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『3年A組』は不気味な金八先生 “怖い教師ドラマ”系譜としても異色作に

金八先生のようにストレートでシンプルだからこそ不気味

 ただし、興味深いのは、先述の作品などと異なり、『3年A組』では、恐怖を与える教師が「生徒たちの気づきのためにやっている」らしいことが最初から見えていること。

 水泳で活躍している全国区のアイドル的存在・澪奈が自殺した理由も、自殺のきっかけを作った生徒が誰かも、追い込んだ理由も、次々に起こる展開もほとんどが予想通りで、いたってシンプル。

 澪奈を貶めるようなフェイク映像をSNSに投稿した人物・香帆に対する「説教」もまた、熱く、シンプル。「(同じことを)自分にされたらどんな思いをするのか、考えたことあったか」「お前に足りなかったものは想像力だ。どれほど傷つくのか、お前にはその痛みが想像できなかったんだ」だった。

 よく聞くと、まるで金八先生のようなストレートな説教だ。にもかかわらず、菅田将暉の狂気と気迫溢れる演技に飲み込まれそうになるせいで、何か言外の深い意味や、ミスリード的な謎が秘められているのではないかと勘繰りたくなる。さらに、菅田、永野、川栄の、1対1で対峙する演技の迫力には、生々しく熱いセッションを見たような高揚感もある。

 結果、役者の演技力と、わかりやすくシンプルな展開、メッセージ性とが、ちぐはぐにも思えるギャップとなり、かえって気味の悪さにつながっているのだ。そう思うと、恐ろしいのはむしろ「単なる嫉妬心から化け物と化した一生徒」のシンプルな理由が、人の死を招いていることだ。

 わかりやすくシンプルなドラマと高をくくっていると、後々に予想を覆す大胆な仕掛けがあるのではないか。そんな期待と不安が充満する要注目の作品だ。
(文/田幸和歌子)

提供元: コンフィデンス

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