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累計会員1000万人を突破する企業も…健康志向の上昇により“必須”となった食事管理アプリのさらなる台頭
栄養指導の一部をDX化、BtoBから個人向けサービスへ
「『あすけん』サービス開始時は、40歳〜74歳の公的医療保険加入者を対象に、特定健診・特定保健指導が実施されることを見越してのことでした。まだスマホはなかったので、パソコンサイトとしてリリースしました」(asken 経営管理部 広報グループ・多田綾子さん/以下同)
「あすけん」は、食事画像やバーコードを読み取るだけで、食事のカロリーや栄養素が表示され、その人に合った目標摂取エネルギーや各種栄養素に対する過不足が一目でわかる。管理栄養士が監修した食事内容に対するフィードバックや食生活のアドバイスを提供することで、ユーザーが振り返り、次の食事で何を食べればよいかを知ることができる。つまり“栄養学の知見とITとの掛け合わせ”により「食事の選択力」を高めるためのサポートを行っているのだ。
管理栄養士が対面で行なっていたことを、ITを通じてより多くの方に提供したい、という想いからスタートした同サービス。
「一般的に、人生の中で管理栄養士の栄養指導を受けることは、なかなかないことだと思います。減量のサポートは管理栄養士が行なうことの一つですが、通常1人の管理栄養士が年間100人〜200人にしかできません。それをITの力があれば数万人、数百万人の方に届けられると考え、サービスの実用化を目指しました」
アプリ化で需要拡大「画像解析」の精度アップが食事記録のハードル低下に
「当初はBtoBサービスとして展開を図りましたが、その後レコーディングダイエットの流行によって、『食事を記録することがダイエット成功につながる』との認識が広がり、利用者が少しずつ増えていきました。そこで個人向けダイエットサポートサービスとしての展開に切り替え、画像解析機能の開発をきっかけにスマホアプリ化が実現しました」
同プリの特徴の一つはメニューのデータベースが10万個以上あること。写真を撮るだけで簡単に記録できる「食事登録機能」は、“毎日記録しなければいけない”というハードルをグッと下げ、ユーザーにとっては実に心強い。いざ登録しようと思った時に「食べたメニューが載っていない」となれば、使い続ける気持ちも半減してしまう。サービスとして、データベースを常に最新に保つことは同社でも注視しているという。
「『食事画像解析機能』の精度をより高めるために、現在も学習、改善を行なっています。重量の解析や見た目が似ている料理の区別など、品質向上の余地はたくさんあるため、常に探究を進めております」
少し前に、柴犬を撮ったら「トースト(6枚切り)」、人の顔を撮ったら「肉まん」と判定されるなど、食事以外の写真が判定される事例がXで話題を集めた。これについて多田さんは、「食事以外の画像解析には元々対応していないため、これは想定外の使い方でした。ただSNS上でユーザーの皆さまが話題にしてくださることは、とてもありがたく思っております」と感想を述べている。
あすけんの女“未来さん”もモチベーション維持に一役
「記録お疲れさまでした」「細かく書かなくても“ざっくり”選べばOKです」のような未来さんからのちょっとしたコメントがモチベーションにつながることも。昨年も「あすけんの女(未来さん)にモロヘイヤ食べるように言われた」「あすけんレディ(未来さん)がすすめるモロヘイヤ。調べたら夏のお野菜なのね」など、“モロヘイヤ”が話題になったことも。普段はなじみのない野菜が、未来さんの栄養指導により食べるきっかけになったりもするのだ。ユーザーとの信頼関係を日々築いていき、昨年11月には、未来さんのアクリルスタンドがカプセルトイになって発売された。おなじみの「泣き顔」や「困り顔」などが商品化され、ファンの間でも盛り上がっていた。
すべての人の『専属栄養士』となり、食事管理の“伴走者”でいたい
これまで順調に推移してきたが、「ユーザーの方々が求めるものをつくる」ことは創業当初から変わっていない。コロナ禍を経て人々の健康志向は高まり、それに合わせて健康系・食事系サービスもかなり増えてきている昨今、さらに選ばれるサービスとなるために努力している点とは?
「すべての人の『専属栄養士』となり、食事管理の“伴走者”でいたいと考えています。そのことが皆さんにも伝わるよう、未来さんの話す言葉やUI(ユーザーインタフェイス)、UX(ユーザーエクスペリエンス)などサービス設計に努めています」
継続率を上げるための仕掛けとして、100点満点で1日の食事の点数をつける「あすけん健康度」を、30点、60点という点数も出せるようにしている。平均点は50点程度のため、60点は良い方だが、ユーザーがさらに良い点数を目指して頑張っている。
「他にも、1週間の日付が表示されているカレンダーに3食記録すると、その日の日付の周りの円がすべて色づくようになっています。こちらも欠けていると気になってしまうので、『せっかくならきれいな丸で揃えよう』と思われる方も多いようです」
ユーザーは、「記録を続ける」「自分の体を知る」「ダイエット」など様々な目的でサービスに触れている。しかし、一番メリットとして感じてもらいたいのは「ご自身が食べているものに興味を持っていただき、食習慣を客観的に見ていただくこと」だと多田さんは言う。
「これまで『あすけん』はダイエットをしよう、との意識をお持ちで、意欲の高い方に多くご利用いただいてきたと思います。元々減量のために食事管理を続けていくことはとてもハードルが高いことです。そのハードルをなるべく低くすることができれば、より多くの方の食生活改善がかなうのではないか、と考えています」