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群雄割拠の24時間無人ジムで問われるマナー、“暗黙のルール”は? トレーナーに聞くNG行為と正しい利用の仕方
マシンを「ガシャーン」と大きな音を出すのはNG トレーニング効率も悪く、器具破損の原因に
田高さん トレーニングマシンは、基本的にウエイトをケーブルで引っ張り上げることで筋肉に負荷をかけるので、戻すときにウエイトを重量に任せて落とせば、器具同士が当たる衝撃で大きな音が出ます。これはマシンが壊れる原因になるだけでなく、マシンの衝撃や破損が利用者のケガにつながる安全性の問題のほか、利用者にとってもせっかく行うトレーニングの効率を下げています。
――トレーニングマシンは頑丈なイメージがあります。マシンの流行(トレンド)に関係なく、通常使用した場合の「寿命」はどのくらいなのでしょうか?
田高さん 日頃の使い方やメンテナンスの状態にもよりますが、一般的に10年以上使用できます。適切に使用していれば、簡単に壊れるものではありません。ただし、ウエイトを勢いよく下ろしたり、器具同士が激しくぶつかるような使い方をするとマシンが破損する原因になります。そうした場合は、マシンの耐用年数に関わらず故障することがあります。
大声での会話やトレーニング中に声をかけるのは危険行為…安全性の確保とトレーニング効果は表裏一体
田高さん トレーニングマシンを使用して筋肉を伸ばして縮める動作を行います。そこで、押したり、引いたりしてウエイト(重量)を上げるのと同じくらい、元の位置にウエイトをゆっくり戻す時に筋肉を使うことが大事です。ウエイトをゆっくり戻して、完全に下につく前に再び上げることで、筋肉を休ませない。負荷をかけ続けたほうが効率の良いトレーニングになります。
――ウエイトを戻すのも筋トレの一部なんですね。
田高さん 「ネガティブストレス」と言い、マシンを元の位置に戻す時にも筋肉を使っています。また、筋肉を縮める時よりも伸ばす時の方がストレスは大きくなります。それをしっかりやるのとやらないのでは、トレーニング効果は何倍も変わります。
――マシンを安全に効率よく使用する上で、心得ておいた方がよいことを教えてください。
田高さん 前述以外では、トレーニングを始める時のマシンのスタート位置が大事です。例えば、レッグプレス(下半身を鍛えるマシン)の座る位置が浅いと、膝の曲げ伸ばし(伸び縮み)の幅が小さくなり、効果を得にくくなります。マシンごとに正しい姿勢になるスタートポジションをしっかり作ることを意識してください。
――利用時のルールやマナーは室内にも掲示されていますが、とくに注意したほうがいいことはありますか?
田高さん 基本的には周りの方の迷惑にならないことです。大声での会話やイヤフォンの音漏れのほか、トレーニングマシンは多くの方が利用しますので、1人で何十分と連続して使用しないことや、使用後に元のセッティング位置に戻して触れた部分を拭き掃除するなど。またchocoZAPでは、食べ物の持ち込みや喫煙等はご遠慮いただいています。
――「トレーニング中の人にむやみに近づいて話しかけるのはNG」というのも聞いたことがあります。
田高さん タイミングにもよるので一律で禁止行為ではありませんが、基本的にトレーニング中に声をかけられるのは安全性が脅かされる場合があります。集中してマシンを使用している時に、急に気がほかに向いて怪我をしてしまうことがあるかもしれません。ただ、その方がマシンを間違って使用していたり、危険な状態だった場合は、その限りではありません。
迷惑行為の防止だけでない施設利用のルールとマナー 正しい器具利用は怪我予防に繋がる
田高さん 最初の話とつながりますが、多いのは勢いよくウエイトを「ガシャーン、ガシャーン」やること。大きな音を立てたり、勢いをつけて反動を使うと重いウエイトを何回も上げられるので達成感はあります。しかし、筋肉にストレスや刺激があまりかかっていないため、効果が薄くなります。もう少しゆっくり負荷をかけないともったいないと感じることはよくあります。
――ほかにも「期待以上の効果が得られない」といった利用者が陥りやすい行動はありますか?
田高さん 慣れてくると滞在時間が長くなり、トレーニングをたくさんするようになりますが、その長くした時間分の効果が見込めるかというと一概にそうでもありません。インターバルは長すぎても良くない。短時間で集中してトレーニングすることで十分な効果を得られます。ウエイトが軽いトレーニングであれば、インターバルも短く、重ければ長くを意識します。ただ、トレーニングの合間に長時間スマホをいじったりする方もいますが、集中して短時間でやり切ることをおすすめしています。
――プロ目線から見た施設での利用者の“神対応”はありますか?
田高さん 多くの方が利用する施設なので、ほかの方への気配りや気遣いですね。トレーニング後に自身が使ったマシンだけでなく、床に落ちた汗まで拭き取っている方など、見ていてとても気持ちが良いです。混んでいる時に、次の方とアイコンタクトを取りながらマシンを代わったり、率先してお声がけしたり、周りを見てトレーニング時間を考えてくださる方もいます。
――トレーナーさんから利用者へのお願いはありますか?
田高さん 施設のルールやマナーは、他の方への迷惑行為の防止と同時に、安全に利用していただくためのものです。マシンを使用する時に、フォームを間違えた状態では怪我につながります。また、ウエイトが重すぎるとフォームがくずれやすくなります。正しいフォームで無理のない範囲のウエイトを使ってください。さらに、マシンを乱暴に扱うと、機器によっては指を挟んだり、衝撃が身体に伝わり怪我につながるケースがあります。「(1)正しい方法で使う」「(2)正しいフォームで使う」「(3)丁寧に扱う」の3つを常に心がけてトレーニングしましょう。
(文/武井保之 写真/中村大輝)
トレーナー 田高将也(ただか まさや)さん
RIZAPサービス開発部サービス企画ユニット業務推進ユニット ユニット長。
RIZAP池袋店でトレーナー経験後、教育開発部として全国のトレーナー教育とメソッドやプログラム開発を担当。芸能人やテレビモニターのボディメイクも担当しながら、テレビやYouTubeなどのSNSに多数出演。現在はRIZAPとchocoZAPのプログラムを開発。
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