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ORICON NEWS
AKB48卒業組、女優として成功のカギは “ステルス作戦”にあり?
アイドル時代は、メンバーからの評価も高い“苦労人”
2012年8月〜13年4月にはSKE48チームSを兼任。同時期に『テラスハウス』(フジテレビ系)に初期メンバーとして出演、アイドルが恋愛リアリティ番組に出る意外性で注目を集めた。そんな多忙な時期に、選抜総選挙で21位と選抜落ちを経験、シングル選抜からも漏れる挫折を味わう。その後、NGT48移籍とキャプテン就任が発表され、新潟で後進の育成に寄与。その功績を認められ、同年の選抜総選挙で11位と人気を“V字回復”させた貴重なメンバーでもある。
そんな経験をしながら、明るい人柄の彼女にAKB48メンバーの評価も高い。初代総監督・高橋みなみは「行動力の塊 」、NGT48でも一緒に活躍した柏木由紀は「誰にでも紹介できる(人柄)」など、真面目、実直、責任感が強いという印象を抱いている。NGT48の後輩、荻野由佳も「夢を叶えてくれた恩人」として敬慕している。
顔を舐められ、胸をわしづかみ…体当たり演技で評価
そうして、NGT48卒業目前に公開された映画『サニー/32』に主演。ピエール瀧、リリー・フランキー扮する誘拐犯に監禁され、いたぶられる役で、瀧に顔を舐められるなど過酷な演技に挑戦。雪の中をペラペラの薄い衣装で駆け抜けるシーンなどには“女優魂”を感じさせた。本人が「4回死にかけた」と話すほど体を張った演技に、リリーは「素晴らしい女優さんです。この役を演じる“覚悟”を感じ、引っ張られた」、瀧も「雪の中に立ち続ける姿は立派でしたし、完璧な女優でした」と称賛している。ネットでも「こんなに演技上手かったけ?」「演技やセリフの一つ一つに見入ってた」などの反応があった。
また、同作でのインタビューにおいて「お芝居で自分がブスに見えたり、汚くされたりするのはまったく嫌じゃないですよ」(2018年2月10日掲載 ZAKZAKより引用)と語っていることからも、女優業への覚悟が見て取れる。
NGT48卒業後には、つかこうへいの名作舞台『新・幕末純情伝』主演に抜擢。かつて、広末涼子、石原さとみ、鈴木杏、桐谷美玲らが出演、若手女優の登竜門的作品としても知られている。“殺陣”にも果敢に挑み、胸を揉まれたり、キスをされたり“ハードエロティックな新演出”にも体当たりで挑戦、仲間からも高く評価され、指原は「友達贔屓ナシで!本当に良かった」、柏木は「りえちゃんかっこよかったし儚かったし最高に輝いてた」と賛辞を呈した。
アイドル時代のイメージが付きすぎない ことが女優成功の秘訣?
一方、AKB48卒業組で一番成功している女優と言えば、川栄李奈だ。先の二人とは違い、AKB48時代にあまりイメージが付きすぎず、女優として徐々に足元を固めてきた。川栄は卒業後、舞台『AZUMI 幕末編』での芝居を評価され、その後、ドラマでは『とと姉ちゃん』(NHK総合)、『僕たちがやりました』(フジテレビ系)、放送中の『健康で文化的な最低限度の生活』(同局系)、映画でも『亜人』『デスノート Light up the NEW world』『センセイ君主』と、人気作のバイプレイヤーとして活躍。また、CM『au 三太郎シリーズ』で 織姫役で知名度を上げ、10月には初主演映画『恋のしずく』の公開を控えている。
現在の芸能界において“ドラマ主演”は、視聴率で如実に結果が出る上、ネットニュースの記事になることが多く、低視聴率の場合は主役に“大コケ女優(俳優)”のレッテルが貼られるケースが多発。特にアイドルは色眼鏡で見られる可能性が高く、“いきなり主演”は非常にリスキーなのだ。
そんな主演を避けて、脇役として、場数を踏んで、次第に実力をつけて、基礎を固めて視聴者に演技の実力を認めさせている成功例が川栄だ。いわば、演技の“ステルス作戦”で、悪目立ちしないように徐々に演技力を周囲に浸透させながら、支持者を増やしている状況。そうした地道な努力こそがアイドルの女優転向の最善策ではないだろうか。
北原も映画『ジョーカーゲーム』や『サニー/32』で主演を務めてこそいるが、川栄と同様にアクションに挑む舞台主演から次第に力を付けていく同じ系譜を歩んでいる。前田や大島のように、AKB48時代に“神7”として最前線で活躍したわけではなく、アイドル時代のイメージが世間に付きすぎていないからこそ、今後女優として成功する高い可能性を秘めていると言えるのでは。
卒業後、ホラー映画『としまえん』への初主演が決定したりと、次々に舞台や映像作品への出演が続き、まさにカメレオンのような多彩な演技を披露してくれるに違いない。また、先日『FRIDAY』に俳優・笠原秀幸との交際が報じられた。もちろんアイドルから卒業した北原は恋愛解禁済み。子役から活躍している俳優歴23年の笠原との交際は、女優業の糧にもなることだろう。選抜常連から一転して、選抜を外れた時期も経験、SKE48兼任、NGT48移籍という怒涛の月日を過ごしてきた“苦労人”の北原ならではの知性と感性を活かした活躍に期待したい。