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繊細すぎる“タコ切り絵”海外からも高評価、会社員のママクリエイター「表現したいのは立体感」

 昨年末、Twitterで10万以上の「いいね」を集め、海外からも称賛の声が相次いだ「タコの切り絵」をご存知だろうか。1枚の紙を切り抜いただけとは思えない躍動感と立体感。そして、何より驚くのは、その繊細すぎるカッティング技術だ。そんな、注目のクリエイター「切り剣Masayo」さんにインタビューを実施。反響後の心境と制作のこだわり、今後の展望を聞いた。

「切り抜いた線の強弱を利用して1枚の紙で立体感を表現」

――大きな話題となった「タコの切り絵」ですが、反響はいかがでしたか?

【切り剣Masayo】 海外からも、「国宝級だ!」「さすが日本人!」「日本人だからこその集中力、技術力だ!」といったコメントをたくさんいただきました。色々な方に見てもらえるのはすごく凄く嬉しいのですが、作品が独り歩きしているようで、少し怖いような印象もありますね(笑)。

――今回の作品は、切り絵歴27年の「持てる力を総動員した大作」とのことですが、特にこだわったのは?

【切り剣Masayo】 やはり重なり合う足の奥行きと立体感です。足の手前の部分は紙を多く残し、奥になる部分は多めにカットして、残す線も極端に細くするなど、線の強弱を利用して1枚の紙で立体感を表現しています。

――たしかに、奥の足は手前の足にくらべて切り抜かれている部分が多く、透けていますね!しかも、よく見ると吸盤が花柄に…

【切り剣Masayo】 実際には、タコの吸盤に花模様はありませんが、作品に立体感を出したかったことや、普通に切るよりも楽しいかな、という思いから、吸盤の中に花柄を入れてみました。

――花柄のタコ、新鮮です(笑)。今回、なぜタコを題材に?

【切り剣Masayo】 以前より神秘的でありながらグロテスクな一面を持つモチーフに興味があり、今回のような立体感を強調したい作品には、タコはうってつけのモチーフだと思ったんです。ただ、下絵の段階ですごく悩み、何度も何度も描き直しました。描いては少し離れて見て、また、描き直して…。制作時間は下描きから完成まで2ヶ月ほどかかりましたね。

――下絵が作品作りの要と言えそうですね。

【切り剣Masayo】 はい。下絵の良し悪しが完成度に影響するといえるほど、重要な工程です。私の場合、紙の裏側に下絵を描くため、完成品は左右逆になります。その逆転を計算し、さらに全体のバランスを考えて描くんですが、この作業が一番難しいですね。

――切り絵制作で紙の裏側に下絵をするのは珍しいですよね?

【切り剣Masayo】 一般的に切り絵は、薄い紙に下絵を描き、それを作品となる黒い紙にのせて、2枚切りして作ります。私も当初は、同じような手法で作っていましたが、2枚切りでは細い線の表現に限界があり、どうしても平面的な作品になってしまって。そこで、立体感や奥行きをより表現するために、白紙に直接下描きし、切り抜くようになっていきました。私の作品に白ベースが多いのは、黒の紙だと下書きが見えにくいからです(笑)

普段は時計修理をする会社員、制作は夜や早朝の時間帯に

――下絵は実物や写真などを参考に描かれているんですか?

【切り剣Masayo】 モチーフを決めたら、ネットや図鑑などで写真を見ますが、それを忠実に再現することはしません。たくさん見た資料の中から、特に素晴らしい「目」「顔」「胴体」などをパーツごとに集めて、頭の中で組み立てていきます。

――下絵もオリジナルとなると…画力も必要ですね。

【切り剣Masayo】 そうですね。画力が強みの画家さん、カット力が強みの切り絵作家さんはいらっしゃるかもしれませんが、“描けて切れる”人はあまりいないかもしれません。

――類まれな才能を持つ切り剣Masayoさんですが、普段は会社員で、中学生の息子さんを育てるお母さんでもあるとうかがいました。制作はどんな時間帯に? 

【切り剣Masayo】 平日は時計修理会社に勤めているので、夜や早朝に切り絵を切っています。主人が「切り絵を作れるよう、全面的に協力する」と、家事や子育てのことなどサポートをしてくれているので、家族には感謝してもしきれません。

――これから挑戦してみたい「切り絵」はどんなものですか?

【切り剣Masayo】 今年は「全体の空間を意識した作品」を作りたいと思っています。モチーフ(動物)自体に立体感を出すことはもちろん、画面全体、背景を含めて、空間としての立体感を表現できるような作品をつくりたいですね。

――今後の目標、展望を教えてください。

【切り剣Masayo】 たくさんの人に作品を見ていただき、そして、その結果「切り絵をやってみよう」という人が増えたら嬉しいです。そのためにまず、切り絵作家として私自身がさらに有名になることも必要だと感じているので、海外の権威あるサロンなどで個展を行えるように頑張りたいと思います。
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