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芸能人は労働者? 個人事業主? 専門弁護士が語る“闇営業問題”の解決策「行政が切り込むべき」

佐藤大和

「タレントの結果責任を批判しても根本は解決しない」、業界全体で枠組み作りを

――コンプライアンスという部分ではどのようにお考えでしょうか?

佐藤大和 芸能事務所がコンプライアンス教育をして、反社会的勢力と繋がらないこと、法令遵守というのはもちろん大事。ですが、ちゃんと芸能人たちに響かせるためには、企業側ではなく芸能人側に立った弁護士が悩みを共有したうえで、一方的に伝えるのではなく、自分たちの問題なのだということをしっかり意識させて、初めて意味があります。

 芸能人というのは、常に人の目にさらされ、スケジュールも不規則なためにとてもストレスが多い。そんなとき、優しく声をかけ相談に乗ってくれる人の存在には、非常に心を動かされるものです。そういう中に、反社会的勢力の人がいる場合もある。芸能界というのは甘い誘惑が多い世界なんです。そういった所属タレントの心の部分までケアするのが芸能事務所の責任でもあり、専属契約を結ぶということは、そこまでしっかり見ることだと思います。

――冒頭に行政の指導が必要というお話がありましたが、今後、日本の芸能界はどのように進んでいくと思われますか?

佐藤大和 契約書の問題もそうですが、行政が「法律違反」であると切り込めば、企業は対応しないわけにはいかない。独占禁止法違反の問題も、業界自体でしっかりと対応していかないと、日本のタレントやエンタテイナーはいつまでもたっても立場が弱いままだと思います。権利の意識と権利の向上、そして芸能事務所側がしっかりコンプライアンスを守らないと、日本の芸能界は世界とは戦えないと思います。今のままでは衰退の一方だし、事務所離れも進んでいくでしょう。

 昨今、芸能人を個人事業主として契約をしていながら、実態は労働者として働かせているケースも多々あります。労働者ならば、労働法令が遵守されるべき。残業にしても休日にしても、労働者は法令で守られているし、最低賃金もあります。でも個人事業主だと、そういった法令はまったく適用されない。大きな問題だと思います。

――今回の“闇営業問題”で、改めて感じたことは?

佐藤大和 タレントの結果責任を批判しても、どうしてこういう問題が起きてしまったかの根本は解決されません。自己責任論というのはとても危ういものなので、事務所を含めた業界全体で、しっかりした枠組み作りが必要だと思います。
<プロフィール>
佐藤大和(さとう・やまと)。レイ法律事務所代表弁護士。2017年に、芸能人の権利を守る団体である「日本エンターテイナーライツ協会」を立ち上げ、共同代表理事を務める。エンタテインメント、芸能法務、マスコミ対応、企業法務、第三者委員会の対応などが得意分野。厚生労働省「過重労働解消のためのセミナー事業」委員。『バイキング』(フジテレビ系)、『ビビット』(TBS系)など、メディアにも多数出演。

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