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猫のウルウル真っ黒な目、実は“瞳”がなかった…立ち退き物件から保護、猫風邪の放置が原因か?
“立ち退き物件”から保護した猫、真っ黒なのは眼球ではなく“膜”だった
そして昨年の秋、6件目の保護依頼があった。やってきた猫は全部で8頭。半分はメス猫で、なんと全員が妊娠している。7頭を保護場所へと振り分けて、残るは1頭。その猫が、尋常ではなかった。
なぜだか、その猫の眼球はウルウルで真っ黒。つぶらな瞳というには、どうにも不自然だった。わずかに上下に動いているものの、何かがおかしい。
「すぐに眼科の専門医の元へ行って、診てもらいました。すると、真っ黒なのは眼球ではなく、黒い膜。この子には眼球がなかったのです」
目を覆った黒い膜は、癒着していて取れない。もちろん、猫は全盲だった。
「もっと早くに治療していれば、この子の目は光を失うことはなかったでしょう。実は猫って、風邪を引いたのを放置していると失明してしまう子が多いんです。この子のように膜がはって癒着してしまうと、眼球に酸素が行き渡らず、失明します」
差し押さえにあった元の飼い主は、多頭飼育のうえ、不妊・去勢手術もしていなかった。おそらく、猫たちが病気になっても病院に連れて行くようなことはなかったのかもしれない。
「外で生きていた猫なら、様子がおかしければ誰かが手を差し伸べ、病院に連れて行ってくれる場合もあるかもしれません。でも室内で飼われていたら、飼い主以外は異変に気が付かない。飼い主の一存で、猫たちの健康も命も左右されてしまいます」
盲目でもトイレだって失敗しない、驚きの猫の感覚「これも個性の一つ」
失った光を取り戻すことはもはやできないが、保護した以上「幸せは約束する」と『ねこけん』は決意している。
「失明してしまったのはとてもかわいそうですが、猫はもともと目が悪い生き物で、感覚で生きているところがあるんです。これまでにも、こうした多頭飼育崩壊現場から盲目の猫が保護されたケースはいくつもあって。でも、みんな目が見えなくてもトイレを失敗しないし、キャットタワーも登れる。猫じゃらしでも遊ぶこともできるんですよ。だから、この子だって普通の猫と変わらない。そんなに不自由はないと思いますし、個性の一つ。これから幸せになってもらえるように、ケアしていきたいと思います」
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