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お金、ブランド、ステイタス…欲望の9割は“他人の模倣” 本当の自分の欲望どう見つける?

 SNSで話題となり、昨年末に5刷の重版出来となった『欲望の見つけ方〜お金・恋愛・キャリア』(早川書房)。パテックフィリップが欲しい、バーキンを持ちたい、出世したい、タワマンに住みたい、異性にモテたい、SNSで羨ましがられたい…こうした欲求のほとんどは「模倣である」と説いている。それでは“真の欲望”とは一体何なのか。“欲望”とうまく向き合うにはどうすればいいのか。

欲望の正体は「薄い欲望」と「濃い欲望」の二つ

『欲望の見つけ方〜お金・恋愛・キャリア』(早川書房)は、哲学者のルネ・ジラールが提唱した「模倣の欲望」理論を起業家であるルーク・バージスが詳しく解説している書籍。“欲望が生まれるメカニズム”についてまとめられた一冊で、お金持ちになりたい、旅行がしたい、高級車に乗りたい、タワーマンションに住みたいなどといったさまざまな欲望を人が持つようになる理由について、「周りが(それを)欲しがるゆえに自分も(それを)欲しくなる」という模倣からきていると説いている。

 ただ、SNSや街中、職場や学校などで誰かが欲しがっている姿を見て自分も欲しくなるというような欲望は、所詮は他人の真似から生じたものなのですぐに飽きてしまうのも事実。そもそも私たちがほしがるものの8〜9割は、誰かの真似によって引き起こされる。つまり、ほとんどの欲望にはモデルが存在するのだ。欲しいと感じたときには、それを欲しがっている人の真似をしていることが多いといえる。でも、そのモデルの存在に気づかないまま、無意識のうちにほしくなるケースが大体だ。そういった欲望は自分の内側から発生したものではなく、ただ他人の欲望を真似しただけのものなので、とても軽いし、叶えてもそれほど幸せは感じられない。この本ではこれを「薄い欲望」と表現している。

 一方、残りの1割はどうか。自分の内側から湧き上がってくるものであり、幸せな気持ちが長続きする上に、周りの環境に左右されることもない。それを「濃い欲望」と表現している。「濃い欲望」は、「薄い欲望」とは違い、何十年経っても変わることがない。だからこそ、8〜9割を占める「薄い欲望」に惑わされず、1割の「濃い欲望」を追求していくほうが、人生は充実すると考えられる。

とはいえ、SNSなどの発達によりあらゆる情報が自然と流れ込んでくる現代は、毎日たくさんの「薄い欲望」が身の回りで発生している。外を出れば、二重手術を煽る美容整形外科のビル広告、SNSを開けば、インフルエンサーおすすめのアイテム、爆売れグッズ、行列のできるラーメン屋に行ってみた投稿…そして、私たちはそれらを無意識に取り入れているため、「薄い欲望」だとしっかりと認識することがとても難しい。自分でもなぜ欲しくなったのかがわからないまま欲望だけが膨らみ、次第に1割の「濃い欲望」が見えづらくもなってしまうのだ。

 では、「薄い欲望」にまみれることはいけないことなのか。「薄い欲望」に振り回され続けると、他人の欲しがるものを欲しがっていると無用な競争が起こりやすくなるからだ。結果としてそれを手に入れられてもたいして幸せを得ることはできない。それがわかっていないと、いつまでも「薄い欲望」に振り回され続け、本当の自分の「欲望」に気づくことが難しくなっていく。

 とはいえ、好きなアイドルの歌やダンスを真似しているうちに、いつしかそれ自体が好きになり、アイドルを目指すケースのような、「なんとなく他人の欲望を模倣しているうちに、そこから自分の「濃い欲望」を見出すこともある。一方で、地位や名誉、お金を手にすることができたときに、これが自分の「欲望」ではなかったと気づくことだってあるのだ。

 大切なのは、「欲望」を叶えた先で自分がどう感じるのかを大切にすることかもだろう。エルメスのバーキンを手にしてみてどう思うのか、タワマンに住んでみて実感するのは満足感なのか、虚無感なのか――。「自分の内側から湧き上がってくる「欲望」が何なのかをきちんと認識し、その「欲望」とうまく向き合っていくことが、より充実した幸せな人生を送るための大きなポイントになる。『欲望の見つけ方〜お金・恋愛・キャリア』は、そのことに気づかせてくれて、じっくりと考えるきっかけを与えてくれる一冊だといえる。

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