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汚れたドレッド状態の犬が保護されふわふわに激変、失明した目も光を取り戻す
劣悪な環境で暮らし目も見えない、なのに人間が大好きだったちーちゃん
ちーちゃんがいた現場は、「とにかくすごい、めちゃめちゃ汚い」と溝上代表も驚くほど劣悪な環境だった。犬猫のケージは糞尿にまみれ、臭いもひどい。飼い主は30代の夫婦で、幼稚園に通う子どももいたが、家のローンが払えなくなって裁判所から差し押さえされたのだという。ここから、子猫を含む犬猫14頭が保護された。今年の7月のことだ。
保護されたときのちーちゃんは、異臭を放ち、汚れた毛は伸び放題。まるで「うんちのドレッド」のようになり、皮膚病も患っていた。白濁した目は長らく放置されていたらしく、見えていないようだ。
「毛が目に入る回数が多いと、白内障を発症しやすくなります。ちーちゃんの毛は伸び放題だったので、それが原因でしょう」
劣悪な環境で、目も満足に見えない。それでも、ちーちゃんは人間が近づくと、ぴょんぴょん飛び跳ねて喜んだ。
「人間が少し触っただけで、おしっこをもらしちゃうんです。いわゆる嬉ションというものですね。それはきっと、何年も人に触られることがなかったからだと思います。飼い犬にも関わらず、この子は一体どれだけ悲しい思いをしたのか…。しかも、こんなひどい状態の犬や猫を飼い主のお子さんは見ていたということですから。それが本当に、心が痛いです」
保護され奇跡の復活…光を取り戻し、ふわふわ巻き毛の甘えん坊に
ちーちゃんも、汚れきった毛をきれいに洗い、トリミングを施してすっきりした姿に。そして、患った目を診てもらうため、眼科の権威の元へ。2人の先生に手術をしてもらい、ボランティアメンバーの元で穏やかな保護犬生活を送るうちに、ちーちゃんはなんと再び光を取り戻すことができたという。
『ねこけん』のブログには、見違えるような姿になったちーちゃんが、ときどき登場する。うんちのドレッド状態だった毛は、本来のふわふわの巻き毛に。見えなかった目は黒々と輝き、口元はまるで笑顔を浮かべているようだ。
あんな目に遭いながらも、抱っこされるのが大好きで、名前を呼ぶと膝に飛び乗ってくる。顔をすりすりする様子も愛らしい、とびきりの甘えん坊になった。あの汚いケージの中ですら、人間が近づくのを喜んでいたちーちゃん。やっと、本来の犬の幸せを享受できるようになった。
「本当に、人間がごめんね…と言うほかありませんでした。ちーちゃんは今も嬉ションするし、トイレがなかなか覚えられないけれど、それも訓練で改善されるでしょう。この子はもう二度と悲惨な生活をすることはないし、二度と不幸にしてはいけないと思っています」
ちーちゃんたちを劣悪な環境で飼っていた飼い主は、今頃どんな生活を送っているのか。ただ、人間ならば何とか手の打ちようはあっても、彼らの“物”として差し押さえられた多くの犬猫は、放っておけば愛護センター送りになり、そのまま殺処分されてしまう可能性も高い。差し押さえ物件に限らず、多頭飼育崩壊に陥り、動物が不幸になるケースが引きも切らない。ブログには「飼いきれないのであれば、新たな飼い主を探してほしい。あんなひどい状態にしてまで、家に縛りつけておくのは…」と、切実な思いが綴られている。
現在、ちーちゃんの新たな家族探しは始まったばかり。これからのちーちゃんの未来が、幸せで温かいものであることを願うばかりだ。
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