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富士急CMにダウンタウン、“ボディペイント”でコミカルさ表現する理由

 “ハラハラドキドキ”をベリーペイント(腹ペイント)で表現した「富士急ハイランド」のCMや、お笑いトリオ・ロバートの腹に俳優の梅宮辰夫を描いた腹芸など、コミカルなボディペイント作品を多数手掛ける、アーティストの渡邉洋子さん。渡邉さんがボディに描く際、大事にしていることとは?

ペインターの視点からでもドキドキ

――2010年に手掛けられた絶叫顔をお腹に描いた「富士急ハイランド」のCMは、インパクトがあったため鮮明に覚えております。

渡邉さん 「富士急ハイランド」のCMは、広告作品としての私のデビュー作に近いので、とても印象深いです。体格のよい方のお腹に外国人の顔を描くという内容で、2日間にわたって撮影が行われました。アートディレクターのデザインをもとに、ジェットコースターに乗っている時の驚いた顔や、水着の女性に見とれている顔など、忠実に早く再現できるよう注力しました。絵の具は混ぜれば混ぜるほど濁るのですが、色のくすみが出ないようにしつつ、リアルなグラデーションを描いてみたり。最後に夕日をバックにしたキスシーンの撮影があったのですが…。その前のシーンの撮影で使ったカツラがプールの水で濡れていて、その水がボタボタと撮影中に垂れてきて、ペイントが一部流れてしまったんです。でも監督が「この夕日は逃せない!」とおっしゃっていたので、さっと顔の半分だけなおして、すぐ撮影してもらいました。冷や汗ものの体験でした。おそらくこの期間で、3〜5キロぐらい痩せたと思います(笑)
――2013年の『FNS27時間テレビ』の企画で、お笑いトリオ・ロバートに描いたとお聞きしました。

渡邉さん 1分間のパフォーマンス対決で腹芸をするため、ベリーペイントしてほしいというご要望でした。当時ロバートの秋山竜次さんが、俳優の梅宮辰夫さんのお面で顔芸をするのが大人気でした。長時間、立ったままの状態でお腹に描いたので、足が赤くなったりしてロバートの皆さんは大変だったと思いますが、ペインティングを楽しんでくださいました。実はこの時の腹芸はトルコの伝統芸能で、アシュマスクと呼ばれる結婚や祝い事の際に踊る民族舞踏でした。ベリーペイントと伝統的な民族舞踏とのコラボレーションが大ウケし、対決では見事ロバートさんが勝利していました。
――ロバートに描くことで、芸の一つに携わったことになるかと思いますが、描いてみていかがでしたか?

渡邉さん お笑いコンビのダウンタウンさんや、そうそうたる芸人やタレントさんたちの前でのパフォーマンスになるので、皆さんがどんな反応をするのか、ペインターの視点からでもドキドキしましたね。

ボディペイントは、常にモデルとコラボしている感覚

――そもそもボディペイントを始めたきっかけは?

渡邉さん 美大在学中に掲示版で、日本フェイスペイント協会のボランティア募集のチラシを見つけたんです。その内容は、障害を持っている方や子供たちとみんなで大きな壁画を作ろうというものでした。当時、専攻は油絵で人物ヌードを抽象的に描いていました。また絵に携わる仕事はどんなものがあるのか、模索していた時でもありました。ただ私は、PCを使ってデザインするのではなく、筆で描きたかったので、そういった関心から参加しました。人に描くってどういうこと?という問いからのスタートでした。
――紙に描くのと、人間の体に描くのでは何が違いますか?

渡邉さん まず凹凸があるということです。さらにボディペイントは、描かれる人=モデルによって描き方を変えることが大きな違いですね。同じデザインだとしても、描く線や色など人それぞれ変えていきます。常にモデルとコラボレーションしている感覚です。モデルからも観客からも反響がその場で返ってくるので非常に面白いなと思います。これはフェイスペイントも同じことで、しかも心からの『ありがとう』が直接もらえる素晴らしいアートツールです。描いている私の方が元気をもらったり、癒されたりしています。

――ボディペイントの魅力とは?

渡邉さん 人に描くということが最大の魅力です。人の生身が作品になる、モデルが動くと作品の表情が変わる。見る角度や動き方によって作品の見え方が何通りにも無限になって面白いんですよね。

描く際、大事にしているのは色

――渡邉さんの作品を拝見しておりますと、クスっと笑ってしまうようなコミカルなものが多いなと思います。他のアーティストと自身の違いはどこだとお考えですか?

渡邉さん 「富士急ハイランド」のCMや、ロバートさんの腹芸はコミカルで面白いですよね。描いた私も、動画を見ては楽しんでいます。自分がボディペイントを描くにあたり大事にしていることは、色です。色が好きなので、色のきれいさ、まわりのものとの関係での見え方、成り立ちを大事にしています。
――「LOFT HALLOWEEN 2015」はデザイン決めから担当されたとお聞きしました。暗闇の中で光っているのが印象的ですね。

渡邉さん 装飾や衣装、ボディペイントと、トータル的にデザインを担当させていただいたので、自分の作品という想い入れがより強いものの一つですね。またそれが広告として皆さんに見てもらえるのは、非常に嬉しかったです。この時は定期的に開催しているボディペイントのファッションショー「ボディデコレーションアートショウ」の私の作品をご覧になって、「同様のイメージで」とご依頼いただきました。キャッチコピーは「日本のハロウィンは、世界一、楽しい。」でした。それを表現できるPVになるよう、5体のパフォーマーにボディペイント用の蛍光塗料の絵の具で描きました。

マタニティペイントは気持ちが和らぐ

――渡邉さんは、自身がマタニティペイント体験者とお聞きしました。

渡邉さん 師事している深井仁美先生に、マタニティペイントをお願いしました。1回目の妊娠時は白いレースのデザインと、曼荼羅のデザインを。2回目の妊娠時は、出産予定日がハロウィンの時期だったので、私が魔女になり、魔法の薬の入っている壺をかき混ぜているという、ユーモラスなペイントになりました。ペイント時は気持ち良くて、寝てしまいましたね。マタニティペイントの写真を「ここにいたんだよ」と、そろそろ子供に見せてみようかなと思っています。
――マタニティペイントを体験してみて、いかがでしたか?

渡邉さん 一人目の妊娠時は、実は主人にも描いてもらったんです。深井先生もそうですが、身近な人に描いてもらうという体験は、気持ちが和らぎ、あたたかく、マタニティペイントを思い起こすとそれがずっと胸の中に残っています。ですので、もしマタニティペイントを検討されている方は、ご家族も一緒に記念写真を撮ったり、もし家族がペイントに参加できるようなら、手形をつけてもらったり、週数などを一筆描くのに参加してもらったりすると、さらに思い出になるかと思います。

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