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「在宅ナレーター」が副業の選択肢に 動画コンテンツ増加で需要高まる

 コロナ禍の外出規制によって動画コンテンツ投稿者が増えている。そんな中、動画でお金を稼ぐとなれば、自身のチャンネルを登録者数や再生時間を増やすことが必要だ。しかし、YouTuberのように自分のチャンネルはなくとも、依頼された動画や広告に声をあてる「在宅ナレーター」という職種が現在注目を集めている。スタジオで高価な機材を使い録音をしているかと思いきや、実は自宅で行なっている人も。テレワークに注目が集まる今、実際に「在宅ナレーター」をしている2人へ仕事内容やきっかけ、収入について聞いた。

本業ナレーターからパート主婦まで…いつも見ているあの動画の声の主だった?

 新型コロナウイルス感染拡大により、解雇や倒産などで収入減を案ずる声も相次いでいる。政府や各自治体では支援策を用意しているが、在宅で出来る仕事を探したり、未経験から新しいことにチャレンジしたいと思っている人など、個々での動きもみられる。

 小学生のなりたい職業にも選ばれるYouTuberもその一つ。誰でも簡単に動画を配信できるため、一般人のみならず、芸能人や著名人も続々と参入している。そんな動画配信コンテンツの収入源でもある、動画内に流れる広告。流し見してしまうことも多いが、この動画広告こそ「在宅ナレーター」が担当した場合があるという。依頼された動画に自宅で音声を録音し納品している。

 サラリーマンをしながら、元々の夢だったナレーター業を副業として在宅ではじめた明後日キララさん。クラウドソーシングサイトを使い仕事を受けたことをきっかけに、今では会社を辞めてフリーランスでナレーターやエンジニアなどの仕事を幅広く受けている。「実力者には敵わないと思い声の仕事を諦めていた」という明後日さんだったが、実績を積み重ねナレーターが本業の1つとなった。現在、在宅で一番多い案件は、YouTube広告の音声だという。

 主婦が自分のスキルを活かし「在宅ナレーター」になるケースもある。7歳と3歳の母・むとうまきこさんは「夫の勤め先の都合で、転勤することになるかも…」と、転勤族の妻として何ができるのか悩み、自宅でナレーターを始めた。舞台での芝居経験があった彼女は、滑舌や表現力を存分に発揮。現在は平日の日中にフルタイムで会社員として働き、子どもが寝た後にWEBメディア内のドキュメンタリー番組や、企業案件をこなしている。

初心者OK&スキマ時間にできるメリットも…気になる報酬は?

 副業として「在宅ナレーター」になるには、機材をそろえなければならない。パソコンとマイクは必須だが、クライアントの要望に合わせてノイズを除去できる編集用ソフトが必要になることも。そうなると設備投資の面で初心者には難しそうだが、「最初は安いもの・フリーソフトでとりあえず始め、収入のめどがある程度たってから機材を充実させていきました」と、むとうさん。初期費用をあまりかけず、まず初めてみるという行動力も大切のようだ。

 まったくツテのない状態で仕事を受けるには、まずクラウドソーシングサイトでナレーター案件を見つけて応募することが「在宅ナレーター」への近道だという。サイトを使えば初心者向け案件を探すことができる上に、報酬を確実に受け取れるのでトラブルが起こりにくい。手数料はかかってしまうが、仕事の実績がわかりやすく次の仕事にもつながるケースがある。

 明後日さんが初めて受けた仕事は、海外の手品師の紹介動画で10分の音声が50円程度。むとうさんはLINE動画で1人2役を演じる仕事だった。最近では、クライアントから直で仕事をもらっていて報酬金額が30万円を超える月もあるそうだ。

 「在宅ナレーター」のメリットは、「少し頑張れば誰でも始められるし案件も比較的取りやすい。自分のライフスタイルに合わせて仕事のボリュームや時間を調整できる」と明後日さん。むとうさんにデメリットを聞くと「誰でもできる案件はその分ライバルも多く、単価が低いところ」だという。スタジオ録音の案件と比べて宅録(自宅録音)は単価が低めで、いい仕事をこなすには機材への投資も必要となる。最初から大金が稼げると思わずに始める方が良さそうだ。

コロナ禍でYouTubeコンテンツは増加 単価は低いがモチベーションは

 コロナの影響もあり、参入者とともに動画コンテンツも比例して増加。本数が増えれば、その分「在宅ナレーター」への受注も集まっているという。クラウドソーシングサイトで単価の高い案件が出ると、家事や育児の合間で仕事をしたい主婦や、コロナで仕事時間が減った人などからの応募が殺到。ワーキングマザーのむとうさんも、仕事はコロナ禍前と比べて2倍ほど受けているそうだ。

 価格帯や内容を選ばなければ、誰でも始められる「在宅ナレーター」。需要はあるが単価の幅もあり、仕事として続ける上でモチベーションを保つにはどうしているのだろうか。会社員であり2児の母、むとうさんは「声を出すことがストレス発散になるということと、やればやった分だけ報酬という見える形で返ってくるところはモチベーションにつながっています」と話す。日中の仕事を効率的に行ない、夜はナレーターの仕事に専念する、という生活のメリハリも生まれたという。

 明後日さんは「自分の声が役に立っているという実感が私のエネルギー源です」と自信をのぞかせる。脱サラし、目指した夢。「自分なんてナレーターになれるわけがない」とあきらめかけたこともあった。しかし、納品した際に技術や音質への評価の言葉が、次の仕事への活力につながっているという。一方で「有名な方も実際は他のお仕事も並行している場合がほとんどです」と、ナレーター業だけでの生活していく厳しさも教えてくれた。

 最後に、今後の目標をたずねると「『とりあえずあいつに頼もうか』と言ってもらえるナレーターになりたい」(明後日さん)、「これまで通りお仕事をいただける状態を維持することと…これはおそらくスタジオ収録になりますが、テレビCMのナレーションを担当することが直近の目標です」(むとうさん)とそれぞれ語ってくれた。

 始めてすぐには結果がでないもどかしさもあるが、自分のライフスタイルを保ちながら経験を積み、実績が報酬となりモチベーションにつながる“究極のテレワーク”でもある「在宅ナレーター」。自分の声が人気動画の合間から聞こえてくるかもしれないと思うと夢のある仕事だ。

明後日キララさんの声のお仕事を公開!

PROFILE
明後日キララ
脱サラをして夢だったナレーターと声優の道へ入る
Twitter @hitsuji_kaitai(外部サイト)

むとうまきこ
会社員&2児の母であり、在宅で声の仕事もこなす
Twitter @narrator_Komaki(外部サイト)

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