながらも、永遠に失くしてはいけない宝塚の良さというものがあると思うんです。100年以上続き、先輩方が大事にしてきたところはちゃんと受け継いでいくべきかなと思いますね。

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