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【話題のマンガ試し読み】「次にくるマンガ大賞」入賞 女子高生の“百合”作品が人気を増す理由「女性同士の連帯・友情・恋愛関係に心惹かれる方が増えるのはうれしい」

 過去に『【推しの子】』などが1位を獲得し、ブレイクの登竜門といわれる「次にくるマンガ大賞」。5000近い作品がエントリーした今年、「Webマンガ部門」19位にLINEマンガで連載中の『百合にはさまる男は死ねばいい!?』がランクイン。本作は、吹奏楽部の2人の女子部員と1人の男子を取り巻く「百合」、つまり女性同士の恋愛をメインに描いた青春群像劇。2021年3月に連載が始まるとじわじわと話題になり、今年5月には単行本を上梓。9月には3巻が発売になるなど、人気作品となっている。「百合」というジャンルの魅力にとどまらず、「正統派青春吹奏楽マンガ」としても人気を博し、悲願の入賞を果たした本作に迫る。

パッケージのせいで「読まれない」場合も「“読んでもらう”ことの難しさを改めて感じた」

 本作の舞台は高校の吹奏楽部。吹奏楽のなかでも人気が高く花形であるトランペットのパートには、1st、2nd、3rdとポジションがあり、1st奏者はほぼすべての曲でメロディを担当する。本作には、自身が1stを吹くことを誇りに思っていた片桐と、音楽一家に育ち全国レベルの強豪校で1stを吹いていた転校生・相川という2人の女子高生が登場。タイトルに“百合”とあるように2人の恋愛模様を想起させながらも、この年代特有の悩みや葛藤、いらだちなどが丁寧に描かれている。

――「次にくるマンガ大賞2023」の「Webマンガ部門」で19位に入賞おめでとうございます。今の率直な感想をお聞かせください。
蓬餅さん率直にうれしいです。とにかく応援してくださった読者の方々に結果でお返しできてよかったです。

――5000近い作品の中からノミネート作品に選ばれ、さらに入賞を果たされたわけですが、先生ご自身はこの要因がどのようなところにあると思いますか?
蓬餅さんまず、ずっと応援してくださる方の声が根強くあったこと。そして、5月末に単行本の1、2巻が発売した際、1話〜8話を載せたツイート(※当時/現ポスト)がバズり、そこから知ってくださった方が読み進めて、気に入って下さったのも大きいのかなと思います。
――確かにそうですね。Webマンガ連載や単行本などは、「興味のある人が手に取る」という構図だと思うのですが、ツイッター(※当時/現X)などSNSでは、“流れてくる”ものを見る機会もあるため、従来興味のなかった人も思わぬ作品に出会う機会になります。
蓬餅さんとにかく現在、マンガが多いので興味を持ってもらうために、描く側はいろいろ考えて読者の方々に刺さるパッケージに包んで作品を発表すると思うのですが、逆にそのパッケージのせいで「読まない」という選択をされることもあるので…。第一印象を抱いてからその先の「読んでもらう」という行動をとってもらうことが、本当に難しいんだなと改めて思いました。SNSで発表することについては、以前他の作家先生とお話しした際に、「とにかくバットを振り続けることが大事なのかもね〜」と話されていたのですが、その通りだと思います。

気を付けているのは「弱さ」「狡(ずる)さ」も嘘をつかずに描くこと

――以前のインタビューで「(連載を始める際)『LINEマンガで百合作品は(読者をつかむことが)難しい』と言われた」とおっしゃっていました。そんな本作が、昨年「次にくるマンガ大賞2022 Webマンガ部門」に初ノミネート、そして今年は入賞と、この1年で特筆すべき実績を残しました。多くの人々に受け入れられている背景には、どのような理由が考えられると思いますか?
蓬餅さん正直、私としてはまだ実績を残しているとは思えない上に、視野の狭いただの一個人の分析になってしまうので、背景を考えてお答えするのは難しいですね。ただ、女性同士の連帯・友情・恋愛関係に心惹かれる方が増えるのはうれしいです。

――実際多くの人に読まれ、さまざまな意見・感想が寄せられているかと思いますが、その反響をどのように受け止めていますか? またその反響が作品に影響を与えていますか?
蓬餅さんコメントの内容が変わったという印象はないですね。今までより広く多くの方に読んでいただいても、依然としてタイトルと内容の差で驚かれることが多く、驚いているコメントやつぶやきがあると「おっ新規読者様ようこそ〜」と思っています(笑)。コメントによって、マンガの内容が変わるということもありません。いつも「もっと面白く、もっと絵が魅力的な漫画が描ければ!」と思っています。

――タイトルに「百合」と入っているので少し過激な内容も想像したのですが、実際読んでみると、吹奏楽部を舞台にしたまさに青春群像劇。読者のコメント通り、タイトルとのギャップに驚きます。登場人物ひとりひとりの心の機微も繊細に描かれているのですが、これらのエピソードは先生ご自身の経験から生み出されているのですか?
蓬餅さん自分の経験はベースになってはいないのですが、私は人と関わる際に一線引いてしまいがちで。本作の登場人物も、人との交流が上手くできない子たちの話なので、人と関わる際に生まれる自分の弱さや狡(ずる)いようなマイナスな感情も、嘘をつかずに描くようにしています。キャラクターと同世代の子にも読まれているので、若い子に「ダメでも狡(ずる)くても大丈夫だよ」と言ってあげられる、優しい話にできていればいいなと思っています。

気になる相川と片桐の今後「最終的に選ぶのはお互いであってほしいなと思います」

――連載から2年半が経過し、話数も112を超えました。作中に登場する人物も112話のなかで成長していると思うのですが、先生が当初思い描いていたプロットから変化(成長)してきたキャラクターはいらっしゃいますか?
蓬餅さんそうですね…(片桐と相川の間にはさまれる相川の彼氏の)日向もそうですが、一番成長したのは、相川、片桐の横で3rdトランペットを吹いている2年生の吉田かなと思います。連載が続いたら、吉田が巻き返すシーンまで描くぞと最初から計画してはいたのですが、実際に絵にすると想像より感慨深かったです。彼女の巻き返しはまだあるので、連載が…続けばいいですね(笑)。

――人物の成長という意味では、先生が以前のインタビューで「人間関係の中で生まれる尊敬や嫉妬や焦りや諦め…のような感情も好きなんです。(中略)それらを通過して大人になる様子も描きたいです」とおっしゃっていました。相川と片桐は、お互いを想い、悩み、葛藤しながら、少しずつ距離を縮めてる様子が描かれていますが、先生はこの後、2人をどのように成長させていきたいとお考えでしょうか?
蓬餅さんさまざまな人間がいる世界で、いろいろな人と出会って変化も成長もしたけど、最終的に選ぶのはお互いであってほしいなと思います。

――本作を通して、先生が読者に届けたい、伝えたいメッセージとは?
蓬餅さんキャラクターの生き様や選択を見て、なにか心に響いたならうれしいです。

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