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棋士歴20年、カツラ芸10年…将棋界盛り上げる佐藤紳哉七段、「藤井棋聖に勝ってカツラを取りたい」
傷つく人を心配、でも「薄毛の方は堂々としている方が格好いい」
佐藤紳哉 “ハゲ”だけに…ですか?
――やはり薄毛の方へのエールもあるのでしょうか。
佐藤紳哉 それはないんです。ハゲで笑わせるというのはハゲを笑うことでもある。それで傷つく人もいるんじゃないかということは、とても気になっているところで。でも「励まされた」という声を頂くことも確かにあるんですよ。個人的には、薄毛の方は、堂々としている方が格好いいと思っています。
――堂々とすることで、より女性ファンも増えたのでは?
佐藤紳哉 露出が増えると、女性ファンから声をかけられることも増えます。ですが、「格好いい」「素敵」といった感じではないですね。まるで、珍しい生き物を見るような…そんな感じなんだと思います。
藤井棋聖は確かに天才、「でも、カツラ芸に関しては、僕に一日の長があります」
佐藤紳哉 例えば「神のような一手」という言葉が出たら、その「神(かみ)」に反応して外そう…とか、イメージの中ではいろいろ考えるのですが、大事なところで噛んじゃったり、なかなか上達しないんです。自宅でも、よりアクロバティックな外し方を模索しているのですが…。3年前、藤井聡太くんの29連勝で将棋が盛り上がってテレビに呼ばれることも増え、なんとか面白くしなくてはと思い悩んだ時期もあったんです。ですが、考えてもできないものはできない。だから今はできる範囲で気楽にやれたらいいなと。
――将棋より難しい世界かもしれない、と。
佐藤紳哉 いや難しいですよ。藤井聡太くんもね、これ(カツラ芸)はうまくできないですよ。カツラ外しに関しては、僕に一日の長があります。将棋では挑戦する立場ですが。
――昨今では見た目至上主義やルッキズムが話題になっています。佐藤七段のお考えは?
佐藤紳哉 「ハゲ」のほか「チビ」や「デブ」という言葉も見られますが、その人たちが格好悪いんじゃなくて、そういう人たちに「チビ」「デブ」「ハゲ」と言う人の方が格好悪いと僕は思うんです。とは言え、それに対して「言うな」と強く言い過ぎるのは、この問題を触れちゃいけない、タブーの世界に持ってきているようで、じゃあ僕はタブーなのかという話になる。僕はいじられたいんです。ですから、それも“個性”と認められる世界になって、自分でも堂々とできるようになればいいなと感じます。