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元「2ちゃん」管理人・ひろゆき氏が語る平成ネット史、「オールドメディアの劣化と監視装置となったネット」

  • 元「2ちゃん」管理人・ひろゆき氏 (C)oricon ME inc.

    元「2ちゃん」管理人・ひろゆき氏 (C)oricon ME inc.

 匿名掲示板「2ちゃんねる」の開設者で、英語圏の画像掲示板群「4chan」の管理人など、日本のネット史を語る上で欠かせない人物・ひろゆきこと西村博之氏。平成はインターネットの出現、発展、隆盛を見た時代であったが、そんなひろゆき氏に「平成のネット界」の移ろいはどう映っていたのか?「2ちゃんねる」誕生秘話からネットリテラシーの変化、そして「バカ発見器」と揶揄されるSNSや新著『自分は自分、バカはバカ。』(SBクリエイティブ)まで、様変わりした平成ネット史の“舞台裏”を聞いた。

“暇な人”を繋ぐ場所として隆盛した匿名掲示板「2ちゃんねる」

  • 『自分は自分、バカはバカ。 他人に振り回されない一人勝ちメンタル術』著:ひろゆき(西村博之)

    『自分は自分、バカはバカ。 他人に振り回されない一人勝ちメンタル術』著:ひろゆき(西村博之)

――ひろゆきさんがインターネットに興味を持ったきっかけを教えてください。

ひろゆきパソコン通信をやっていたんですよ。その後にインターネットが来たんですけどやれることは変わらなかったというか。当時はYahoo!など検索できるサイトもありませんでしたし、アドレスを知っているサイトを見て終わりという感じで。

――当時は「あめぞう」などいくつか総合掲示板サイトもありましたが、そこに触れたのは?

ひろゆき1998年から99年、アメリカに留学していたのですが、日本の情報を得るのが総合掲示板サイトしかなかったんです。それで「あめぞう」を見ていたのですがシステムにバグがあって、落ちたりデータが消えたり。そこでプログラムの勉強がてら、「あめぞう」の待機場所を作ろうと「2ちゃんねる」が生まれました。

――つまり「あめぞう」を1ちゃんねるに見立てたのが「2ちゃんねる」ですね。

ひろゆきそれも理由の1つです。当時の掲示板は大勢の人がアクセスすることを想定に作られていなかった。そこで、違うアルゴリズムでデータが消えないシステムを作ったんです。データが消えない掲示板を最初に作ったのは多分、僕なんじゃないですかね。手応えを感じたのは西鉄バスジャック事件(2000年5月3日に発生。「2ちゃんねる」に犯行予告の書き込みが残されていたことでも有名)の頃。99年に開設したんですが、00年の7月ぐらいまでは僕も書き込まれた内容は全部見ていました。

――「2ちゃんねる」をきっかけにテキストサイト「侍魂」の先行者(中国初の人型二足歩行ロボット)などが話題になったり、00年始め、ネット界はテキストサイト隆盛の時代に入ります。

ひろゆきあの当時、面白いサイトを共有する場所っていうのが掲示板しかなかったので。個人がサイトを作ったとしても、それを知る手段もなかった。暇な人をつなぐ場所が掲示板で、そこに暇な人が集まって、「今日はこんな面白いの見つけたよ」って。それじゃなければ雑談をしている。今でいうと、SNSのようなものだったと思います。

――その後、『電車男』など「2ちゃんねる」発のコンテンツも生まれ、一般層にまで認知が拡大していきました。

ひろゆき人が集まってなんかやってると、それなりに面白いものを出してくる人がいて。それを見に行く人が増えた。だから何もしないでも大きくなるだろうなと感じていて、それは想定内。『電車男』以外でも2ちゃんから10冊ぐらい本になったのですが、それも予想通りでした。

2ちゃんねらーは「ソースどこ?」で自衛、“デマの巣窟”ゆえのネットリテラシーの高まり

  • 元「2ちゃん」管理人・ひろゆき氏 (C)oricon ME inc.

    元「2ちゃん」管理人・ひろゆき氏 (C)oricon ME inc.

――こうした「2ちゃん文化」は日本にどんな影響を与えたと思いますか?

ひろゆき情報の流通を早くしたっていうのはあるんじゃないですかね。「面白いサイトがあるよ」などという情報を共有する場所があまりなかったので。ただその当時って、「2ちゃんねる」ってウソの情報、今でいうフェイクニュースが乱立していたんです。だから、2ちゃんねるのユーザーは騙されないための自衛策として、「ソースはどこ?」と聞くのが至極当然となったんです。つまり“裏取り”がないと情報を信じない。でも、最近は「ソースを確かめる」というネット文化が廃れてしまったように感じます。今だとSNSの情報を真に受ける人ってものすごい多いじゃないですか。

――SNSにおけるフェイクニュースが世界中の問題になっています。そうしたネットリテラシーの劣化はいつ頃から感じられましたか?

ひろゆきガラケーでニュースを見るようになったからじゃないですか。SNSでも文字数が制限されているから、「ソースはどこ?」ってやりとりをしづらい。それに、携帯だとパソコンのように長い文章やURLとか打つのすごく面倒くさい。PCならすぐ行けるんですけど。

――確かに、ガラケーが台頭してから「ソースはどこ?」といったやりとりは一気に減った気がします。こうした携帯文化によって、若者がSNSで常軌を逸した行動をし、炎上するケースが増えています。

ひろゆき僕も高校生時代におかしなことをずっとやっていたので、人のことは言えないんですけど(苦笑)。若い人たちがおかしなことをやるっていうのは世界中で昔からずっとあるんですね。多分、大人がそれを指摘しなくなったっていうのが問題かと。あとはそれが金になるから放っておいたということもあるんじゃないですか。つまり、You Tubeとか「バカ」なことをやって儲ける人と、その恩恵を受ける大人がいて、ビジネスとして成立しているじゃないですか。そういう意味でビジネスの主体である大人が、子どもが「バカ」であることを許容したんじゃないですかね。

大手メディアが報じるフェイクニュースをネットが正す“逆転現象”も

──つまり「バカ」が大手を振って歩ける時代になった。

ひろゆきあと新聞などが科学的に根拠のないことを報じることもある。新聞が記事に書いたら真に受ける子どもたちもいるし、意味があると思っちゃう子もいる。すごく当たり前の科学的見地の視点が、新聞社でもなくなったんだと思って。簡単にデータを調べられる19年でもそうなっちゃうんだと。だからネットはむしろいい方向に向かっていて、新聞が間違っているっていうのを指摘したりバッシングしたりもする。ネットがなかったら、メディアが報じる根拠のない情報でも、本当の情報として読者は読んでいるだろうと。

――「信憑性がない」と揶揄されやすいネットですが、今や監視装置になっている面もあると。

ひろゆき今は大手メディアが報じるフェイクニュースをネットが正すこともあります。ただ、ネットでもかしこい人ばかりだと“監視装置”として成立するんですけど、その逆もあって。例えば海外ではフェイクニュースを信じてしまって人を殺すというニュースがちょこちょこあるんですけど(メキシコではフェイクニュースを信じた群衆によって無実の2人がリンチのすえ殺害された)、どんな情報でも見ている側の多数が「バカ」だと人を殺してしまうまで進んでしまう。

――なるほど。報道する側も、それを受け取る側もネットリテラシーの質によっては「バカ」にもなるし、それを正す側にもなる。

ひろゆき今って、「自分で調べたものだけを信じる人」たちがネットにはたくさんいます。フェイクニュースをひたすら間違った形で追っていく人たち=「バカ」が増えて、一定の経済規模になるとそれなりの政治力や行動力を持ち始める。炎上事件にしても、政治でいう右と左の争いにしても、今はそこまで実害のある話にはなっていませんが、間違った情報に踊らされる「バカ」が増えていけば、ネットの「監視装置」としての役割も、また逆転するのかなと思います。

――著書『自分は自分、バカはバカ。』の後半では、ネットの「バカ」をスルーする技術などをレクチャーしています。そうした「バカ」とはどう付き合えばいいのでしょう?

ひろゆき完全に関わらないで生きるのは難しいので、いかに「バカ」を無視して自分は楽しく過ごすか…(苦笑)。社会全体がよくなる方法があるならいいんですけど、それは無理なんですよね。「個人が幸せになればいいよね」という考え方に変えないと難しいと思います。著書にはそんなことが色々書いてあるので、1つでも役に立つ情報を見つけてもらえたら嬉しいです。

取材・文/衣輪晋一

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