• ORICON MUSIC(オリコンミュージック)
  • ドラマ&映画(by オリコンニュース)
  • アニメ&ゲーム(by オリコンニュース)
  • eltha(エルザ by オリコンニュース)
  • ホーム
  • ライフ
  • 日清『カレーメシ』試行錯誤で10周年、「水を入れてレンチン」→「お湯を注ぐ」変更で売上2倍に
ORICON NEWS

日清『カレーメシ』試行錯誤で10周年、「水を入れてレンチン」→「お湯を注ぐ」変更で売上2倍に

 2013年、『日清カップカレーライス』の名で発売された現『日清カレーメシ』。発売当初は、水を入れてレンジで温めて調理する仕様だったが、2016年に熱湯を注ぐ調理方法へとリニューアル。すると、お湯を沸かす方が手間がかかる気もするが、年間売上は2倍に跳ね上がったという。発売から10年、試行錯誤を繰り返し、「セット米飯カテゴリー」で売上No.1に上り詰めた同商品の軌跡を日清食品に聞いた。

日清の鬼門だった「カップライス」…発売から半年で改名、ターゲット絞り売上アップ

 日清食品といえば「カップ麺」の印象が強いが、実は「カップライス」の歴史も古い。おなじみ『カップヌードル』が発売されたのが1971年。その4年後、「麺の次は米だ」と言わんばかりに『カップライス』という商品が発売された。味はエビピラフなど7種類。発売直後こそ好調だったが、消費者は「物珍しさ」だけでは買い続けてくれなかった。

「発売前の試食会や発表会では好評でしたが、発売から1ヵ月を過ぎた頃に注文が激減しました。スーパーでは、一度買い物かごに入れた『カップライス』を棚に戻して、インスタントラーメンを購入する主婦が多かったのです。その理由を尋ねると、“ご飯なら家で炊けるけど、ラーメンは自分で作れないから”との答えが。検討を重ねた結果、『カップライス』の事業から一時撤退することになりました。この時から、ライス商品での成功は当社の悲願となりました」(日清食品・中村圭佑さん/以下同)
 『カップライス』が発売された頃の世帯構成はいわゆる大家族がメインだった。しかし、2000年代に入ると、単身世帯を中心に“米は自宅の炊飯器で炊くもの”という固定概念が崩れ始める。この社会変化を受け「今ならチャンスがある」と、2013年に『カップカレーライス』を発売。ラーメンと並ぶ国民食の1つであるカレーライスに懸けた。

「お米とルゥと具材が直接カップに入っているので、水を入れてレンジでチンするだけで、手軽に“煮込んだカレー”が楽しめると話題になり、売れ行きも決して悪くありませんでした。しかし、一部の消費者から『カレーとライスが最初から混ざっているものはカレーライスとは言えない』との意見が寄せられました。味に対する評価は高かったので、商品のコンセプトや特徴をどう見せていくかというマーケティング的な課題を解決する必要がありました」

 これを受け、発売からわずか半年後にブランド名称を『カレーメシ』へと変更し、パッケージデザインも一新。従来のカレーライスとは異なる新しい食べ物=“ルゥでもレトルトでもない、第3のカレー”と位置づけ、ターゲットも全世代向けから若年層に絞って訴求した。

 テレビCMは、『理解不能な新しさ』をコンセプトに、ぶっ飛んだ世界観の尖った映像を作り上げた。『カップカレーライス』のときから味はほとんど変えていないにもかかわらず、リブランディング後の売上は前年を大きく上回った。

お湯を沸かす必要ないのに…レンチン即席、定着せず「便利さだけでなく、心理的な障壁」

 そして2016年、今度は「レンジ調理」から「湯かけ調理」に変更する。

「多種多様な冷凍食品が発売され、電子レンジ調理は以前と比べて一般的になりましたが、カップ麺の調理方法に慣れ親しんでいる日本の消費者には、やはり『カップヌードル』のような『湯かけ調理』の方が簡便性や利便性を感じてもらえると考えました。わざわざお湯を沸かす必要のない『レンジ調理』でしたが、一度染み付いた習慣は、なかなか抜けないものです。便利さだけでなく、心理的な障壁を取り除く必要がありました」
 「湯かけ調理」の効果は多方面に表れた。店頭にあるポットでお湯を入れて持ち帰るという『カップヌードル』的な利用ができるようになり、コンビニなど取り扱ってもらえる店舗が増えた。また、オフィスでレンジ待ちする必要がなくなったり、レンジが使えないアウトドアでも食べられたりと、思いがけないメリットも後押しとなり、年間売上が2倍に急増した。

味のこだわりは「クセの強さ」、中毒性ある“おやつ以上、食事未満”でリピート獲得

 2017年度もリニューアル前に比べて売上が1.7倍に伸びるなど、「湯かけ調理」への変更以降、右肩上がりに成長し続けている。2020年のコロナ禍以降は在宅勤務が浸透する中で、 “おやつ以上、食事未満”のポジショニングが功を奏した。

「コロナ禍では日常の活動量が低下してお腹が減りにくくなり、1食を0.7食程度に抑えた軽い食事を摂る方が増加しました。“おやつ以上、食事未満”の存在として『カレーメシ』を選ぶ方が増え、客層が広がるきっかけとなりました」

 また、リピーターが多いことも同商品の特色だ。開発では、“クセの強さ”を重視している。

「どれだけ美味しくても、繰り返し買ってもらえないと意味がありません。“もう1回食べたい”と思ってもらえるような味を目指しています。そのためには、何かしら引っかかりのある“クセ”が大事です。スプーンでグルグルとかき混ぜる調理方法や、ドロッとしたルゥは『カレーメシ』ならではの特徴です。また、メインフレーバーの『ビーフ』のルゥには酸味を少し利かせるなど、味わいの面でも『カレーメシ』らしい“クセ”にこだわっています」
 無性に食べたくなる中毒性で、掴んだユーザーを離さず、昨年遂に年間売上100億円を突破。「湯かけ調理」へのリニューアルを行った2016年からの6年間では、3倍以上もの成長を遂げた。だが、中村さんは「まだまだ」と満足していない様子だ。

「レトルトカレー市場と比較すると、『カレーメシ』の売上は10分の1程度。また、ある調査では、『レトルトカレー』を年に1回以上買う方が6割以上いるのに対し、『カレーメシ』を買ったことがある人は圧倒的に少ない。味の評価は高く、リピーターが多いので、まずは『カレーメシ』を食べたことのない人に知ってもらう必要があると感じています」

 そこに立ちはだかるのは、やはり最大のライバル『カップヌードル』だ。過去にはCMで「メンよりメシ」というメッセージを打ち出していたし、『カレーメシ』のパッケージには今もさりげなく「カップヌードルよりウマい!(自称)」と書かれている。今後、日清食品内での下剋上はあるのか、『カレーメシ』の伸びしろに期待したい。

あなたにおすすめの記事

 を検索