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【受賞インタビュー】脚本家・大石静氏が語る『大恋愛』「見る人をこんなに幸せにするコンビはいない」

 若年性アルツハイマーにおかされた女医の主人公を戸田恵梨香、自分を忘れていく恋人を明るく健気に支える元小説家をムロツヨシが演じ、その異色のカップリングの驚きとともに、2人の深くも切ない愛が大反響を呼んだ『大恋愛〜僕を忘れる君と』。そんな今作のオリジナル脚本を手がけた大石静氏が、18年10月期のドラマを表彰する『第14回コンフィデンスアワード・ドラマ賞』で脚本賞を受賞した(本作は戸田恵梨香の主演女優賞とのW受賞)。名作、話題作を生み出し続ける大石氏に、今作への取り組みを聞いた。

チームを信じて、チームが目指したものを作ることに集中した

  • 脚本家・大石静氏

    トロフィーを手にする脚本家・大石静氏

――今作は、放送中の反響も大きかったと思います。そういった視聴者の声が、脚本作りに反映されていくことはあったのでしょうか。
大石静反響はいろいろなところで聞きましたし、目にもしました。でも脚本を書いている時に、そういった声に耳を傾けることはないです。プロデューサー、監督、役者たち、スタッフとのチームを信じて、チームが目指したものを作ることに集中しています。ただ、外を歩いていて、『大恋愛』の話をしている人がいたりすると、励みになりますね。

――最近は、SNSなどの声を参考にする向きもあるようですが、そういったこととは無縁だったんですね。
大石静そこでブレたら何もできないと思っています。チームがやりたいこと、私らしさを見つめ続けていかないと、筋の通ったものはできません。

――『大恋愛』というタイトルで、ラブストーリーに真正面から取り組んだ恋愛ドラマでした。
大石静『大恋愛』という大仰なタイトルは最初はイヤだったのですが(笑)、終わってみればふさわしいドラマだったと思っています。ラブストーリーの王道とよく言われるんですけど、私には何が王道なのかよくわからないです。そもそもドラマは、今を生きている私たちが現代劇を作るわけですから、いまの時代性が反映されていないはずがない。古いとか、新しいとか、今を切り取っているかとか、あれこれ評する人はいますが、本来ドラマの使命は、普遍的な人間の心の奥底を描くことだと、私は思っています。当然それは、30年前、50年前のものと表層は違いますが、親子の問題、夫婦の気持ち、人が人を愛する想いなどは普遍的な感情です。だから、“王道”とか“新しさ”といったことは、意識したことがないです。このドラマ賞では、『今日から俺は!!』が作品賞を受賞されていますが、この作品が描く若者の炸裂するエネルギーや、鬱屈した思いのようなものだって、ずっと昔からある普遍的なものじゃないでしょうか。料理の仕方は福田(雄一)さん独特のものですが。

提供元: コンフィデンス

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