オリコンニュース
【話題のマンガ試し読み】消えた“幻の名作”をよみがえらせた熱烈ファン、皿洗いパートから人気マンガ家へ…奇跡の実話
「夢見心地」で描いた本編28話「連載は青春だった」
【LINEマンガ】『雨の日と月曜日』(作画/コマkoma 原作/きみね) (C)Koma・Kimine/LINE Digital FrontierFrontier
【LINEマンガ】『雨の日と月曜日』(作画/コマkoma 原作/きみね) (C)Koma・Kimine/LINE Digital FrontierFrontier
コマkomaさん28話の中に入れられなかったエピソードやはしょったエピソードもあったので、少し心残りはありましたが、読者から「ありがとう」とか「素敵な作品だった」というコメントをいただき、ホッとしました。夢見心地で描いて、幸せに終わりました。
――原作の小説を書いたきみね先生とは、何かお話されたんですか?
コマkomaさん「『雨の日と月曜日』完結記念」というラベルを貼ったワインを送っていただきました(笑)。「(連載は)ホント、青春だったよね」って話していて、なんというか、甲子園のマウンドで抱き合っているような感覚でしたね。
――そもそも本作の連載は、コマkoma先生が、原作小説の熱狂的なファンだったところからスタートしました。
コマkomaさんはい。ある小説投稿サイトで見つけたんですけど、1話目の冒頭、落ち着いた文章でのしっとりとした始まり方に引き込まれ、その後も物語の世界観に魅せられて、話の更新を楽しみに生きていたくらい好きでした。
その後、小説は「主人公2人のその後の展開を期待させるものすごくいいところ」で突然、更新が止まり、未完のままサイトからも撤退してしまう。だが、好きが高じて書き溜めたファンアート・ファンレターを原作者きみね先生に送ると、そこから交流がスタート。そしてあるとき、先生から「あのお話の続きを書いています」というメールが届き、後日コマkoma先生は、数年越しに待ち望んだ『雨の日と月曜日』の完成版を目にすることになった。
プレッシャーよりもこの素晴らしいお話を世に知ってもらえることのほうがうれしい
【LINEマンガ】『雨の日と月曜日』(作画/コマkoma 原作/きみね) (C)Koma・Kimine/LINE Digital FrontierFrontier
【LINEマンガ】『雨の日と月曜日』(作画/コマkoma 原作/きみね) (C)Koma・Kimine/LINE Digital FrontierFrontier
コマkomaさん私から再開をお願いすることはありませんでした。ただただ本当に作品が大好きで、先生のこともリスペクトしていたので、作品のどんなところが好きだったかを綴ったメールを送ったり、チャットで他のファンの方も交えて好きだった場面の裏話をお聞きしたり。どれだけ自分が作品を愛していたかということはお伝えしていました。続きが読めなくても、この人と交流できていればいいという気持ちでした。
――そして、きみね先生からメールが届き、後日完成した作品が届いた。
コマkomaさんメールをいただいたときは、もううれしくて。なんか叫んだと思います、変な奇声(笑)。作品が届いてからも、うれしすぎて、もったいなさすぎて、しばらく読めませんでした。読めると思っていなかったものがそこにある…泣きました! そして読んでみると、数年のブランクがあったけれど、ちゃんと回収してくれていて。納得できる終わり方で、感動してまた泣きました。
――そんな大好きな作品をLINEマンガで連載できることになったのも、奇跡のような歓喜の展開ですよね。
コマkomaさんツイッターに描いていた私のオリジナルマンガを読んでくれた編集さんに声をかけていただいて、「もし、私がマンガ家になれたら絶対いつか描きたい原作がある」とお話したところ、編集さんが「やりましょう」と言ってくださって。webtoon作品も、シリアスなマンガを描くのも、コミカライズも、商業作品も、すべてが初めてだったんですが、それらのプレッシャーよりも、この素晴らしいお話を世に知ってもらえることのほうがうれしくて。それくらい、“ファン心理”のほうが強かったです。
――本作が“幻”でなくなる過程は、コマkoma先生の熱意あってこそだと思います。今、ご自身もたくさんのファンに支えられるようになって、どう感じますか?
コマkomaさんすごく不思議ですよね。イラストやオリジナルマンガなど、自分が楽しいことを地道に続けていたら、ザワザワ人が集まってきてくれて。それを見ていたメディアの人がなんか面白いことやっているぞと寄ってきてくれて。
1年半くらい前までパートで皿洗ってた人が、今は8万5000人に向かって「おはよう」とか言っている(笑)。SNSの時代ならではだなって思います。中国の方からもコメントをいただいたりするので、世界とつながっていることも感じていますし、批判も賞賛もダイレクトに来て、良くも悪くもファンの声が伝わりやすいですし、ファンとの交流が密になったのもSNSの時代ならでは。昔はファンアートを書いて送ったり、二次創作としての同人誌を作ったりくらいしかなかったですけど、なかなかハードルが高かったですから。
「外伝」では、原作から省いた“イチャイチャ”を「本当は一番描きたかったところ」
【LINEマンガ】『雨の日と月曜日』(作画/コマkoma 原作/きみね) (C)Koma・Kimine/LINE Digital FrontierFrontier【LINEマンガ】『雨の日と月曜日』(作画/コマkoma 原作/きみね) (C)Koma・Kimine/LINE Digital FrontierFrontier
【LINEマンガ】『雨の日と月曜日』(作画/コマkoma 原作/きみね) (C)Koma・Kimine/LINE Digital FrontierFrontier
コマkomaさん原作で珠ちゃんは「雨が好き」と言っているので、雨の描写は大切に考えました。前半は、雨は寂しいとかつらいとか、絶望をイメージするシーンに降らせていたんですが、後半に向かうにしたがって癒やしの雰囲気のときに表現するようになり、最後は幸せな雨で終わらせることができた。最初から意図していたわけではないのですが、雨の意味をグラデーションのようにできたのは、よかったかなと思っています。
――雨の描写は、映像的な視覚効果をもたらすwebtoonの縦スクロール仕様にもマッチしていたように思います。
コマkomaさんそうですね。ただ上から降らせるのではなく、スクロールに合わせて流れるように描くというふうに工夫したり、スクロールがどのように心情に響いてくるかを考えながら描きました。
――縦スクロールならではの醍醐味ですね。
コマkomaさんオールカラーであることも大きかったです。ラブシーンではピンクを使うことが多いと思いますが、本作では緑を使うようにしたんです。なぜかというと、雨が映えるから。そこに黄色いフラッシュを光らすとすごく温かいイメージになって、深まる心情を表現できる。カラー作品はこれまで描いたことがなくて、色を意識したのは初めてだったので、たくさんの発見がありました。
――人物の動きもそのひとつではないでしょうか?
コマkomaさんはい。16話で風太が昌也に刺青を見せるシーンでは、腕がニョキッと出るように、コマに収まらずに描いたんですが、映像とマンガをミックスして出すというような新しい表現ができるのはwebtoonの面白さだなって思いました。
――本編の好評を受けて、4月9日から短期連載の「外伝」がスタート。これもコマkoma先生の“圧倒的熱意”から生まれた企画だったのでしょうか?
コマkomaさんいえいえ(笑)、編集さんからのアイデアでした。私は28話でやり切ったと思っていたんですけど、言われたときはやっぱりうれしくて「やってもいいの?」って(笑)。さらに、きみねさんに相談したら「じゃあ、私も新作このタイミングに出すわ」と言ってくれて、うれしくて、また泣きました。
――「外伝」では、本編完結後の2人が描かれています。告知の文言の「糖度高めなのでご注意ください」が印象的でした。
コマkomaさん本編ではつらいシーンが多くて、明るくイチャイチャするシーンをあまり描けなかったんですよ。読者から「もっとイチャイチャしているところが見たい」という声をいただいていたし、私自身もそこは原作から省いたエピソードとして一番描きたかったところだったので。「外伝」では、風太さんがまわりの目も気にせず珠ちゃんをただただ溺愛しています。あれだけ本編で“ツン”としてた男が、そんなに“デレる”?っていうくらい(笑)。
――ここまで拡がると、いずれ映像化の話も来るかもしれないですね。
コマkomaさんえーー! マジでーーー!?!?!? 夢に見ちゃうから、そんなこと言わないでくださいよ!(笑)。でも、きみねさんの原作は、脇役もちゃんと立っているし、構成も素晴らしいし、とにかく秀逸なので、どう転んでもいい作品になると思いますけど…。えーー? えーー? 風太を柳楽優弥さん、珠恵を黒木華さんでやってくれないかなぁ(笑)。
取材・文/河上いつ子