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話題の実写化『ジョジョの奇妙な冒険』、作品力を伝えられていたか

 漫画実写化映画の大作が続く今年。そのなかでももっとも大きな注目を集めていた『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(8/4公開、325スクリーン)が厳しいスタートになった。シリーズ累計発行1億部を超える荒木飛呂彦氏の人気漫画を、東宝とワーナー ブラザース ジャパンが長い歴史のなかで初めて共同で製作、配給を手がけたビッグタイトル。続編を見据えて製作されているが、関係者によると現状は白紙であり「今後の動員を受けて製作が決まる」という。

ネガティブな声があふれるも鑑賞者の評判は良い

 まさに鳴り物入りで公開された『ジョジョ』だが、初週土日2日間の興行成績を見ると(表参照)、『銀魂』(7/14公開、335スクリーン)には遠く及ばず、前週に封切られた『東京喰種 トーキョーグール』(7/29公開、309スクリーン)、若手イケメン俳優が集結した『帝一の國』(4/29公開、292スクリーン)のほか、同じ三池崇史監督の『無限の住人』(4/29公開、331スクリーン)も超えられない結果になった。

『ジョジョ』と同じく『少年ジャンプ』からの実写化である『銀魂』は、公開4週目で興収27億円を突破する大ヒット中。キャストの好演のほか、劇中にちりばめられたパロディや小ネタが原作ファンをはじめ幅広い層にウケている。一方、歴史が深くコアファンの想い入れが強い『ジョジョ』は、実写のアクの強いキャラクタービジュアルなどのネガティブな評判が公開前から絶えず、『銀魂』とは対照的に入口を狭めてしまっていた。

 漫画実写化作品の恒例になってはいるが、とくに『ジョジョ』はネガティブな声が大勢を占める状況になっていた。そんな状況に対してイベント実施のほか、本編映像などの情報出しは公開直前まで積極的に行われていたようだが、初週の結果を見ると効果はあまり得られなかったようだ。

 しかしその一方で、映画が公開されてみると、ツイッターなどネットではポジティブなコメントのほうが圧倒的に多く、原作ファンと思われる鑑賞した人の評判は悪くない。作品として評価する声が目立っているのだ。

作品力を伝えきれなかった?この先の評価への期待

 たしかに個々のビジュアルだけを見ると、個性が強すぎて違和感があるのも確かだが、作品全体としては、舞台となるスペインの街の空気感と、メイク&衣装を含めたキャラクター造形がジョジョ特有の物語の世界観と絶妙に融合し、パンチの効いたキャストの好演も映像世界とうまく重なりあって、思いがけず良いインパクトを放っている。スタンド同士の対決シーンがボリューム的に少なく感じられはするものの、見応えのあるおもしろい作品に仕上っていた。
 鑑賞者の評価が高いのは作品力があるからこそ。しかし今作は、昨年の『シン・ゴジラ』同様、事前の試写はほとんど行われていなかったようだ。結果論ではあるが、もし多くの人に観せ込んでいたら、作品としての力強さ、独特な世界観の魅力が口コミで拡散され、興味を持ったライト層も多くいたのではないだろうか。それによる初動が違っていた可能性もあったかもしれない。この先としては、ロングランから作品としての評価が高まっていくことを期待したい。

 今作は物語全体のなかの序章の作りであり、続編がないことはないだろう。ハリウッドの大作シリーズでは、作品ごとに監督が変わるのが一般的だが、日本でもそういうケースが増えてもいいのではないだろうか。今作を受けて、次は誰がどんな作品を作るのか。そんな楽しみもあるビッグタイトルならではのエンタテインメント作品として、シーンをより盛り上げて欲しい。

『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』
全国公開中 【公式サイト】(外部サイト)
(C)2017 映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会(C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

提供元: コンフィデンス

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