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芸能イベントの“花型”として重宝される始球式

ネットニュースやスポーツ紙の見出しで“ノーバン投球”というフレーズが連発された時期があった。そのほかにも、柳沢慎吾の“日本一長い始球式”が話題になったり、“投球フォームが綺麗すぎるアイドル”としてグラドル・稲村亜美がブレイクしたり、ファンキー加藤が史上初の“謝罪始球式”を行なうなど、ここ最近とくに注目を浴びているのが、プロ野球の“始球式”。かつては、野球少年や地方の“お偉いさん”が投球することが定番のお硬い行事だったはずの始球式が、いまではバラエティに富んだ形態に進化し、さまざまな芸能人たちが大量登板。芸能イベントの花型になっている。

始球式からブレイクするタレントも登場

 一連の始球式ブームの火付け役となったのは、やはり“ノーバン投球”なるフレーズ。ノーバン投球=ノーバウンド投球を“ノーパン投球”と勘違いさせることで、ユーザーを釣り(記者たちも認めている)、“石原さとみノーバン投球”などと見出しに大きく掲載しては読者の気を引きつける、という手法がメディアで使われ始めた。すぐに読者も慣れてきて、いまではお約束となっているのだが、ネットニュースではそれさえもおもしろがられてネタになるという“いい流れ”が作られたのである。
 そんななかで先述の稲村亜美は、TOYOTAのCMで見せたOL姿のバッティングが“神スイング”とネットで賞賛されると同時に、始球式でもメジャーリーグの豪速球投手を思わせるダイナミックな投球フォームと、実際に球速100キロを超えるピッチングを披露(本人もかつてリトルシニアで活躍)。始球式で注目されたことをきっかけにグラドルとしてのかわいらしさも評価されるという、新たなビジネスケースを提示した。

 先日は、柳沢慎吾が4年連続となる横浜DeNA戦での始球式で、恒例の9分に渡る“甲子園寸劇”を繰り広げた。登板前に柳沢が「今年は淡々とやります」とマイクを通して前フリを入れると、球場の観客からは「え〜」というブーイング。柳沢は「ウソです。今年もやります!」。すると大歓声があがり、日本一長い始球式が野球ファンにも浸透し、恒例イベントとして愛されていることが示されていた。
 また最近では、見事なトルネード投法を披露した(昨年は村田兆治のマサカリ投法)石原さとみや、剛力彩芽、ぺこ&りゅうちぇる、土屋太鳳、橋本環奈、西内まりや、小島瑠璃子、大島優子らのタレントのほか、ゴジラ(サッカーのJリーグ戦)や貞子、くまモンなどのキャラクターも登板。さらに、ダチョウ倶楽部は選手も巻き込んでの全裸ネタ、アイドルグループ・私立恵比寿中学は9人連続投球、加藤茶はヒゲダンス等々、バリエーションもますます豊富になってきている。
 そもそもなぜ芸能人たちがこぞって始球式に登板するようになったのだろうか?
 「ファンキー加藤さんの例がわかりやすいかもしれませんが、彼は例の騒動以来、初めて公の場に出たのが始球式だったんです。だから加藤さんも沈痛な面持ちで登板し、その後、囲み取材で謝罪という、何ともちょっと間の悪い形になってしまったのですが、実はこの始球式は加藤さんの主演映画のプロモーション、いわゆる番宣だったんですね。逆に言えば、騒動以来の初仕事に偶然なってしまうほど、最近では始球式絡みのイベントがメジャー化しているということです。始球式はもはや、企業商品も含めた宣伝の場になっているんです」(イベント会社スタッフ)

予算かからず稼働時間も短い、費用対効果が高いプロモーション

 プロ野球などのスポーツと絡めば、スポーツ紙やテレビのスポーツニュースなど情報番組で取り上げられる機会も増えるし、多大なプロモーション効果があることは間違いない。以前から、新製品の発表会や映画の公開イベントなどに、美川憲一や神田うのといった芸能界のご意見番的なポジションの人物を呼ぶ→芸能界の旬な事件についてのコメントを求めてマスコミが取材に来る→その模様がテレビで放送される→商品やイベントの宣伝になる、といった構造があったが、始球式はいわばその系統とも言えそうだ。しかも、一般的な芸能イベントや会見などよりも費用対効果が高い。

「始球式自体、時間も短いし、予算もそれほどかからない。発表会イベントの記者会見ほどの“宣伝っぽさ”も視聴者には感じさせません。費用対効果はなかなかのものです。それに登板する女性タレントにしても、野球のユニフォームふうのミニスカートやホットパンツを自然に着用できるので、よく見れば過激な衣装でも健康的なイメージになり、それほどエロくなりません(笑)。言ってみれば、“女の子をかわいく見せるコスプレ”みたいなものなんです。かつて、ロンドン五輪で活躍した元体操選手の田中理恵さんが始球式に登板したとき、大きく脚を上げるフォームが話題になりましたが、それもきっかけのひとつで田中さんの人気は全国区になりましたから。始球式は、とくに売出し中のアイドルや女性タレントにとっては“ぜひ出たいイベント”のひとつであることは間違いないでしょう。投球プラスなにをアピールできるか、みんなねらっていると思いますよ」(前出・スタッフ)
 そうした流れのなか、セクシー系アイドルからキャラクター、お笑い芸人らがこぞって登板。始球式でできることの受容範囲も広がってきているようで、始球式はいつのまにか“花形”芸能イベントのひとつになるとともに、登板するタレントにとっては自身をアピールする真剣勝負の場になっている。

 ここのところは多少“乱発”されている感もなきにしもあらずだが、芸能界ではすでに“始球式登板枠”の熾烈な争奪戦が繰り広げられているのかもしれない。“一粒で二度おいしい”どころか、球団側も芸能人側も、あるいは宣伝企業側その他各方面“みんなが得するコンテンツ”となっているようだ。

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