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「私の家、ホテル代わりじゃないんだけど」結婚“したい”女と“したくない”男、意外な「三角関係」の行方は?

 “結婚”に対する男女の価値観の違いというのは、いつの時代も話題になる普遍的なテーマ。特に30代に突入したカップルは、それがもとで気まずくなるケースも多い。ebookjapanのオリジナル作品『結婚したい私と、彼氏じゃない人との二人暮らし。』で描かれているのは、結婚したいアラサー女子と、結婚は意識していない年下彼氏の物語。なかなか一歩踏み出せない彼女だったが、ある日大胆にもオネエ系(?)との同居を開始。事態は大きく変わっていく。同じ状況で悩んでいる女性に勇気を与える本作に、作者のNARATAさん(原作)、ゆいじさん(作画)が込めたメッセージとは?

物語の着想は友人の話「今の彼と結婚したいけど、なんか、したくない」

 美容師のはるか(33)と、彼氏の浩介(30)は付き合って3年のカップル。結婚したいはるかは、そうでもない浩介との温度差を感じ、些細なことも口に出さずに言えない、モヤモヤを抱える日々を送っていた。そんなある日、はるかは、彼氏と別れて引っ越し先を探すオネエ系(?)な優希(33)と同居生活を始めることを決め、それにしぶしぶ同意する浩介。この同居をきっかけに、はるかと浩介のお互いへの気持ちが浮き彫りになっていく…。

――30歳を超え、結婚を意識する女性とそうではない男性という、ある種男女関係の普遍的な問題をテーマにされています。本作のアイデアはどのように着想されたのですか?
NARATAさん友人と夜中にウォーキングしていた時に「今の彼と結婚したいけど、なんか、したくない」という話をされて、その言葉が頭にずっと残っていまして、そこからこの物語が生まれました。当初はその言葉を軸に作っていたのですが、途中から「この主人公は結婚したいことを素直に言えないだけなのでは?」と思うようになり、そこから、はるかのキャラクターが今の形になりました。

――作画のゆいじ先生は、どのような経緯で本作を担当することになったのですか?
ゆいじさん担当さんから“ジェンダーレス”の原作があるとお誘い頂いたのがきっかけです。単純に興味が湧いたので「やってみたいです」とすぐにお返事したと思います。

――本作の大きな特徴として、“倦怠期”のカップルの起爆剤のような存在になるのが、パンセクシュアル(=相手のセクシュアリティに関係なく「好きになった人が好き」という考え方)の優希です。はるかと同居することになった優希の存在はカップルの2人にとっても大きなものになっていきます。そもそもどういう思いから、優希を登場させたのでしょうか?
NARATAさん現実的に難しいとは思うんですが、「異性だけど、どういう人であれば一緒に住むことがギリギリ許容なのだろうか?」と考え、当初は、オネエ系男子を想定していました。そうこう考えている内に、パンセクシュアルという価値観を知り、周りにそういった方もいて、お話を聞くこともできたこともあって決めました。優希は、胸キュンさせてくれるビジュアル担当であり、はるかや浩介のツッコミ役として大変助けてもらいました。

結婚しない選択もありだからこそ、人とのつながりは大事に「『孤独』は苦しいもの」

――優希との同居は、はるかに「私の部屋、ホテル代わりにするのやめてもらう」と勇気を与え、一歩を踏み出すきっかけになります。ゆいじ先生は、優希をどのようなことを意識して、作画されたのでしょうか?
ゆいじさんキャラクターに関しては優希に限らず、私がこの作品の最初の読者だという意識は常にありました。なので、原作を読んで、素直に自分が感じたキャラ性でネームを描き、確認をしてもらいました。優希は最初から勝手にハーフイケメンのイメージがあって、担当さんに伝えたら「それでいきましょう」と言ってくれたので決まりました。ただ…。

――ただ…?
ゆいじさん原作を頂いて、作画するにあたり「パンセクシュアルとは?」と形ばかり考えて、「優希って難しいな…よくわからない、正解は?」と、浩介に似た感覚だったのかなと思います。でも、作中で優希を知っていく中で、はるかが優希に対して考えを伝えた言葉に私の気持ちも落ち着きました。

――優希の存在は、はるかと浩介が次のステップへ進むきっかけになっていきますが、現実社会では、なかなかうまくいかず、一歩を踏み出せずに悩んでいる人も多いのではないかと思います。先生ご自身は、作品を通じてどんなメッセージを感じ取ってもらいたいと思っていますか?
NARATAさん言いたいことを飲み込んで生きている方々に、一言でいいので、何か言いたいことを言葉にしようと思って頂けたらうれしいですね。

――価値観が多様になった現代ですが、本作で33歳のはるかが結婚への“焦り”をみせたように、女性にとって30代というのはひとつの分岐点になるような気がします。本作では、男女の考え方の違いもリアルに描かれていますが、先生ご自身は、結婚というものについてどのようにお考えですか?
NARATAさん私自身、してもしなくてもどちらでもいいと思います。ただ、もし独身という選択をするのであれば、友人や親族との付き合いなど、人との繋がりは大切にする必要があると感じています。生きていく上で「孤独」はとても苦しいもの。だからこそ、いろいろな関係性があってもいいのでは? という思いも、はるかと優希の同居にこっそり込めています。

――そんなメッセージが込められていたのですね。
NARATAさんはい。また、女性は出産のリミットを踏まえて結婚に向き合う機会が男性より多い気がしています。一方で、既婚女性や母親になった女性に対して、世間から強く求められている理想像……「呪い」のようなものはいまだに強く感じます。そういったものに一石を投じることの出来る作品をいつか作りたいと思っています。

――既婚女性への根強い“理想像”に一石を投じる作品、楽しみです。本作の話に戻りますが、この“三角関係”は今後どうなっていくのですか? 
NARATAさんはるかが、結婚に対してどのように選択をしていくのか? 今の二人暮らしはどのようになっていくのか? 注目して頂けたらうれしいです。

――今後の展開も楽しみですね。では最後に、この記事で本作を知って読んでみようと思う方もいらっしゃると思います。読者へのメッセージをいただければ幸いです。
NARATAさん結婚したい方、したくない方、すでにしている方、していた方など、多くの方を抱きしめる気持ちでこのお話を考えました。少し変わった同居ライフを楽しんで頂けたらうれしいです。

ゆいじさんはるかのウジウジしつつ前に進んでいく頑張り、浩介のはるかが大好きだけどうまくできない具合、優希の我が道をしっかり歩んでいく姿。3人の行く末を楽しんでいただけるとうれしいです

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