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舞台的な演出の『真田丸』、コスパの高さは大河史上最高?
舞台的な進行で、セットやロケの数を大幅カット
さらに言えば、『真田丸』は場面数も極端に少なく、同じセットを使いまわす舞台的な物語進行が特長的。ここ最近では、大坂城、九度山村、沼田城でのやり取りがメインで、城外のシーンなどはほとんどない。16日放送の第41回『入城』でも、信繁が大阪城入城に際して、徳川側を欺くための策を練った(史実のいち表現として)“老けメイク”の変装シーンはあったにもかかわらず、入城シーンそのものは(タイトルが『入城』であるにもかかわらず)一切なかった。
三谷幸喜が“シットコム”的要素のある大河として世界観を構築
“関ヶ原の戦いで”言えば『葵 徳川三代』(2000年)や前出の『信長〜』が規模や迫力といった意味では代表格的存在。大河ドラマではこれまでもさまざまな“関ヶ原の戦い”を描いてきており、例えば『独眼竜政宗』(1987年)では、伊達政宗(渡辺謙)から見た東北版の関ヶ原、『春日局』(1989年)では小早川秀秋の家臣の立場から見た関ヶ原、『武蔵 MUSASHI』(2003年)では当時名も無き兵であった宮本武蔵(市川海老蔵)から見た関ヶ原……と手を変え品を変え、何度も劇中に登場してきた。振り返るに、これら大規模な合戦のあった作品はかなりの制作費が使われたことも想像に易く、過去作を“凌駕”する、または“新たな”見せ方を模索するには確かに予算も時間もかかりすぎるかもしれない。
とはいえ大河ドラマは、大規模な合戦シーンを劇中に入れることができるドラマ枠という意味では、今の日本のテレビ界でほぼ唯一の存在。この先、クライマックスを迎える大坂夏の陣は、物語のメインになるだけに、これまで溜めに溜めたぶんを一気に吐き出して本格的な合戦シーンを展開することになる。合戦シーンに枯渇していた視聴者の溜飲を下げるという意味でも壮大なクライマックスを見せてくれるだろう。
(文:衣輪晋一)