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絶滅危機のヤンキー作品、カッコ悪い“コメディー化”で再び優良コンテンツに?
伝説のヤンキーギャグ漫画が20年を経てまさかの実写化
実写ドラマは10月から日本テレビ系で放送され、主人公の三橋に賀来賢人、相棒の伊藤に健太郎が起用される。ライバル(!?)の紅羽高校番長・今井勝俊を太賀、今井の子分・谷川安夫を矢本悠馬が演じ、人気急上昇中の鈴木伸之らの出演も発表された。そして監督・脚本は、映画『銀魂』、ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズで知られる福田雄一氏ともなれば、ギャグ要素の強い原作のノリが存分に活かされることも予想され、原作ファンからの期待も寄せられている。
過去“カッコいいもの”として描かれたヤンキー漫画、実写化は若手イケメンの登竜門に
1990年代の後半に入るとチーマーが出現し、改造学生服のヤンキー=時代遅れというイメージも広がり“ツッパリ”はなりを潜める。しかしながら、その後の映像作品でも他校との抗争や成り上がりという作品の基本的なテーマは変わらず、映画『ワルボロ』(2007年)では松田翔太、新垣結衣、『クローズ』(同)は小栗旬、山田孝之、『ドロップ』(2009年)は成宮寛貴や水島ヒロ、ドラマ『クローバー』(テレビ東京系/2012年)には賀来賢人、有村架純などが出演し、まだまだ人気を博していたのである。
また、大ヒットドラマ『ROOKIES』(TBS系/2008年)では不良が野球を通して成長していく姿が描かれ、佐藤健、中尾明慶、城田優、高岡奏輔、桐谷健太など、今では大活躍の俳優が多数出演しており、ヤンキーコンテンツは若手イケメン俳優の登竜門としても機能していた。ヤンキーものはバトルやアクションを見せ場とし、仲間を助け恋人を守り、ライバルを倒してのし上がり夢を掴むという一貫したストーリー性を軸に、ビジュアルの良い“イケメン一個中隊”が投入され、群像劇としてフォーマット化されるのである。
無様とカッコいいは表裏一体、“ギャグ化”でヤンキー作品復権の可能性
そこで、長い間若者の心を掴んできた不良・ヤンキーコンテンツを現代で再び復活させるための起爆剤として考えられるのが、ヤンキーの“ギャグ化”である。ギャグを前面に押し出すことで、本質的なカッコよさを演出するという考え方だ。金髪、リーゼント、短ラン、ボンタン…そんないでたちのヤンキーは、現代の若者にとっては異世界の人間であり、“化石”と言ってもいい存在。リアルな不良の姿としてではなく、ギャグにすることによって現代の若者層にとっては新鮮に映り、“ヤンキー世代”には懐かしい絵となる相乗効果も期待できる。その点、先述の『今日から俺は?』はまさに短ラン・ボンタンの世界。そしてそのギャグ化において、コメディの奇才ともいわれる福田監督ほど“マッチ”する人材はいないのではないか。
『今日から俺は?』だけじゃない! “カッコ悪いヤンキー作品”にはお宝コンテンツが多数
不良のイメージを“逆手”にとり、“カッコ悪さ”と対比させてストーリーを効果的に展開させる作品はまだまだ多数存在する。チビで最弱の主人公がハッタリでのし上がっていく『カメレオン』、ゴリラ顔の高校生が主人公でどこかオシャレなギャグ要素があった『ゴリラーマン』、また小太りでケンカが弱い走り屋が主人公の『ジゴロ次五郎』、最強の不良が茶道部に入り脱不良計画を企てる『お茶にごす。』(これも西森博之作品)、さらに悪魔のごとき凶悪な顔で天使のような純朴で優しい心を持つ少年が主人公の『エンジェル伝説』など、コンテンツが豊富なだけにギャグ化路線でのヤンキーコンテンツは多くの可能性を秘めている。
平成最後のヤンキー漫画の実写化になるであろう『今日から俺は!!』。福田マジックがさく裂し、原作世代の男性のみならず若者からも評価される作品となるのか? そんな想いを馳せながら10月の放送を心待ちにしたい。