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星野源を動かす原動力…「好きなこと」と「売れること」どちらも捨てない人生哲学
演じたのは“職場に引きこもった侍”、「僕もなるべく好きなことしかしたくない」
星野源 江戸時代の社会通念では変わった人なのかもしれませんが、現代社会においては非常にスタンダードな考え方をする人。彼を身近に感じる人も多いのかなと思いました。台本を読んで、自分と似ているところもあるなと感じましたね。
――どういった部分が似ているのでしょう?
星野源 “引きこもり侍”と表現されていますが、春之介が特殊なのは、職場に引きこもっているということ。本が大好きで、書庫から出てこない。僕も、“なるべく好きなことしかしたくない”という思いがあるので、そういう部分は似ているなと。学生のころも、授業を受けないでずっとギターの練習をしていたり、演劇の稽古をしていたんです(笑)。
――そんな春之介は、自分の意図せぬところで大役に任命され、運命に翻弄されていきます。
星野源 主人公がやりたくないことをやらされて、嫌々ながらも才能を発揮して…という話って結構あると思うんです。でも、僕がこの作品でいいと思うところは、“自分の好きなものを捨てる”という自己犠牲の美徳を伝えているのではなく、好きなことを生かして、周囲を変えて道を切り開いていくところなんです。こういう物語の進み方は、時代劇では珍しいですよね。
見つけたら突き進むべし、「“好きなこと”は人を動かす原動力になる」
星野源 好きなものに囲まれて自分だけで楽しむのはとても居心地がいいし、それだけをしていたいと思っていた時期もありました。でも僕の場合、一方で人前に立ちたい、ステージに立ちたいという思いもあった。どうにかして両方実現できないか? そう考える性格だったんです。“売れなくても好きなことだけしていたい”という考えでもなかったし、逆に、“好きなものを捨ててまで売れたい”とも思わなかった。わがままというか、どっちも好きで、やりたいことだったんですよね。
――なるほど。
星野源 自分の性格をわかっていると、やりやすいのかもしれません。そういう意味で、“好きなこと”は人を動かす原動力になる。人はどうしても、言い訳をしたり、自分を偽ってごまかしたりしてしまいがちですが、しっかり自分の好きなものを捨てなかった春之介の生き方はとても面白いと思う。だから、好きなことを見つけたら突き進んだ方がいいと思います。
「外見と内面のギャップ」のせい? 回ってくるのは“一筋縄ではいかない役”
星野源 「この役を星野に」と言ってくださる方が、殻を破り、最終的は爆発するような、スタートと終着点が違うような役を、僕に与えたいと思ってくださるのかもしれませんね。
――そういう役のオファーが多いのは、星野さんが多面的に見えるから?
星野源 どうなんでしょう。あまり自分を多面的な人間だと感じたことはなくて、わりと単純だと思っているんですが。ただ、外見はまったりしていて大人しそうに見えるのに、内側は活発でやりたいことがいっぱい…みたいな(笑)、そんなギャップを感じていただけているのかもしれません。
――一筋縄でいかなそうな役のオファーは嬉しいですか?
星野源 そうですね。さらに、もっとムチャクチャな役をやりたいです(笑)。最近はあまりやれていませんが、宮藤(官九郎)さんが昔書いてくださったような、ムチャクチャな感じのコメディもやりたいです。死ぬほど悪い役とかもいいですね。
星野源 先生に指導してもらいながら撮影しましたが、春之介自身、武士の世界では社会不適合者なので、あまりしっかりとした所作を身につけていない方がいいと思ったんです。最低限、首を斬られない程度にちゃんとしているけど、基本的にはしゃべり方などもあまり気にせず演じました。髪形も大人なのに前髪があったり、当時の武士の常識とは全然違う形でしたからね。
――主演ということで、現場ではなにか意識したことはありましたか?
星野源 現場の士気が上がればいいな、と思っていたくらいです。個人的には何もしない系の座長が好きなので、僕も淡々とやりつつ、おいしい差し入れだけはしようと思っていました(笑)。おいしいものが現場にあると会話が増えるし、スタッフさんともそれがきっかけで話が弾んだりする。おいしいものは大切だと思います(笑)。