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みんな大好き『警察24時』、各局が手掛ける“鉄板コンテンツ”を維持する理由と課題
各局がこぞって手掛ける“鉄板”番組 新たな息吹をもたらす「新演出」も登場
実際、8月25日に放送された『列島警察捜査網 THE追跡』では、置き引きを行った教師の犯行の模様をCGで再現した“置き引き先生”の映像が放送され、「置き引き先生の再現CGがくっそ面白いんだけど」「再現CG次も楽しみ」といった風にネット上で大きな話題となった。さらに、置き引き先生のジャンプからの着地を映画『マトリックス』のような表現で再現した一般ユーザーが登場すると、別ユーザーがBGMやキャラを変えた動画をYouTubeに公開。現代ならではの盛り上がりを見せた。
また、8月26日放送の『逮捕の瞬間!警察24時』では、番組史上最長10カ月にわたる湾岸署の執念の捜査に密着。都会の住宅街に潜む「覚醒剤密売人夫婦」が逮捕されるまでを放送した。ここにきて各局が新企画や新演出を打ち出し、人気番組にあらたな息吹をもたらしている。
普段は見られない非日常に釘付け “生々しい”緊迫感と笑いのセッション
何より、普段密接に関わっている生活圏の中に“事件”が起きているというハラハラ感と“生々しさ”が人気の秘訣。連続通り魔事件、悪質チカン逮捕の瞬間、スリの巧妙な手口、怒号飛び交う逮捕劇など、一癖も二癖もある犯人と対峙する警察官とのやり取りはいつ見ても新鮮で刺激的だ。
制作作費を抑えたい局側と広報に役立てたい警察、双方がウィンウィンな関係
また、麻薬密売人に熱い説教をする熱血先生風の警官、酔っ払いを優しくなだめる東京下町の人情派警官、渋谷を守る美人警官、美人白バイ隊員のバイク練習から取り締まりに成功するまでのドキュメンタリーなど、警察官一人ひとりに“人間味”を付与させることで、警察官のイメージ向上に役立っている点も大きい。
一方でメディアと警察の関係性が癒着や忖度に繋がるとの指摘も
昨今は、コンプライアンスが厳しくなったことにより、警察官による現場の対応が厳しくチェックされる風潮もある。したがって、犯人検挙のシーンであっても、そこに過剰な暴力、暴言などがあると見られれば、批判の対象になる可能性は高まっていくだろう。
“生々しい”現場感がウリだった『警察24時』系番組も、社会全体のチェックにより、これまでのような個性派警官の登場は少なくなる可能性も考えられる。それゆえ、最新CGを用いた事件の再現など、現代ならではの新たなチャレンジも行われているのだろう。ネット犯罪なども巧妙化していく昨今。今後、どんな切り口の新企画や“名物警官”が誕生するか見守りたい。