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「タイムリープがバレた?」大喜利を生かした作者に聞く4コマ漫画の魅力

  • 代表作「タイムリープ」1コマ目

    代表作「タイムリープ」1コマ目

 様々な題材にオチをつけた“大喜利4コマ漫画”が人気を集めているあくまでクマさん(@akmd_kuma)。日常の「あるあるネタ」や「ベタな設定」を違った角度から見たり、意外なネタを組み合わせたりといった手法で自らにお題を出し、それに回答する形で4コマ漫画のアイデアを生み出しているという。普段は会社員で「大喜利が趣味」というあくまでクマさんに、作品の作り方や、これからの目標などについてたっぷり語ってもらった。

大喜利の回答を漫画に「読み手が行間を読むことも4コマの魅力のひとつ」

――漫画を描き始めたきっかけを教えてください。

【あくまでクマさん】以前はパソコンで曲を作る、いわゆるDTM(デスクトップミュージック)をずっとやってました。SNSに投稿する活動を何年かしていましたが、なかなか再生回数が伸びなかったので、違うことをやってみようと前々から興味があった漫画制作に着手したのが3年前です。絵をきちんと描いたことがなかったので、まったくの初心者からのスタートでした。

――なぜ4コマのギャグ漫画だったのでしょうか?

【あくまでクマさん】はじめはSFやミステリーなど様々なジャンルの短編漫画を描こうとしていたんですが、ネームを描き終えると満足してしまうので、きちんと一つの作品として仕上げようと思い、4コマ漫画を描くようになりました。それと、大喜利ができるサイトで投稿や採点をすることにハマっていたので、その回答を漫画にしたいという気持ちもあったと思います。SNS上の大喜利や、実際に集まる大喜利会には今も参加しています。

――自らの作風にテーマを設けるとしたら何ですか?

【あくまでクマさん】さまざまなものを題材にした“大喜利4コマ”だと考えています。大喜利の面白さは、意外な着眼点からの発想や、それを上手く伝える言葉選びだと僕は思っているので、それが4コマ漫画にも活かせているかなと。ネタ作りは描きたいと思う題材を見つけるところから始まります。ここ最近は「あるある」だったり「ベタな設定」が多いですね。それを「違った視点で見られないか」「意外性のあるものと組み合わせられないか」という風に考えていきます。自分でお題を選んで回答を考える大喜利に近いですね。

  • Twitterでは、カルタのような形式でお題を出すことも

    Twitterでは、カルタのような形式でお題を出すことも

――最近はTwitter上でお題を出されていますね。どんなことを意識して出していますか?

【あくまでクマさん】お題を出し始めたのは今年に入ってからなのですが、僕自身が回答したくなるような「面白そうなシチュエーション」をお題にしています。漫画を作るときにもそうしたお題を考えているので、それを活かせればと思っています。

――自身の作品性が最も現れている作品はどれですか?

【あくまでクマさん】『タイムリープ』という作品かなと思います。後半は大喜利のような展開になっているのが特徴的です。この作品のように、ストーリー性を持ちつつ、大喜利のようなオチのある作品を作りたいという気持ちが強いですね。

――4コマという限られたコマ数で物語を表現するのは大変ではないですか?

【あくまでクマさん】たしかに描き始めたころは大変でしたね。僕はストーリーを4コマに収めるために、シーンやセリフを上手く省く必要があるという考えで作っています。省いたことで読む人が「こういうことだろうな」と想像力で補ってくれるのではないかと思ってます。そういった行間を読むことが4コマの魅力のひとつのなのかもしれません。描き始めた頃はそこがかなり手探りでしたが、今は直感に頼っていますね。

――生みの苦しみを感じることはありますか?

【あくまでクマさん】アイデアを思いついた後、それをどのように4コマ漫画に落とし込むかに苦労することが多いです。例えば、『露天風呂』という作品は“メデューサ”と見ざる聞かざる言わざるの“三猿”と組み合わせるのが面白いかな、というアイデアが始まりだったのですが、どうしても「出オチ」になってしまい、ストーリーをつくるのに苦労しました。今でも「設定は思いついたけど漫画に出来ない」ということがあり、まだまだ苦労しています。

4コマ漫画は、ちょっとした思いつきでさまざまな作品を生み出せる表現方法

――SNSで作品を公開するメリットとデメリットを教えてください。

【あくまでクマさん】メリットは、さまざまな人に読んでもらえること、いいねやコメントがもらえるところです。その結果を次の作品に活かそうという気持ちになれます。デメリットは読んでもらった瞬間の反応が直接見られないところ。同人誌即売会に出展したことがありますが、自分の描いた漫画を手に取って読んでくれた人が笑ったのを直に見た時は、やはり心に響きました。これはSNSだけでは得られない喜びだと思います。

――SNSで作品を公開するうえで、気を付けているポイントはありますか?

【あくまでクマさん】公開する漫画は前回公開した作品とは違うタイプのネタにしようと考えてますね。例えば僕自身がゲーム好きなので、そのタイプのネタを作りたくなってしまうのですが、表現の幅を広げたほうがいいかなと思うので、できるだけ色々なタイプの作品を作るようにしてますね。

――漫画を1本作るのに、どれくらい時間がかかりますか?

【あくまでクマさん】ネタを思いつくまでは数分〜3日などかなりバラバラですが、描き上げるのは集中力が続く90分ぐらいにしています。その後、少し時間を置いて読み直したり、修正を入れたりして公開します。公開するペースは、週2本くらいを目安に考えています。間が空いてしまうと、今までどうやって漫画を描いていたかという感覚を忘れてしまいそうな気がしてしまうので、ちょっとした4コマ漫画でも良いので、できる限り定期的に描くようにしています。

  • 「水」の1コマ目

    「水」の1コマ目

――これまでに一番反響があった4コマを教えてください。支持を集めた理由は何だと思いますか?

【あくまでクマさん】『水』という作品です。1h4d(SNS上で、“1時間を目安に、お題に沿ったオリジナル4コマ漫画を描いて投稿する”というテーマで開かれている会)で描いた漫画で、今のところ一番多く“いいね”がついたと思います。マヌケナナマケモノ(@ManukeNamake1)さんのようなフォロワーが多い方から反応をいただいた影響が大きいかなと思います。4コマ目にちょっとした小ネタを仕込んでいるので、そこに気づくとさらに楽しい作品です。

――フォロワーからのコメントは気になりますか?フォロワーの反応で思い出深いものはありますか?

【あくまでクマさん】コメントを頂く機会は少ないので、コメントがあればいつもチェックしてますね。
今のアカウントは大学生の頃から使っているものなのですが、大学の友人たちと集まったときに「4コマ漫画読んでるよ」と言われたのが意外でした。結婚している友人からは「奥さんにも読ませていて、いくつかウケてる」と言われたことも。自分の漫画が家庭に笑顔をもたらしているんだなと、勝手ながら思っています。

――あくまでクマさんにとって、4コマ漫画とは?

【あくまでクマさん】ちょっとした思いつきでさまざまな作品を生み出せる表現方法だと思っています。作曲をしていたときは、なかなか完成にたどり着かない大変さがありましたが、4コマ漫画は思いつきである程度作品として形になる部分があるので、多くの題材を取り扱ってみたいと考えている僕にはとてもよい表現方法だと思います。

――これからの目標について教えてください。

【あくまでクマさん】最近少しずつフォロワー数が増えてきたので、さらに読者を増やしていきたいです。そのためにも定期的に漫画を描い続けたいですし、もっと色々な絵が描けるようになっていきたいですね。大喜利のほうも頑張ります。
あくまでクマさんTwitter:@akmd_kuma

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