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『全裸監督』“ラグビー後藤”役からオファー続々 肉体派俳優・後藤剛範が歩んできた道とは
長い下積み期間 『全裸監督』出演のきっかけとは
「同世代は銀行員や外資系企業、独立して社長業など稼ぎが多い奴が多くて、周りからは『演劇って何すんの?』ぐらいに思われてましたね。舞台だけで食っていけなかったので、居酒屋とか、体格を活かしてセキュリティのアルバイトをしたりして。セキュリティに関しては、いまも会社に所属しているんです。でも、注意した相手が仕事で知っている人の可能性も出てくるので、気まずくなりそうだなと(笑)」
周囲の出世を聞くたびに、自分だけ取り残されていく感覚はあった。それでも、野田秀樹、三浦大輔ら著名演出家の舞台、テレビドラマの端役など、着実に歩は進めていた。『全裸監督』への出演きっかけは、オーディションに参加したことだったが、後に劇場での活躍を見ていた人たちからの推薦があったことを知った。
「めっちゃ嬉しかったですね。話をもらってからオーディションまで時間があったので、めちゃくちゃ筋トレしてパンプアップさせて行ったんですよ。これまでのベンチプレスを更新するぐらい張り切ったらプロレスラーと遜色ない体型になっちゃって『もうちょっと体小さくできる?』と言われました(笑)」
ラグビー後藤は「俺がやるべき役」
「そもそも、ひとつの連ドラに長く出るのが初めてだったのに、いきなりNetflix制作だし、最初の撮影場所がハワイだったんですよ。プライベートでも行ったことないっす(笑)。撮影の仕方、スタッフさんの立ち回りとか何もかもが初めてづくしで、ずっとふわふわした気分でしたね。共演した山田(孝之)さんや玉山(鉄二)さんは、最初クールで怖かったんですけど、途中からすごいイジってくれて、チームの一員として自覚できて。ハワイは2週間ほど滞在していたんですが、休憩中も役者同士が集まって、演技論というよりは他愛のない話ばかりをしていました。作品の空気感って、演技だけじゃ補えない部分が自分はあると思っていて。『全裸監督』ではそのオフの良い関係性が出ていたと思っています」
ラグビー後藤は、村西とおるが立ち上げた「サファイア映像」にやってきた社会人ラグビー出身の肉体派男優という設定。裸になって女性との絡みを撮影されるなど、なかなか覚悟のいる役どころに感じる。
「以前にも舞台で『チョコボール後藤』っていう設定をやったことがあるので、そこまででもなかったです(笑)。そもそもAV男優も、視聴者のために体一つで魅せているわけじゃないですか。そういう尊敬があったんで、ラグビー後藤という役も『俺がやるべき役だ!』っていう気持ちでしたね。モデルになった方の映像も見ましたし、他の作品も演技を中心にずっと見ていて。全裸監督が終わってしばらくはAVをまともに見れないっていうか、緊張するようになりましたね」