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(更新: ORICON NEWS

本当に売れるのか不安だった…『白湯』発売に「待ってました!!」の声続出、メーカーも“想定を上回る出荷数”に驚き

  • 『おいしい水 天然水 白湯』

    『おいしい水 天然水 白湯』

 アサヒ飲料が1日、ホット専用のペットボトルウォーター『おいしい水 天然水 白湯』を発売した。“白湯が体に良い”と言われるようになって久しいが、これまで売り場で見かける機会は少なかった。同社内でも「“天然水を温めただけ”の商品が本当に売れるのか?」などと疑問の声が上がっていたが、早くも想定を上回る出荷数に担当者も驚いているという。ありそうでなかった“白湯”を商品化した狙いとは。

輸入、備蓄、健康、美容… 形を変え、ニーズを広げてきた“水市場”は過去最大規模に

 「アサヒ おいしい水」ブランドのルーツは、1983年に六甲山の良質な天然水をボトルに詰めた『六甲のおいしい水』。元々ハウス食品が行っていた製造・販売を、2010年にアサヒが受け継ぎ、現在まで販売を続けている。'83年の発売当初は、“水を買って飲む”という習慣がなかった日本で、家庭用ミネラルウォーターの先駆け的な存在だった。

 それから’80年代後半に海外ブランドの飲料水『Volvic』や『Evian』が登場すると、あえてお金を出して水を買う行為に、おしゃれでスタイリッシュなイメージが定着。以後、災害や健康に対する意識の高まりに連れて、日本人のミネラルウォーターの消費量は年々増加。日本ミネラルウォーター協会によると、一人当たりの消費量は15年間で約2倍に増え、昨年市場規模は過去最大を記録した(‘06:18.4L/年・人、’21:35.4L/年・人)。
「昔と比べて、水を購入して飲用することが生活に定着してきたことが伺えます。また最近では、シリカ水やアルカリイオン水など機能を売りにした商品や、多種多様の輸入水など、ラインナップが充実してきました。お客様のニーズが多様化してきているためだと考えられます」(アサヒ飲料・マーケティング二部・鈴木慈さん/以下同)

 過去に例を見ない規模でミネラルウォーター市場が拡大する中、当然競争激化が進んでいる。’09年に日本コカ・コーラから発売された『い・ろ・は・す』は、自然で環境にやさしい商品設計で爆発的なヒットを記録。’91年発売の『サントリー天然水』も、この30年で40倍の成長を遂げ、昨年過去最高の売上を達成した。

男女に広がる“白湯”ニーズ、鍵はネーミング? 『ホット天然水』は売れずに販売休止

 そこでアサヒが目を付けたのが、“白湯”だ。かねてから消費者よりリクエストが多数寄せられていたというが、なかなか商品化には踏み切れなかった。実はこれまでも、ホットの天然水は市場に存在し、アサヒでも’14年に一度発売していた。しかし、当時の売上は芳しくなく、継続販売には至らなかった。

「今回も、“天然水を温めただけ”の商品が本当に売れるのか、という疑問の声が社内から上がりました。しかし、白湯について調査していくうちに、昔に比べ、飲用経験率が増加している点や、女性だけでは無く、最近では男性も女性と同程度の飲用経験があることが分かりました。また、実際に弊社の男性社員に聞いたところ好意的な意見が多く、改めて白湯にはニーズがあると確信しました」

 健康意識や美容意識の高まりから、女性は「冷えや寒さ対策」として、男性は「朝からカフェインを取りすぎないように、意識して白湯を飲んでいる」といった需要があることが分かった。そのためターゲットは女性に絞らず、全世代男女に向けたデザインに。商品名は、’14年に販売していた『ホット天然水』ではなく、『白湯』を採用した。

「市場には『お湯』や『温めた水』と表現している商品がありましたが、認知が高い『白湯』という言葉にすることで、お客さまに手に取って頂けると考えました。飲用経験率の高さ、社内での動向調査、商品名のわかりやすさなどを踏まえ、改めて社内を説得し、この度発売に至りました」
 本商品は、『おいしい水 天然水』同様、長い時間をかけて地層にしみ込んだ天然水を外気に触れないようにくみ上げ、ペットボトルに詰めている。コンビニやスーパーなどのホット飲料コーナーで、約50~60度に温めた状態で販売中だ。発売が発表されると、SNS上では「待ってました!!」「助かる」「こういうのずっと欲しかった」「体調悪い時に助かる」などのコメントが寄せられ、瞬く間に大きな話題を呼んだ。

「大変ありがたいことに、好評のお声を多数いただいております。同時期に発売した当社他商品と比べても、SNS上だけでも10倍程度の反響を頂いており、想定を上回る出荷数となっております。弊社ではほかにも、ラベルが小さいシンプルecoラベル、ラベルが全くないラベルレスなど、環境配慮型商品にも力を入れています。このような取り組みについても知っていただく機会を増やし、よりお客様の身近なブランドに成長させていきたいと考えています」

 “タダ同然”だった「水」は、いまや安全・健康・美容などと付加価値を付け、“商品”として多様なニーズを獲得している。今度は「白湯」が、新たな商品価値を確立していくのだろうか。年々勢いを増す“水市場”の動向に今後も注目していきたい。

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