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映像に華を添えるミュージカル “フォーマット”、増加の理由とは
各メディアの“ミュージカル推し”で新たな才能の開花も
実力派歌手が集うミュージカル企画は高いレベルが要求されるが、“だいすけおにいさん”で知られる横山がミュージカルの対応に優れているのは当然として、歌って踊れるアイドルグループの一員である生田も、その高い能力を発揮するあたりは、当企画は新たな才能を引き出すことに成功したと言える。
また、大人でも楽しめる本格的な歌番組とされる現在のFNS歌謡祭は、全体的に視聴率に苦戦している音楽番組の中でも健闘していると言え、特にミュージカル企画は外すことのできない人気コンテンツとなっているようだ。8月に放送された『うたの夏のまつり』(同)と同様のディズニーミュージカル企画を展開するところに視聴者の反響の高さがうかがえる。ミュージカルという形式自体、生歌と歌手本来のパフォーマンスが番組に華を添えるほか、人気歌手同士のコラボが実現できることでもゴージャス感を演出しやすいのだろう。
『ラ・ラ・ランド』の公開以降、急激に増加したミュージカルフォーマット
また、人気のマンガ作品が、若手俳優らの手によってミュージカル仕立ての“2・5次元舞台”となって若い層に訴求力を持つなど、ここ最近はずいぶんとミュージカルとの距離が近くなってきているのである。そして今年2月、世界的な大ヒットとなったミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』が日本でも公開されたことによって、さらにミュージカルへの注目度が高まったと言える。
ミュージカルならではの群像劇の華やかさや緻密に計算されたドラマティックな構成、短い尺で観客にインパクトを与えることができるといったメリットもあり、ミュージカル企画に映像クリエイターたちがこぞって熱い視線を注ぎはじめたのである。
歌番組だけじゃない!? 今やCM、ドラマにも波及
また、今年の夏クールに放送されていたドラマ『ウチの夫は仕事ができない』(日本テレビ系)では、妻役の松岡茉優が夫の錦戸亮のことを妄想する際に、なぜかミュージカル調になっていたが、状況説明としてはとてもわかりやすく、ちょっとコメディっぽいところもドラマの中のいいスパイスになっていた。さらに、登場人物が突然踊って歌い出すということ自体が、俳優たちの意外な一面を覗けるようでもあり、ちょっとしたプレミア感もあったのである。
日本人の文化には合わないとされてきたミュージカルが、ついに定着!?
かつてタモリは、“唐突に歌い出すミュージカルが嫌い”とたびたび公言しており、たしかに多くの日本人がどことなく気恥ずかしさを感じていたことも事実だろう。しかし、ここにきてミュージカルに対する日本人の抵抗感はほとんどなくなった。そして、石丸や山崎らの“ミュージカル俳優”のみならず、ミュージカルに対応できるタレントが実は多数存在していたことも、企画の増加に一役買ったのではないか。舞台作品も多いジャニーズタレントはもちろん、生田のように歌って踊れるグループアイドル所属のタレントがまだまだいることを思えば、今後もミュージカル企画は増えこそすれ、減ることはないと思われる。
形式としてすでに華やかさやインパクトを備えている“ミュージカルフォーマット”は、これからも多彩な映像ジャンルへと広がっていき、さらなる進化を遂げる可能性を秘めているようだ。