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(更新: ORICON NEWS

ブラで振り返る”平成”、最新技術と時事ネタを胸に…下着会社の狙いとは?

  • 2018年「平成ブラ」

    2018年「平成ブラ」

 下着メーカーのトリンプは、“その年の世相を下着で反映する“という取り組みを1987年から行ってきた。そこから30年あまり、ブラジャーでトレンドを表現してきた”世相ブラ“が、平成の終わりとともに終了する。最後のモチーフは”平成“で、東京スカイツリーをメインモチーフに、デコケータイ、厚底ブーツ、ファーと平成のトレンドを網羅した作品に。世相ブラをすべて見れば、平成のすべてがわかるのでは!? トリンプ・インターナショナル・ジャパンの広報の河村麻美さんに話を聞いた。

「知名度向上」から「女性への応援」へ “世相ブラ”の役割

――30年前、世相ブラが誕生した経緯についてお聞かせください。
河村さん当時はトリンプの知名度が今ほどなく“あまりコストをかけずにPRする方法として話題性のあるブラジャーを作ってみるのはどうだろう?”と話が出たのが誕生のきっかけです。

――ブラに反映するモチーフの採用基準は?
河村さん会社の知名度アップや話題性を目的としていた2010年までは、すべての方が共感できる出来事やインパクトのあるデザインがより重視されていました。その後、ありがたいことに“トリンプ”の名前をある程度世間の方々に知っていただけたので、女性の商材を扱う会社であることから、世相ブラは“女性の自信を高める”方向性へとシフトしていきました。2011年以降は女性に特化した事象を盛り込んでいます。主婦の方、学生の方、キャリアウーマンの方…職業に関係なく全女性が共感できる事象を反映するのがポイントですね。“女性に自信を与えるニュース”を基準とし、デザインも“女性に美しいと思ってもらえる”というポイントが加わりました。

――プロジェクトはいつから動き出すんですか?
河村さん11月に発表で、動き出すのはだいたい半年前の5月くらいですね。でも、完成は発表の数日前とかギリギリなんです。

――半年前だと、企画を練ってそれが年末まで流行しているのかを読むのが大変ではないですか?
河村さんおっしゃる通り、半年前にコンセプトを決めても、それが年末にも話題になっている保証はありません。なので、担当者としての“勘”を大切にしています。あとはそのトレンドが本当に一時的なものであるか、そうでないかの違いですよね。たとえば2017年の『プレミアムフライデーブラ』は、政府がサポートしている取り組みだったため、半年後も話題になっているだろうと予測が立てられましたし、2016年の『ファーストウーマンブラ』は初の女性都知事の誕生や女性アスリートの活躍など、各界の女性が躍進を遂げた年で、こういう明るいニュースはすぐに廃れることもないなと、自信をもって進行できることもあります。物事の結果に関係なく、積極的に挑戦する前向きな姿勢は感動を与え、女性の自信にも繋がっていくので、そういったものはモチーフとして間違いないと感じています。

点滅するライト、返事をするブラ…最新のテクノロジーをブラに搭載

――2018年の世相ブラを『平成ブラ』とし、ミニスカ、厚底ブーツ、デコケータイと平成のあらゆるトレンドが散りばめていますが、様々な事象を盛り込んだのは今回が最後だからですか?
河村さんそうですね。平成の間ずっと続けてきた“世相ブラ”を平成とともに終わらせるので、テーマを大きく『ブラで平成を表現しよう』と思いました。30年間に起こったトレンドをひとつにまとめるのはチャレンジでしたが、男女雇用機会均等法の本格的な浸透やボディコンやコギャル文化の発信など、女性にとって大きな飛躍の時代となった平成の集大成となる作品だからこそ、大きなテーマで表現したかったんです。

――よく見ると、ジュリ扇やデコケータイなど、様々なトレンドを盛り込んでいますよね。
河村さん世相ブラは特定の女性だけでなく、“多くの女性に納得してもらえること”を意識しています。なのでなるべく多くの方に共感できるように、いろんな時代のトレンドをサブモチーフに盛り込んでいます。

――お客様からの反応の声は聞こえますか?
河村さん発表が終わった後、下着売り場で展示することもあるのですが、『これニュースになっていたやつですね!』とお客様からお声かけされることもあるようです。デザインなども「可愛い」や「ここどうなっているんですか?」など、興味を持っていただけているようです。

――世相ブラはデザイン性の高さはもちろん、ライトが点滅したり、時計が内蔵されていたりとそのギミックにもこだわりがあるとか。
河村さんトリンプは1886年の創業以来、ワイヤーの肌へのあたりを軽減する仕組みや、ストラップが落ちにくい工夫、季節物インナーの開発など最新の技術を下着に取り入れてきました。そういった会社の“技術を大切にする”ポリシーを表現したくて、下着に限らない“その時に流行した最新技術”を搭載することも多いですね。たとえば2015年の『ウェアラブル女子力アップブラ』は、胸元のライトやスマートスピーカーのような対話機能がついていているんです。

――ブラがしゃべったり光ったり…もはや下着を作っている感覚じゃなくなりそうですね。
河村さんそうですね。ちなみに『ウェアラブル女子力アップブラ』は、これらの機能を動かすための電池を搭載しているので、モデルさんはちょっと重かったかもしれませんね(笑)。下着を作るのには使わない技術を勉強することも結構ありました。

宇宙に行けるブラジャーも開発? 世相ブラの気になる製作費は…

――河村さんのお気に入りの世相ブラを教えてください!
河村さん『ヒロイン戦士ブラ』がとくに思い入れが強いですね。これは宇宙開発メーカーとJAXAのアドバイスのもと、実際に宇宙の温度差にも耐えられる素材を使用しているんです。マイナス180度〜200度までの寒暖差に耐えられるブラジャーはおそらく『ヒロイン戦士ブラ』だけではないでしょうか? ただ、守れるのは胸だけですが…(笑)。

――反響が大きかった世相ブラは?
河村さんこれはダントツで2009年の『婚活ブラ』です。メディアで取り上げていただいた数も圧倒的でした。これはブラジャーに結婚までの時間を設定し、カウントがゼロになる前に婚約指輪を差し込むとカウンターが止まる仕掛けになっています。婚活は女性がリードしたトレンドですし、これもテーマはすぐ決まりました。

――製作費はどのくらいかかっているんですか?
河村さん1つの世相ブラを3〜4着作るのですが、それでだいたい40万くらいでしょうか。

――どのデザインもデコラティブで技術的なのに、思ったよりも安いですね?
河村さんもともと、“コストをかけずに認知を高める”が目的だったので、制作費は抑えめかもしれないですね。

――“世相ブラ”は終わりますが、元号が変わってからも、このような楽しい取り組みを見せてくれるのでしょうか?
河村さんはい、その代わりにこれからまた新たな企画がスタートします。現在は新しい挑戦のアイディア出しをしている段階です。来年以降の挑戦にも期待していてください。


(文/Kanako Kondo)

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