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私服は衣装? 意外なところでタレントを悩ませるコンテンツとしての“私服”

 芸能人はテレビやメディアに出演する際は、衣装やスタイリストがコーディネイトしたものを着用していることが多い。しかし、最近ではイベント登壇や番組企画であえて私服を披露したり、SNSでの自己発信からプライベート画像に“地雷”的に紛れ込んでしまったり…。着ているもの1つで、芸能人としての“浮沈”の鍵さえ握り、「芸能人の私服」自体がコンテンツ化されている。クロスオーバーする私服と衣装の境界線を探る。

スターのプライベートを覗き見、番組企画としても重宝される「私服コンテンツ」

 実際、芸能人たちの私服ネタは、よく番組の企画としても重宝されている。『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)でも、「スターの私服」企画で叶姉妹が何億円もする全身コーディネートを披露しては毎回盛り上がる定番ネタだったりもするし、「私服が残念なイケメン芸能人を改造」などの企画もテレビでよく見かける。また、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)でも「私服センスなしNo.1決定トーナメント」が開催され、1・2・5回目ではオシャレそうに見えて実は私服がダサいフットボールアワー・後藤輝基が優勝するなど、しっかりと笑いのネタにもなっている。

 もちろんインスタグラムでも、タレントやモデルによる私服投稿は定番。ファストファッションを何気なく着こなしていたりすると、手の届くセンスのいいオシャレだとフォロワーたちに好感度が高かったりする。一般の人たちに「自分でもマネできる」「同じものを着られるうれしさ」として響けば、「○○さん着用(愛用)!」のキャッチとともに大ヒットアイテムにもつながり、思わぬ“経済効果”までが見込めるわけだ。まさに「芸能人の私服」がコンテンツ化されている証しであろう。

アイドルは私服も衣装!? 「私服」はキャラ作り、ブランディングも兼ねる

 国民的アイドルグループ・AKB48にしても、握手会はメンバーたちの“私服”の参加が基本。ファンにとっても、いつものお揃いの衣装“以外”の推しメンの私服を見ることができる貴重なチャンスでもあり、それゆえにファン(及びメンバー)の見る目も厳しく、「おしゃれ神7」や「ダサ7」なるメンバーも選出され、ネットにアップされては注目を集めている。メンバーたちも、あえてファストファッションを着て親近感を強調したり、逆にブランド物を着につけて憧れの存在を演出するなど、そこはメンバーの腕の見せどころ。いずれにせよ、テレビや劇場でのイメージとのギャップを狙うのは、もはや定番の手法となっているといえる。

 ちなみにAKB系グループでは、先輩がお下がりの服を後輩に渡すという伝統も存在しているようで、前田敦子の卒業公演(2012年)では後輩の指原が「これからも…服をください」とコメントしたこともあるとか。実際、メンバーにとっても忙しい合間にオシャレできるチャンスでもあるし、ファンはファンでレアな“推しメンの私服”を見るチャンスにもなる。握手会はそういう意味でも“ウインウイン”の関係になっているのかもしれない。

 一方、「ももち」の愛称で親しまれた嗣永桃子さん(2017年に芸能界引退)は、アイドルとして活動している間はいっさい私服姿を見せなかったという。どんなときでもTVに出ている間はアイドルのイメージを守り続けるというプロ意識の高さを持ち、その徹底ぶりはオードリー・若林正恭が、「ももちの私服って見たこと記憶にないだろ。見せなかったんだよ」、「マジで尊敬してたから」とまで言わしめているほど(『オードリーのオールナイトニッポン』 ニッポン放送/2017年6月24日)。

 また、基本的にSNSによる自己発信が許されていないジャニーズ事務所だが、『紅白歌合戦』(NHK総合)のリハーサルなどではタレントたちが私服で会場入りする。いわばジャニーズのタレントたちの私服を“生”で見られる貴重なチャンスでもあることから、その姿をひと目見たいと出待ちするファンが殺到するという。

 ももちにしてもジャニーズにしても、それはそれでプライベートを神秘のヴェールで包むという“プロ”のあるべき姿なのかもしれない。

プライベート感を出すか否か? 自分のブランディングにも影響が

 今はたしかに“文春砲”的なスクープ写真を撮られたとしても、そのときに着ていた私服のセンスによっては「意外とダサい」などと、本来のスキャンダルの主題よりも服装のほうで一刀両断されかねない時代だ。実際、ファンならずとも視聴者にしてみれば、芸能人にはやはり芸能人らしい豪華でセンスのよいファッションで着飾っていてほしいと思う部分があるし、芸能人のほうにもそうした“夢”を提供する立場にあるともいえる。

 ひょっとしたら芸能人にとっては、プライベートの写真にすら気を遣わなければならない“苦しみ”があり、メイクやコーディネーターのつかない日常生活では、人知れず自分のセンスを磨く努力を続けているのかもしれない。

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