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「隣は君の居場所」3年ともにした相棒亡くした保護猫、空けたスペースに涙が止まらない
頼れる兄貴・パン君とシャーシャー猫・ピーポー、兄弟以上の絆で結ばれた2匹
「パンくんが1歳の頃に『ねこけん』でオペ(去勢手術)をして、元居た場所に戻しているんです。その後、首のケガでうずくまっていたところを保護。その旨を張り紙で伝えたのですが、お世話していた方からお礼のメッセージをいただくほど、地域で愛されていました」
「環境が変わるとアレルギーが治る子も多い」というだけあって、保護されたパン君の首は治療後、少しずつ落ち着きを見せる。そうしてシェルターに暮らし始めたパン君だったが、譲渡会でなかなか縁がつながらず、気づけば約3年の時が経っていた。だが、パン君は物静かで優しい猫。後から来たどんな猫でも受け入れ、シェルターの兄貴として慕われた。
そんなパン君に思いきり懐いたのが、まったくもって人馴れしないキジトラ猫・ピーポーだった。ピーポーは肉球を真っ赤に腫らして動けず、ある警察署に保護されたものの、“落とし物倉庫”のようなところでうんちまみれになっていた猫。まさしく野良として生きてきたことを伺わせる、シャーシャー顔がトレードマーク。だが、それでもなぜか愛嬌があり、『ねこけん』のブログでも人気だった猫だ。
ピーポーは優しい兄貴パン君が大好きなようで、2匹はいつも一緒。兄弟以上の親友、一心同体でシェルター生活を送っていた。そうして、ピーポーもまた、『ねこけん』で約3年を過ごした。
突然のつらい別れ、「パン君、ピーポーは寝ているんじゃないんだ」
3月26日、パン君の亡骸がシェルターに戻り、お別れの会が開かれた。いつものポジションに収まるピーポーの姿に、パン君は「なんで起きないの?」というような戸惑いの表情。メンバーは「パン君、ピーポーは寝ているんじゃないんだ」と、「今日でお別れなんだ」と説明をしたという。
約3年を共に過ごした相棒を亡くしたパン君。だが、そんなパン君をあるメンバーが家族に迎えることになった。
「そのメンバーは、ピーポーの里親を希望していた、最期に家族に迎えてくれた人です。ピーポーは旅立ってしまったけれど、パン君だけでも家族に迎えたいと。パン君は3年もシェルターにいましたが、ピーポーが縁をつなげてくれた。虹の橋を渡っても、大好きなパン君に大きな幸せをプレゼントしてくれたんです」
パン君とピーポーが、家族としていられるように。ずっと先に、いつか再会できるように。パン君が暮らすメンバー宅に、ピーポーのお骨も引き取られた。
日向ぼっこするパン君の隣には、ピーポー分の空間が空いて…
だが、そんなパン君の写真が載った『ねこけん』のブログには、こんなことが書いてある。
「でも…よく見ると パン君の隣…ピーポー分の空間が。
ああ!もしかしたら、時々ピーポーが、こっそり遊びに来ているのかも知れませんね…
今もそっと寄り添っているのかも知れません。
それはパン君とピーポーだけの秘密。パン君にしかわからない、ピーポーの気配…」
長い長い保護猫生活を共にし、一心同体で仲良く過ごした2匹は、いる場所は違えど今も寄り添っているのかもしれない。優しい家族に見守られながら、ピーポーの気配を感じながら。パン君にはピーポーの分まで長生きしてほしい。
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