海外でも増加、創造拠点となる「シェアオフィス」の可能性
企業・投資家とのマッチングや法務支援も充実
「co-lab」の集大成的存在という「co-lab渋谷キャスト」の特長は、最先端の機能を有したMR工房や、施設の食堂であり、ワーキングスペース、イベント開催の機能なども備えたカフェの併設など。中でも今回特に注力したのは、起業や知財管理等の法務支援、投資家や企業とのマッチングなど、クリエイターが苦手としやすい分野のバックアップだ。
オフィスを保有しないことで、働き方の幅が広がる
施設内には絵本『スイミー』がコンセプトの壁画が描かれているが、「ただ、この魚の集合体には目玉となる黒い魚がいません。中心があるわけではなく、全員が集合体として動いていく、同施設のコンセプトの表れにもなっています」と田中氏。
「海外ではオフィスを保有しない企業・働き方が増えており、その波は日本にも徐々に押し寄せています。いずれこれは“スタバ化”し、企業が広いオフィスを持たず、社員が各コワーキングスペースで働く流れが一般的になる日も来るのではないかと考えます。育児や介護など、さまざまなフェーズに対応できれば、働き方の幅も大きく広がっていくでしょう」
終身雇用神話が崩壊した昨今の日本では、1つのスキルだけでは時代に取り残され、いずれ会社のお荷物になってしまう……といった問題も指摘されているが、田中氏は「常に新たな情報に触れていれば、長年の経験が深さと広さを生むことに繋がる。シェアオフィスには、“高齢化社会”をも見据えた可能性があるように感じています」と期待を寄せている。
(文:衣輪晋一)
(『コンフィデンス』 17年6月12日号掲載)