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役者と音楽家の“兼業女優”松下奈緒、相次ぐ出演作に見る“美しき現状維持“

  • 女優デビュー以降、“美しき現状維持”で活躍を続ける松下奈緒 (C)ORICON NewS inc.

    女優デビュー以降、“美しき現状維持”で活躍を続ける松下奈緒 (C)ORICON NewS inc.

 NHKの連続テレビ小説『まんぷく』で主人公の姉役を演じた松下奈緒。さらに4月スタートのドラマ『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ系)の出演も決まるなど、女優として相変わらず絶好調のようだ。SNSでも「松下奈緒、品があって好き」、「気取らなくていいよね」など好意的な声が多数あり、ドラマ出演のオファーが続くこともうなずける。女優デビューの当時は「現役音大生兼女優」をウリにした部分もあり、専業女優ではないことへの“色眼鏡”的な視線があっただろう。しかし今や、朝ドラ女優でありながら音楽家としても“一流”の活躍を見せている。変に目立つこともなく、バランスのよい活動をしている“松下奈緒的立ち位置”とは?

音大卒、女優、どちらも一流 華麗な経歴

 松下奈緒は高校在学中の2000年にモデルとして芸能活動をスタートさせ、2003年に現役で東京音大のピアノ専攻コースに入学、2004年にドラマ『仔犬のワルツ』(日本テレビ系)で女優デビューを果たした。多忙な芸能活動の中、1年留年するもののちゃんと卒業しており、学業と仕事をしっかり両立させていたことがうかがえる。卒業後は、子どものころからの夢だったという女優業に本格的に邁進、2010年にはNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』でヒロインを演じ、同年の紅白の司会者にも抜擢されるなど、登竜門的作品からゴールデンタイムのドラマの主演作まで、まさに順風満帆なキャリアを積んできている。

 一方で、2004年にNHK大河ドラマ『義経』のエンディング解説「義経紀行」の音楽でピアノ演奏を担当したり、2006年にエピックレコードジャパンよりファーストアルバム『dolce』をリリースし、ピアニスト&作曲家としてもデビューする。以降、定期的にリサイタルを開催するかたわら、2007年にはNHK連続テレビ小説『ちりとてちん』でテーマ音楽の演奏に起用されたり、2008年には映画『チェスト!』のヒロイン・主題歌・ピアノ演奏・劇音楽作曲を務めるなど(その後も多くのドラマに楽曲を提供)、女優業・音楽業ともども“超エリートコース”を歩んできているのだ。

エリート感じさせない無風感、自然体で嫌味の無いお嬢様像

 そんな八面六臂の活躍を見せる松下だが、芸能界で大きな話題を呼ぶなど、何か“突き抜けた”活躍がなかったことも特徴。主演作も多数、人気作にも多数出演しているが、それが大きな代名詞になるようなことはなかったのではないだろうか。逆に作品によく馴染み、持ち前のキャラクターが前に出すぎることもなく、松下奈緒という女優名より役名で親しまれることが多かったようにも思える。

 そうやって“目立ちすぎず”に女優としての実績を積むことは、音楽活動をする上で相乗効果をも得ているはずだ。「女優1本でやっていく!」といった気負いを感じさせず、そのバランス感覚のよさはむしろ器用で聡明さを感じさせる。どちらも全うしてエリートコースを走りながら、女優業と音楽活動を軽やかに両立しているのは彼女特有のものだろう。

 さらに、姉役のようなしっかりした女性のイメージが強い松下だが、バラエティ番組に出演したときは「家事が苦手」などと語り、自然体で飾らず嫌味が無い。特別、爪痕を残すような発言はないかもしれないが、彼女のイメージを崩さない範囲で絶妙なコメントを残している。

 また、先述の新ドラマ『俺のスカート〜』主演の古田新太からは、以前『連続ドラマW 闇の伴走者』(WOWOW)で共演したときに、「撮影初日から(おっさんみたいに)ゲラゲラ笑っていた」と明かされていた。そのように、お嬢様のような気品を漂わせながらも、どこか親しみのある素顔が垣間見えるあたり、視聴者に好かれる理由なのだろう。

続く起用は“好きでも嫌いでもない”好感度? 現状維持が築いた唯一無二の存在感

 実際、絶えず出演作品が続いていることから、起用する側からの信頼も感じられる。それは、多数のドラマに出演するほか、映画、CM、音楽活動と多方面で活躍している松下の姿を見ても、視聴者が何の違和感もなくすんなりと受け入れているからだろう。“好きでも嫌いでもない”と言えば失礼になるのかもしれないが、ある種、強いこだわりで良し悪しを図られないのは“究極の好感度”を得ていると言えるのではないか。例えば、アサヒビール『クリアアサヒ プライムリッチ』のCMにしても、6年間もCMキャラクターに起用されていることから、高級感と親近感を両立させている松下の“最善の起用”が見て取れる。

 また、『JAバンク 新キャラクター「よりぞう」発表会』に出席した際は、お披露目された同社の新キャラ・よりぞうと初対面し、「抱きつきたいようなふんわり感に女性は弱い。いい意味でくびれがなくて、癒やされました」と語った後、記者から「よりぞうのように“寄り添ってくれる方”は?」と恋愛について質問が。そんなときも「私、よりぞうでいいです」と笑って卒なくかわすなど、あくまでスポンサーを立てた控えめなところも、起用する側の安心感につながっているはずだ。NHK、民放、CM、音楽業界など全方位での出演が相次ぐことからも絶妙な立ち位置が頷ける。

 何かあれば良くも悪くもすぐに一転する芸能界。松下のどれもきちんとこなして堅実であり、そのイメージを崩さない“現状維持”は、並大抵のことではなく、美しさすら感じられるものではないだろうか。

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