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前田敦子、一番のハマり役?『伝説のお母さん』無理ゲーの連続に“あっちゃん推し”再燃

  • ドラマ『伝説のお母さん』(NHK総合)主演の前田敦子 (写真:石川咲希/Pash) (C)oricon ME inc.

    ドラマ『伝説のお母さん』(NHK総合)主演の前田敦子 (写真:石川咲希/Pash) (C)oricon ME inc.

 前田敦子主演ドラマ『伝説のお母さん』(NHK総合)が放送されるたび、SNS上で様々な意見が飛び交い、盛り上がりを見せている。“待機児童”や“ワンオペ育児”といった社会問題をRPGの世界観に見立てて描いた本作は、母になった前田にとっての連ドラ復帰作。そうした本人の“現在地”とのリンクもあって、SNSでは“無理ゲー”続出の育児に対して、「旦那、一発殴っていい?」「あっちゃん頑張れが止まらん!」などと前田敦子を援護射撃するコメントが続出している。しかも、かつて魔王を倒した伝説の魔法使いの主人公像と、かつてAKB48でセンターを務めた前田というアイドル像が重なることもあり、再び“あっちゃん推し”ユーザーが生まれるという珍現象までも起こっているのだ。

「子育てを後回しにした人類の負け」社会派子育て風刺ドラマがRPGの世界に

 『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』『腐女子、うっかりゲイに告る。』『だから私は推しました』など、毎度「攻めてる」と言われる意欲作を連発しているNHK土曜の「よるドラ」枠。今クールのドラマ『伝説のお母さん』は、かつて魔王を倒した伝説の魔法使い・メイ(前田敦子)が主人公だ。魔王が復活したことにより、再び魔王討伐を国王から命じられるが、現在は8ヵ月の子の育児中で、夫・モブ(玉置玲央)は頼りなく、遠方にいる実家の母も頼れず、悪戦苦闘……。役所に行っても、待機児童が100名いて、職員には「子育てを後回しにした人類の負けですね。大人しく滅びましょう」「1つだけあります、優先的に保育所に入る方法。ご主人を殺してください……冗談です」と、冗談ともとれない辛辣なアドバイスをされる始末だ。

 さらに、メイを魔王討伐に行かせようとする国王の差し金により、無職になった夫・モブは快く「専業主夫」を受け入れるが、「おしっこならまだいいけど、うんちのオムツ替えるの、男にはハードルたけえだろ?」という理由でオムツも替えず、ヘッドフォンをしたままゲームに夢中、「子育てとか、無理でしょ。俺、向いてない」と言ってのける。挙句、罪悪感ゼロの爽やかな笑顔で言うのだ。「やっぱ考えたんだけどさー、仕事はお前じゃなくても良いじゃん。でもさ、子育てはさ、絶対に男親じゃなくて、母親のほうが良いと思うんだよ。母親のかわりは、誰にもできないだろ?」

 育児を取り巻く環境と「ワンオペ育児」のリアルさは、実社会における“無理ゲー”続きの育児の実態をうつすようで、風刺の効いた社会派ドラマとなっている。一方で、ドット絵により、RPGの世界観で描くことで、懐かしさやコミカルさを与えているのも特徴だ。

リンクする主人公・メイと元AKB48・前田敦子、再び「応援したい」対象へ

 そんなドラマに主演するのが、元AKB48の前田敦子だ。前田と言えば2005年にAKB48初期メンバーに選ばれると、グループの飛躍とともに“あっちゃん”として親しまれていく。AKB48 グループ全盛期を牽引した立役者であり、総選挙における彼女の魂のスピーチ「私のことは嫌いでもっ、AKB48のことは嫌いにならないでくださいっ!」というフレーズは、AKB48の、さらには女子アイドルブームを象徴する名台詞となった。彼女自身に対する好き嫌いは分かれるものの、背負ってきた重圧や積み重ねた努力は、多くの人が認めるところだろう。

 そして、2012年に卒業すると、ソロとなり女優業を主軸に活動。18年に俳優の勝地涼と結婚し、現在は1児の母となっている。母になってからの前田の女優業として、特に印象深いのは、昨年6月に公開された黒沢清監督の映画『旅のおわり世界のはじまり』での主演だ。前田は、取材のためにウズベキスタンを訪れたテレビ番組のレポーター・葉子を演じていたが、スタッフとも異国の人々とも交流せず、誰にも頼らず、心を開かず、恋人にすら本音を隠し、心の内は明かさない。カメラの前ではスタッフの要求に笑顔で応じ、“無理ゲー”も根性で乗り切り、プロ意識を見せるが、常に焦りや苛立ちを感じている。華奢な身体に秘めた熱い思いや気丈さ、一生懸命さ、頑固さ、不器用さ、青臭さを持ちつつ、自分の夢を追いかける姿は、そのまんま「アイドル・あっちゃん」と重なり、観る者の心を強く揺さぶった。

 そして本作ではさらに、「1児の母」として奮闘する彼女自身と、ドラマの主人公・メイの立場が重なることで、完全に同一視している視聴者も多いのではないだろうか。そのため、メイが“子育て問題”を抱えつつ、再び魔法使いとして活躍しようと奮闘する姿を見て、視聴者は自然と応援したくなってくる。同じ立場の母親としての共感を得ているのみならず、応援の意味で“あっちゃん(メイ)推し”となる状況が生まれているようだ。

元・国民的アイドルの“母の顔”に願う幸せ、ドラマと実生活が相乗効果に

 とはいえ、現実の前田敦子は、夫・勝地涼と協力してドラマの撮影に挑んでいる状況にあることから、「理想の夫婦」という評判も上がっている。時折Instagramやインタビューで語られる家族についての温かい話には、好意的なコメントも多数見られる。かつてアイドルとして頂点に立った前田敦子が、現在は1児の母として必死に奮闘する姿に対し、SNSでは「今好きな人と結婚して子育てして堅実に仕事してるの偉いしすごい」「あっちゃんもお母さんなんだねーってことが嬉しい」などのエールも多数ある。ドラマで育児と仕事の両立に悩む役を演じつつも、私生活では家族と協力して子育てしながら主演を務めている姿には、元・国民的アイドルのたどり着いた一つの幸せな結末を見届ける充足感、“母の顔”に対する幸せを願う声が見られるのだ。

 ちなみに、原作の主人公は「産後太り」が序盤で指摘されている。しかし、本作では、その主人公に似た雰囲気の女優を選ぶのではなく、また、体型など近づけるというわけでもない。そこにはおそらく少女のような雰囲気のまま「母の顔」になり、奮闘する前田敦子自身の「アイドル」性を作品にのせ、その相乗効果で視聴者を味方につけ、見守り、応援させたい気持ちにさせる狙いもあるだろう。

 子育て中の役と実生活がリンクしながらも、ドラマはRPGの世界で社会問題への風刺を効かせつつ、コメディとして表現。生々しすぎない軽やかさがあることで、ドラマの役・メイにも、前田自身にも、自然と感情移入することができる。そして、ドラマとしての楽しみに加え、アイドルとして一時代を築いた女の子の“今”を見守る楽しみも味わえる、ライブ感ある作品となっている。

(文・田幸和歌子)

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