『長生きみそ汁』著者に聞くヒットの秘訣 臨床と自身の経験が生み出すベストセラー
私の外来に来られない、 遠方の人たちの助けになれば
「僕の場合、他人が言っていることや、他人が行った実験データを基にするのではなく、すべて大学院で自分たちが行った実験データを基に執筆していることが受け入れられている大きな要因かもしれません。大学院は常に新しい研究テーマが出され、いろいろな情報が入ってくる知識の宝庫。さらに臨床医として、患者さんたちがどんな悩みを持っているのかも日々聞いていますので、本にしたいと思う企画は常に50個くらいあります」
これまで培った膨大な知識に加え、新たな実験データを基に現代人のリアルな悩みに応える健康法を提案している小林氏。その手法は『長生きみそ汁』にも存分に生かされている。
苦労してきたからこそ 人の心に届く本が書ける
「僕は単に新しいものを提案するのではなく、今まであるものの実績を検証しながら、さらに新しいものを発見するのが一番奥深い実験だと考えています。みその利点は、日本に根付いた素材であり、日本全国どこでも手に入ること。コンビニもないような田舎で手に入らない素材を提案しても仕方ありませんからね」
その根底には氏ならではのこんな哲学もある。
「僕は埼玉のド田舎で育ち、高3で母を病気で亡くし、大学6年のときはラグビーで大けがを負いました。決していい環境ではなくこれまでやってきた。だからこそ、今、本が書けているのだと思います。自分が苦労して、常に克服しようということを考えて生きてきたからこそ、その手法が、皆さんの心に響く基になっているのかもしれません」
ストレスフルな現代社会、次はどんな視点から悩める現代人の“生きる”をサポートする本を送り出してくれるのか、期待したい。
文/河上いつ子
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