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「映画に裏切られたことは一度もない、信じているので」永瀬正敏が映画界の”未来”に関わる理由

「組ならではの共通体験があった」映画界における監督と俳優の絆

――永瀬さんの原点といえば、相米慎二監督の『ションベン・ライダー』ですよね。相米監督はどんな存在ですか。

永瀬:僕にとってはでかすぎる存在。悔しいけど、一生好きな人です(笑)。僕、相米さんに一回もOKをもらっていないんですよ。「まあそんなもんだろう」が一番良かった評価で。役者としては相米さんにいつかOKと言わせることが目標だったけど、相米のおやじのほうが先に逝ってしまったので、僕は一生追っかけていくんだろうと思います。

――映画のクルーを「〇〇組」と呼んで「『〇〇組』で仕事してみたい」という目標を持ったり、そこで師弟関係が築かれたりすることはよくあります。永瀬さんご自身は、若手の頃と今とで変化を感じるところもありますか。

永瀬:今は、ほぼ年下の監督と仕事することばかりなので、ちょっと居心地が悪いんですよ。監督が現場でいちばん偉い人なのに、“さん”付けで呼ばれるから(笑)。僕の原点である相米組でいうと、あの組を経験した役者同士で、言葉にならない強い絆を感じることはあります。柄本明さんや佐藤浩市さんとご一緒させていただくときは嬉しいですし、「相米さんだと、ここで雨降るよね」とかボソッと誰かが言うこともあります(笑)。相米監督はポイントで雨をバっと降らせるので。そういう相米組ならではの共通体験はたくさんありますね。

――『あん』『光』『Vision』など、河瀬直美監督の作品にも多数出演されていますが、河瀬組も独特な作り方をしますよね。

永瀬:河瀬さんは、相米さんとちょっと似ているところがありますよ。どちらも長回しですし、余計な芝居をさせない。いま振り返ると、相米さんは3日間リハーサルだけで終わったこともありますし。当時でも大人の事情を考えると、周りからいろいろ言われていただろうに、僕らの気持ちが出来上がるまで待ってくれていたんです。河瀬監督もそうで、「この役を生きてください。芝居は一切いりません」と言われる。映画って、ドキュメンタリーじゃない限りは嘘なんですよね。でも、嘘の上にもう一個嘘を重ねると、お客さんにバレてしまうから、嘘を重ねちゃいけないというのが河瀬さんの考え方で、僕もずっと同じ思いでした。

 ほぼ順撮りなので、気持ちが自然に入っていきますし、撮影開始数週間前から、その役が住んでいる家に実際に住んで、自分で必要なモノを買い、生活する。そうすることで、血肉になり、その役を生きられるんです。順撮りは撮影効率は悪いんですよ。でも、それよりも大事なものがあるでしょ?と。役者にとっては、とてもありがたく、お芝居の原点に帰れる現場です。

※河瀬直美監督の”瀬”は旧字体が正式表記

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