【ヒット分析】アルバムTOP10に星野源2作が急上昇 背景に日本のアナログ盤シーンの盛り上がりアリ

  • 『POP VIRUS』星野源(V)

    『POP VIRUS』星野源(V)

  • 『YELLOW DANCER』星野源(V)

    『YELLOW DANCER』星野源(V)

異例の最新作と前作同時
アルバムランキングTOP10入り

 4/8 付週間アルバムランキングに、星野源の『POP VIRUS』が8 位、『YELLOW DANCER』が9 位にランクインした。前週40 位、前々週37位だった『POP VIRUS』が30 位近く順位を上げたこともさることながら、リリースから3 年以上経過した『YELLOW DANCER』がTOP10に入ることは極めて異例。この背景には、3/27 にこの2 作のアナログ盤をリリースしたことが、大きな要因と考えられる。デジタル・サブスク全盛のこの時代に、アナログ盤のリリースでTOP10 に入ってくる星野源の影響力・ポテンシャルの高さを改めて証明する結果となった。 
新譜タイトルが増え
10年で10倍以上の市場に

オーディオレコード アナログディスク 新譜数の推移、生産実績

オーディオレコード アナログディスク 新譜数の推移、生産実績

話は少し脱線するが、10 年ほど前まで日本のアナログレコード市場、いや邦アナログ盤(邦楽アーティスト)は“底”と呼べるような状況だった。日本レコード協会調べの右表を見てもらえばわかる通り、新譜タイトル数は減少の一途をたどり、2010年にはわずか36 タイトルしか発売されず、全体の生産量を見てもわずか5 万2000 枚。音源のデジタル化が進み、フィジカル(CD・レコード)の衰退が顕著になっていた。それがどうだろう。2011 年を境に生産枚数は10 万枚を超え、今では年間50万枚以上。新譜タイトルも2015年に100 タイトルを超え、昨年は244タイトルを数えた。

レコード好きを公言する インフルエンサーが多数出現

アナログ盤をリリースしている主なアーティスト

アナログ盤をリリースしている主なアーティスト

宇多田ヒカル、スピッツなども
積極的にアナログ盤をリリース

 この背景には、星野をはじめ影響力のあるアーティストが、レコード好きを公言し、アイテムとしてアナログ盤をリリースしていることが挙げられる。リリース作品がランキング上位に入る右表のアーティストも、これだけの数のアナログ盤をリリースしている。こうしたアーティストがインフルエンサーとしてアナログ盤の良さを発信していることが、それまでアナログ盤に触れたことがなかった若い世代にも存在を知らしめ、市場を拡大していると考えられる。
 アメリカのアナログレコード市場の売上シェアが10年間で約10 倍にまで拡大するなど、音楽産業の成長に大きく貢献した全世界的イベント「レコード・ストア・デイ」の共同創立者の1 人、マイケル・カーツ氏は、昨年本誌インタビューでこう語っている。「ここ5 年ほど、アメリカでは18〜25 歳の女性の方がかなりレコードを買うようになりました。男性は一定数であまり変わらないけれど、特に若い女性の売上が増えている。若い人向けに入門用のキャラクターものの安価なターンテーブルなども投入されましたが、それだけが理由とは思えません。自然にそうなったとしか言いようがない。ただ、レコード店自体が明らかに10 年前とは異なり、キレイになったということは影響しているのかもしれません。女性が入りにくいような汚くて古い感じではなく、女性向けサイズのロックTシャツが一緒に売っていたり、清潔感があったり。また、女性スタッフが働いていたり、女性が経営していたりというお店も増えています」(『コンフィデンス』2018 年4 月16日号掲載)
 これは日本国内でも同様で、星野のアナログ盤のヒットによって若い女性が興味を示すという、アメリカに似た動きが日本にも見られるようになった。星野源という強力な“インフルエンサー”をきっかけに、これまでアナログ盤を知らなかった人たちが、実際に触れ、その面白さを体感する。これこそが、日本のアナログ盤市場活性化へとつながっていくだろう。

提供元: コンフィデンス

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