ドラマ&映画 カテゴリ
(更新: ORICON NEWS

「半沢チームには任せておける」ドラマ化続く池井戸潤、“日曜劇場”への思い

池井戸潤

SNSで書かれた“池井戸的展開”、「オレの名前が形容詞に?」

――先生の小説は発表されるたびに話題になりますし、いまや“池井戸作品”というブランドが確立しているような気がします。

池井戸潤 ブランドというほどのものはないですよ。ドラマの現場に行ってエキストラに間違われたこともありますし(笑)。ただ、SNSを見ていたら、“池井戸的展開”という表現を見つけて、「オレの名前が形容詞に…?」と驚きました。相反するもの同士が最後に対決したり、相手に強く言い返したりしたときに、“池井戸的展開”と書かれることが多い。でもそれは、ブランドとは若干違うよね。おそらく、「半沢直樹」以降のドラマの影響が大きいんじゃないかな。

――『ノーサイド・ゲーム』にも女性社員が何人か出てきます。現在、働き方が変わっている中で女性を描くときに心がけることは?

池井戸潤 唯一気にしているのが、女性の言葉遣いですね。「〜だわ」とか「〜なのよ」といった、現代では不自然な言葉遣いはさせずに、「〜だよね」という風に書くよう心掛けています。僕の読者の4割は女性なので、女性が読んでひっかかる言葉遣いは使わないようにしています。

――これまでにも『花咲舞が黙ってない』などは女性主人公でドラマ化されました。今後、女性主人公を書く予定はあるのでしょうか。

池井戸潤 50のおっさんは、50のおっさんの話を書いていけばいい、と思ってます。女性主人公の小説は、それを書くのが好きな人、得意な人が書けばいい。『花咲舞〜』は銀行が舞台で、彼女の内面や私生活には踏み込まないから書けたんです。自分は、「おじさんってけっこう面白いんだよ」ということを書いていきたいですね。

気になる題材はSNSの炎上、“池井戸的”でない作品の予定も

――今後はどのような作品を書いていこうと思われますか?

池井戸潤 これからは、“池井戸的”と言われないものにしようかな、と(笑)。最近少し疲れていて、しばらく書くのをやめようかとしたんですが、貧乏性なので、すぐ「次はどのテーマで書こうかな」と思ってしまうんだよね(笑)。

――なにか、具体的に気になる題材は?

池井戸潤 今って、なんでもすぐに炎上するでしょう。さらに、それをワイドショーが拾って世論にしてしまう。その流れを見ているとなんだか頭にきて、どうにかしたいと思いました。SNSで好き勝手に書いたことが独り歩きしていくけれど、それについて誰かがなにか言う必要があるんじゃないかと。でも、それを言うと炎上しちゃうかな(笑)。気になるテーマというと、そのあたりですね。

(文:西森路代)

『ノーサイド・ゲーム』

<ストーリー>
未来につながる、パスがある。大手自動車メーカー・トキワ自動車のエリート社員だった君嶋隼人は、とある大型買収案件に異を唱えた結果、横浜工場の総務部長に左遷させられ、同社ラグビー部アストロズのゼネラルマネージャーを兼務することに。かつて強豪として鳴らしたアストロズも、いまは成績不振に喘ぎ、鳴かず飛ばず。巨額の赤字を垂れ流していた。アストロズを再生せよ――。ラグビーに関して何の知識も経験もない、ズブの素人である君嶋が、お荷物社会人ラグビーチームの再建に挑む。
7月7日スタートのTBS日曜劇場にてドラマ化。大泉洋主演。

池井戸潤
ダイヤモンド社 刊
定 価:本体1600円+税
発売中

<著者プロフィール>
1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。『果つる底なき』で江戸川乱歩賞、『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、『下町ロケット』で直木賞を受賞。主な作品に、半沢直樹シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』)、花咲舞シリーズ(『不祥事』『花咲舞が黙ってない』)、『空飛ぶタイヤ』『ルーズヴェルト・ゲーム』『ようこそ、わが家へ』『陸王』『民王』『七つの会議』『アキラとあきら』などがある。ドラマ・映画化作品多数。

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索