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「映画に裏切られたことは一度もない、信じているので」永瀬正敏が映画界の”未来”に関わる理由

 公開延期・撮影遅延が相次ぐ映画コンテンツのなかで「観終わってからしばらく動けなかった」「心に突き刺さる」と反響を集める新作映画がある。永瀬正敏が主演する『二人ノ世界』だ。学生主体の製作チームに永瀬が単身で乗り込み撮影をして、6年の歳月をかけてこの度公開となった。映画畑で俳優としての道を探求してきた永瀬に、市場の縮小が懸念される映画界の現状を聞くと、ピリリと一言。「僕は、映画に裏切られたことは一度もない。映画を信じているので、映画界については心配していません」と映画の“未来”をとらえる答えが返ってきた。

二足、三足のわらじを履く学生たちに「僕のほうが学ぶことがありました」

――主演映画『二人ノ世界』が撮影から6年の時を経て、公開されました。当時、学生だった制作チームに参加することを決めた理由は、何だったのでしょうか。

永瀬正敏(以下 永瀬):一部の映画界の人達の中で「すごい脚本がある」と話題になっていて。プロデューサーさんに「読んでみて」と言われたんですが、確かにすごい脚本だったこと。もう一つは、「学生たち主体で撮りたい」と言われたことですね。学生たちは僕たちにとって“映画界の未来”ですから。未来といち早く仕事ができるのは光栄だなと思い、演じさせていただきました。

――学生チームとの作品作りは、通常の撮影と勝手が違う部分も多かったのでは。

永瀬:圧倒的に違うのは、みんな二足も三足ものわらじを履いていること。女優で出ながら、出番が終わるとパッと着替えて現場で演出部に参加したり。長い間映画の仕事をさせてもらっていると、悪い意味で心の中に“垢みたいなもの”がついてしまう部分もあるんですが、彼ら彼女らの作品への純粋な向き合い方や、作品を作り上げようとする強い思いに触れることで、僕のほうが学ぶことが多々ありました。

――永瀬さんが今回演じられたのは、頚髄損傷で首から下の自由を失った…という役柄でしたね。顔だけ、後ろ姿だけなど、体の一部だけの演技を必要とされるところもありましたが。

永瀬:難しかったですよ。お芝居は自己中心的にやりきるものではなく、相手の方とキャッチボールをしていくものですから。体の向きをちょっと変えるだけでも、キャッチボールが成立するんですよ。例えば、全盲のヘルパーを演じた土居(志央梨)さんとのシーンで、彼女がつまずいたとき、手を差し伸べるだけで、そのときに出るのが「ありがとう」なのか「余計なことしないで」なのか、そこで感情が出せるわけなんです。でも、僕の役では、それが一切できない。ストレスはたまりましたが、実際にこういう障害を持つ方はいらっしゃるわけで、僕はお芝居の上でやっているけど、実際にはそれが生活なんだという皆さんの実情や思いを常に抱えて、現場にいなければならないと思っていました。
――役作りでアドバイスをいただいた方も?

永瀬:最初はケアのお仕事をしている男性にアドバイスをいただきました。あと事故で全身麻痺になられてしまった女性にも現場に来ていただいて、色んなお話を聞かせていただいて。まだ若く可愛らしい女性なんですが、ニコニコ笑ってお話しされている中で、「でも、明日はまた生きたいと思うかわかんないですし」とか、ふとしたときにズシンとくる一言を言われるんです。前向きに生きなきゃという気持ちはもちろんあるけど、ふとしたときに出る感情は闇の部分で。心に抑え込んでいる本音があるのだろうと。

――作品ではどこまでも続く闇の中で最後に見つける小さな光が描かれますが、コロナ禍の現代と通じるものがありますね。

永瀬:本当はもっと早く公開したかったんですが…奇しくもこのような大変な時期になりました。この作品で描かれている主題が今の時代にも通じるものがある気がしています。

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