• ORICON MUSIC(オリコンミュージック)
  • ドラマ&映画(by オリコンニュース)
  • アニメ&ゲーム(by オリコンニュース)
  • eltha(エルザ by オリコンニュース)
  • ホーム
  • ライフ
  • 「入居者間恋愛」は幻想?住人らが明かすシェアハウスの実態
ORICON NEWS

「入居者間恋愛」は幻想?住人らが明かすシェアハウスの実態

「シェアハウス=恋愛」は幻想?過度な期待は禁物と経験者

「入居者間の恋愛」も気になる部分だ。初めてのシェアハウス生活を満喫中のF島さんも「それが目的じゃないけど、あったらいいなと思ってましたね」と本音を明かしたが、6年間シェアハウスを渡り歩いているW辺さんは「もちろん最初は期待しました(笑)。でも、実はそれほどなくて、それ以降はそういうもんだなと思っています」と話す。さらにシェアハウスでの恋愛には問題もある、とW辺さん。

「別れたあとも、距離が近いんでやっぱり色々あるんですよ。付き合ってた関係があるからつい気軽に部屋に行ってしまって、ズルズルしたりとか。以前住んでいた大規模ハウスのときには、夜通し女の子が部屋の前で待ってたこともありました」

 男女間のトラブル以外にも、共同生活ならではのストレスも少なからずあるという。「共有部分を汚す人がいて、イラッとすることも」(S山さん)「隣室で夜通しカラオケされてきつかった」(W辺さん)。国土交通省の調査でも、入居者間でトラブルが起こる場合、原因としてもっとも多いのは「清掃、コ?ミ出しのルール違反」、「騒音」、「私物の共用部分への放置」で、全体の6割に該当する。

「確かにストレスがまったくないわけじゃないけど、それ以上の魅力がシェアハウスにはある」とF田さん。「職場とか友人のつながりとは違う、ふつうに生活していたら出会わない人に出会えたりとか。年上の友人も増えました」。F島さんは仕事上でのメリットも強調する。

「夜や休日に住人と仕事の話しをすることも多くて、良い刺激になっていますね。同じIT業界でもいろいろあるので、同業の人とは知識を教えあったり。異業種の人の話も興味深いです。会話の中から、人を紹介してもらったこともあって人脈が広がりました」。

物件数が増える中、コンセプトがない物件は埋もれてしまう傾向に

 さまざまな理由からシェアハウスを選ぶ人が増える一方で、昨今では入居者の確保が困難な状況になりつつあるという。市場規模が急速に拡大し供給が過剰になったこと、一般的な賃貸住宅と比べシェアハウスは入居者の居住年数が短いことが、要因とされる。

 国土交通省のデータでは、平均的な居住期間は1年以上1年半未満が3割強ともっとも多く、2年以上住んでいる人は2割弱程度。「シェアカンパニー」が運営している物件でも「平均すると1年〜1年半」という。もちろん、この状況に、運営側も手をこまねいているわけではない。

「清掃や設備のサービス面が充実している物件も増えています。週5の清掃、備品補充を行い、ビールサーバーや映画館設備がある物件などもあります。物件数がどんどん増えていく中、コンセプトがない物件は埋もれてしまう傾向にあるので、ユニークなものが増えていますね」(シェアカンパニー・大越さん)

 シェアハウスを探すにあたり10件以上、内見したというF田さんも、今どきのシェアハウスの多様さに驚きを隠せなかったという。

「個室の中にお風呂や洗面台といった水回りがある物件や、カラオケルームやシアタールーム、ジム、農園、カーシェアリングといった設備が充実した物件など、本当にいろいろあって。物件ごとにルールや住民の親密度もまったく違うので、いろんな人が自分に合う家を探せるようになってきている。だからこそ自分は何を重視するのか、明確にしておくことが大切だと思うんです」(F田さん)

 最後に、シェアハウス業界が抱える今後の課題と展望について、「シェアカンパニー」の大越さんはこんなふうに語ってくれた。

 「居住者を確保するために金銭的なメリットばかりを押し出すシェアハウスが増えたことで、本来のシェアハウスの魅力である“人の繋がりによって得られる精神的な充実”が二の次になってしまっているように感じます。つながりが希薄な社会の中で、「古き良き長屋」のように、家に帰ると“おかえり”と言ってくれるシェアメイトがいる。この魅力はこの先も普遍的な価値として求められるだろうと思っています。

 海外では主流の暮らし方のひとつであるシェアハウスですが、日本では現在都市圏でしか成り立っていないので、地方でもシェアハウスの魅力が認知され、広まることを期待していますし、そのために何ができるかを運営主体として考えていきたいと思います」。

(取材・文/今井洋子 撮影/徳永徹)

あなたにおすすめの記事

 を検索