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トマトジュース、なぜ人気? カゴメ4年連続過去最高、“昭和の健康飲料”が令和に再評価された背景
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昔のトマトジュースは“有塩”が主流だった?
この点について、カゴメ マーケティング本部飲料企画部の日顕さんは「かつて主流だったのは食塩入りタイプで、トマトの甘みを引き立てる一方、味としてはしっかり輪郭のある飲み物だった」と説明する。
この特徴的な味わいは多くの人に親しまれた一方で、人によっては苦手意識につながる要因にもなっていたようだ。
カゴメ マーケティング本部飲料企画部・日顕さん
ただ、こうした「トマト本来のおいしさを味わえるようになったこと」だけで、現在の好調を説明することはできない。では、なぜいま、トマトジュースはここまで支持を広げているのか。
「目的ドリンク」で1人あたりの購入量が増加
日さんは、かつての立ち位置についてこう振り返る。
「昔の当社の広告施策やCMを見ると、トマトジュースは“大人向けの健康飲料”という、位置付けでした。当時は、こだわりの原料や製法によるおいしさにフォーカスした訴求がメインでした」
この状況が変わる契機のひとつが2016年の機能性表示食品化だ。現在では、「GABAが血圧が高めの方の血圧を下げる」といった機能性関与成分による機能性をパッケージに表示できるようになった。
「今お客様にトマトジュースを飲む理由を尋ねると、機能性表示食品になったことを挙げる方が増えています。コロナ禍以降、健康意識が高まったことや、情報を自分で調べて選ぶ消費行動が広がったことも影響していると思います」
売上の7割以上を占める50代以上では、この“目的の明確化”によって飲用行動が変化した。「気が向いたときに飲む」から「毎日飲む」へと習慣化が進み、1人あたりの消費量も増加しているという。
機能性表示食品化によって、目的を持って購入する人が増えるとともに、習慣化による消費量の増加。これが売上を押し上げた一つ目の要因だ。
若年層にも広がるトマトジュース需要
その変化が見え始めたのはコロナ禍が落ち着き始めた2022年下期頃。現在では、若年層の伸び率はシニア層を上回っているという。
背景にあるのは、SNSを通じた健康意識の浸透だ。食生活や栄養に関する情報に触れる機会が増えたことで、「中高年の飲み物」というかつてのイメージは払拭されつつある。
従来の中高年層に加え、若年層の需要が広がったことも市場拡大を支える要因となっている。
生鮮野菜の高騰による、トマトジュースの新たな役割
「生鮮野菜は高くて手が出しにくい。そうした中で、トマトジュースを選ぶ方が増えています」
需要を支えるのは価格面だけではない。使い勝手の良さも大きな強みだ。
「常温保存ができ、皮をむく必要もなくそのまま使える点が支持されているようです」
下ごしらえの手間がなく調理に直結することから、料理の「手助け素材」として活用する動きも広がる。こうした利用シーンの多様化を受け、日さんはトマトジュースが持つ新たな可能性に期待を寄せる。
「単なる飲料ではなく、“液状トマト”という加工食品の一つと捉えていただければ、使い方はさらに広がるはずです」
“我慢の一杯”から“選ぶ一杯”へ
日々の健康を意識するシニア層や若年層、生鮮野菜の高騰により活用する家庭、そして時短料理の調味料として活用する人――。現代のトマトジュースは、それぞれのライフスタイルや課題に応じて「選ばれる理由」を持つ飲み物へと進化を遂げた。
実はこうしたトマトジュース文化自体が日本特有だ。日さんは、海外との違いをこう説明する。
「欧米などではトマトは料理で大量に使われますが、ジュースとして飲む習慣は限定的と言われています。そもそも野菜ジュースの市場自体が日本独自のもので、海外ではそれほど一般的ではありません。海外の飲料売り場にもトマトジュースや野菜ジュースは並んでいますが、商品のバリエーションも日本には及びません」
時代や生活者のニーズに寄り添い、日本独自の発展をしてきたトマトジュース。この「飲まれ方の変化」を捉えた巧みな価値提案こそが、カゴメが4年連続で過去最高を更新する背景にあると言えそうだ。
※1:出典インテージSRI+/期間:2025年1月-12月/金額ベース/対象エリア:全国/対象業態:全業態/その他:ドライ+チルド、トマトジュースカテゴリー
※2:「カゴメトマトジュース」全アイテムの 2007 年〜2025 年年間(1-12月)出荷実績(容量/ml 換算)より
※3:インテージSRI+/全国/全業態/推計販売規模(容量)/25年」
(取材・文/水野幸則)