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マンガキャラ讃える「マガデミー賞2023」、特別審査員はハナコが続投「生半可な気持ちでは臨めない賞」

ハナコ

 一般読者の推薦と審査員の審査で、今年最も讃えたいマンガのキャラクターを表彰する『マガデミー賞』。これまで『ミステリと言う勿れ』の久能整、『名探偵コナン』の灰原哀、ちいかわなどが受賞しており、その年の世相や理想のヒーロー/ヒロイン像が浮き彫りとなるアワードだ。今年も先月、ノミネートキャラクターが発表され、個性あふれる顔ぶれが勢ぞろいした。昨年に引き続き、特別審査員を務めるのは芸人のハナコ。審査会を前に、今年の受賞キャラクター予想や、意気込みを聞いた。

⇒『マガデミー賞2023』ノミネート一覧はこちら!(外部サイト)

『葬送のフリーレン』『ブルーロック』『薬屋のひとりごと』…人気作のキャラが勢ぞろい

  • 2度目の「マガデミー賞」特別審査員を務めるハナコ・岡部大(C)oricon ME inc.

    2度目の「マガデミー賞」特別審査員を務めるハナコ・岡部大(C)oricon ME inc.

――今回2度目となる特別審査員ですが、昨年の「マガデミー賞」終了後から、漫画を読む際の意識に変化はありましたか?

岡部大 去年の審査会では、世の中には自分の知らない面白い作品がまだまだあるんだと感じました。なので、今年は今まで以上にマンガ好きな人に面白い作品がないかを聞いて回ったのですが、聞けば聞くほど、もっともっと知らない作品があるんだと思い知らされました。これまで僕はバトルものやスポーツものを多く読んでいたんですけど、昨年のマガデミー賞をきっかけに、審査員特別賞を受賞した『ちいかわ』を読むようになったり、少女漫画を勧められて読んでみたりと、読む作品の幅がだいぶ広がったので、今年は昨年よりもフラットな目線で審査できるんじゃないかなと思います。
  • 茅野うみ子は「共感度が高い」と語るハナコ・秋山寛貴(C)oricon ME inc.

    茅野うみ子は「共感度が高い」と語るハナコ・秋山寛貴(C)oricon ME inc.

――今年のノミネートキャラの顔ぶれを見て、どう感じましたか?

秋山寛貴 主演女優賞の茅野うみ子(『海が走るエンドロール』)フリーレン(『葬送のフリーレン』)は、元々好きなキャラクターなので、ノミネートされていて嬉しかったです。うみ子は個人的にものすごく共感度が高くて。例えば、うみ子は映画館で客席を見るのが好きで、僕もお笑いの劇場だと、客席の反応が見たいから、後ろの席が好きなんです。

フリーレンは仕事ができて抜け目ないけど、朝起きるのは嫌とか、そういう人間くささのある絶妙な感じが好きですね。フリーレンの弟子になってみたいし、上司になって彼女を助けながら一緒に旅をしたい、上にも下にもつきたいと思わせてくれるキャラクターですね。好きだからと言って、審査でえこひいきはできませんが(笑)。
  • 「マガデミー賞」を機に『スキップとローファー』を知ったというハナコ・菊田竜大(C)oricon ME inc.

    「マガデミー賞」を機に『スキップとローファー』を知ったというハナコ・菊田竜大(C)oricon ME inc.

菊田竜大 去年のマガデミー賞で、主人公の美津未ちゃんが主演女優賞にノミネートされていた『スキップとローファー』が、今年は作品賞としてノミネートされているのが印象的でした。昨年の審査をきっかけに『スキップとローファー』を知ったんですけど、恋愛だけではない、高校生たちの日常を描いた不思議な魅力がある作品なんですよね。読んでいて感情がすごく高ぶります。僕、美津未が大きく踏み出す7巻最後の展開には、声出ましたもん(笑)。

岡部大 僕は助演男優賞に『ブルーロック』から2人(糸師凛、御影玲王)もノミネートされているっていうのが納得でしたね。もう全員が主人公になれるぐらい、魅力的なキャラがたくさん登場する作品なので、助演男優賞に2人ノミネートされているということが、『ブルーロック』という作品らしさを表していると思いました。

ハナコ

今年の「マガデミー賞」受賞者を予想するハナコ(C)oricon ME inc.

――ズバリ、誰が受賞しそうですか?

菊田竜大 難しいなあ。主演男優賞は紬凛太郎(『薫る花は凛と咲く』)かなあ。強面だけど、一途に薫子を想う姿は、やっぱ格好良かったですね。それでいて、一見、ベタな恋愛漫画の主人公かと思いきや、読者の予想を裏切る行動をしてくれて、引き付けられるんですよね。凛太郎は男性にも女性にも支持される主人公だと思います。

秋山寛貴 やっぱり、うみ子(『海が走るエンドロール』)はかっこいいですよね。自分の隠してた気持ち、衝動、欲求とかを引き出すきっかけに出会って、それに従って努力をしてみる姿は、心を打たれるものがありますね。それを女性のキャラクターがやっているというのは、僕は見たことなかったので、有力候補なんじゃないかと思います。

岡部大 助演男優賞のヒンメル(『葬送のフリーレン』)は、1話冒頭で天寿を全うして故人になるので、本編にほぼ登場しないんですけど、回想で登場した時に発する一言がグッと染みてくるんですよね。しかも、僕らの世界を広げてくれるような名言が多いので、登場シーンが少なくても印象に残ります。

トレンドの悪役令嬢、満を持しての『アフロ田中』もノミネート「審査会はバチバチです(笑)」

悪役令嬢とは「距離を置きたい」と話す秋山(C)oricon ME inc.

悪役令嬢とは「距離を置きたい」と話す秋山(C)oricon ME inc.

――今年の傾向として、レミリア・ローゼ・グラウプナー『悪役令嬢の中の人』、サフィア・ダイアンサス『悪役令嬢は溺愛ルートに入りました!?』、朱慧月『ふつつかな悪女ではございますが』などの「悪役令嬢」ものが多くノミネートされていますが、「悪役令嬢」についてどのように感じましたか?

秋山寛貴 僕は初めて出会ったジャンルでした。「悪役令嬢」って厄介ですよね、身分も高いし悪いヤツっていうのは。僕は逆らえない。従うしかないです。だから、ちょっと距離を置きたい存在ですね(笑)。

岡部大 今までの王道マンガ作品を全部“フリ”にして、皆が認識しているステレオタイプの悪役やライバル役にスポットライトを当てている、という感じですよね。確かにライバルが魅力的だとその作品も面白くなるので、新たな視点だと感じました。…僕の身近に、霜降り明星の粗品という悪役令嬢みたいなやつがいるんですよ、男版の(笑)。それで言うと、近くにいないと理解できない部分もあるかと思いますが、ふとその人間味に触れたときにギャップにやられてしまうんですよね。ヤンキーの優しさにきゅんとするみたいな(笑)。その人なりの美学がないと、ああいう振る舞いは出来ないでしょうし、その美学に触れた時には、もう好きになってしまっているんですよね。

育児に奮闘するアフロ田中の姿に、自身の生活が重なったという菊田(C)oricon ME inc.

育児に奮闘するアフロ田中の姿に、自身の生活が重なったという菊田(C)oricon ME inc.

――一方で、一般的なイメージのヒーロー像とは違う、田中広『マイホームアフロ田中』などもノミネートしています。

菊田竜大 田中広は僕らと同世代ですし、『マイホームアフロ田中』で描かれていることには共感しかなかったですね。家を買おうとしていて、娘さんがちょうどイヤイヤ期で…という設定も。僕の娘もイヤイヤ期で、なんかもう僕たち夫婦の日常じゃんと思って、妻に言いましたもん(笑)。「ちょっとここだけでいいから読んでくれ、俺らの経験してるものがまさに描いてあるぞ」って。読みながら、ちょっと興奮しましたね。

岡部大 もう満を持して、という感じですよね。僕ら全日本男子が持っているしょうもない部分、見栄っ張りとか、意気地なしのところとか、大人になりきれずに子どものままの部分とか、「やっぱ俺らってこうだよな」って面を見せてくれる。“引っ張ってくれる”という感じじゃなく、“寄り添ってくれる”という田中の主人公像が、時代にマッチしていると思いました。

「マガデミー賞」は生半可な気持ちでは臨めないと明かす岡部

「マガデミー賞」の審査は生半可な気持ちでは臨めないと明かす岡部

――そんな激戦を審査しなければならないわけですが、それぞれ審査基準はどこに置かれていますか?

秋山寛貴 多くの人を勇気づけたとか、影響力があるという点でしょうか。それと今っぽさ「現代の人々に必要とされるかどうか」も考えています。今年のノミネートキャラクターの傾向として、めちゃくちゃすごいパワーを持っているというより、共感度の高い、現実世界でも出会いそうなキャラが少し多い気がします。

菊田竜大 実は僕が審査を担当した「主演男優賞」では、ノミネートされた5名の中で、一人だけ審査項目がすべて満点だと思うキャラクターがいたんですよ。でも僕、そのキャラクターではなく、審査項目に加えて「人間性」を評価して、別なキャラクターを推しています。だから最終的には、「人間性」を重視していますね。

岡部大 これから審査会なんですけど、審査員の方々の熱量が本当にすごいんです。皆さん推しがいて、それぞれ譲れない思いがあって、バチバチにやりながら選ばれるので、審査会も見てもらいたいぐらい(笑)。それぐらい生半可な気持ちでは臨めない賞です。3月13日の受賞キャラの発表を、ぜひ楽しみにしていてください!

ハナコが特別審査員を務めた「マガデミー賞2023」の受賞者は、3月13日に発表される

ハナコが特別審査員を務めた「マガデミー賞2023」の受賞者は、3月13日に発表される

(取材・文=衣輪晋一)

「マガデミー賞2023」ノミネートキャラクター・作品

主演男優賞
・田中広『マイホームアフロ田中』
・紬凛太郎『薫る花は凛と咲く』
・山田秋斗『山田くんとLv999の恋をする』
・諭吉『デキる猫は今日も憂鬱』
・ユル『黄泉のツガイ』

主演女優賞
・茅野うみ子『海が走るエンドロール』
・フリーレン『葬送のフリーレン』
・猫猫『薬屋のひとりごと』
・レミリア・ローゼ・グラウプナー『悪役令嬢の中の人〜断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします〜』

助演男優賞
・糸師凛『ブルーロック』
・サフィア・ダイアンサス『悪役令嬢は溺愛ルートに入りました!?(コミック)』
・ヒンメル『葬送のフリーレン』
・御影玲王『ブルーロック』

助演女優賞
・一条花『アオアシ』
・黒龍キリカ『トリリオンゲーム』
・朱慧月『ふつつかな悪女ではございますが 〜雛宮蝶鼠とりかえ伝〜』

作品賞
・『スキップとローファー』
・『ふつつかな悪女ではございますが 〜雛宮蝶鼠とりかえ伝〜』
・『ホタルの嫁入り』
・『山田くんとLv999の恋をする』
・『龍とカメレオン』

⇒歴代受賞キャラクター一覧はこちら!(外部サイト)

マガデミー賞2023概要

マガデミー賞

今年の受賞者発表は3月13日

勇気や感動、毎日に豊かさをくれた、その年のマンガのキャラクターを讃えるアワード。ブックライブが主催となり、2021年に第1回、2022 年に第2回を開催。開催3度目となる今年度は、マンガのキャラクターとともに、作品単体でも推薦することが可能に。特設サイトおよびXによる一般推薦と、その結果をもとにマンガに詳しい各書店員をはじめとした審査委員会による審査で受賞キャラクター・作品を決定する。

選考対象
・キャラクター推薦:2023年に単行本が発売された、もしくは発売予定のマンガ作品のキャラクター
・作品推薦:2023年に単行本が発売された、もしくは発売予定のマンガ作品のうち、最大巻数が10巻までの作品
受賞部門
主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、審査員特別賞、作品賞の6部門
受賞発表
2024年3月13日
主催
株式会社BookLive
協賛
三省堂書店、TSUTAYA、honto電子書籍ストア、丸善ジュンク堂書店
審査員
特別審査員:ハナコ、審査員:すず木(ブックライブ 書店員)、スギノ(ブックライブ 出版社営業担当 書店員)、近西 良昌(三省堂書店 コミック売場担当 書店員)、虎澤 佑紀(三省堂書店 コミック、ビジネス資格書、理工PC 書売場担当 書店員)、三宅 理恵(TSUTAYA コミック担当 書店員)、荻野 晶(honto 電子書籍ストア コミックジャンル担当 書店員)、小磯 洋(丸善ジュンク堂書店 営業本部 コミック仕入統括担当 書店員)
※各審査員の所属情報・肩書は、2023年12月時点のもの。

⇒『マガデミー賞2023』詳細はこちら!(外部サイト)
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