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「大丈夫だから、死なないから」元おニャン子・内海和子、10年に及ぶパニック障害の日々

  • アイドルとして活動する娘・ゆりあんぬさんがテレビで整形と壮絶な親子ケンカの日々を告白。大きな注目を集めたが、現在は「少しずつ理解できるようになってきました」と話す内海さん。

    アイドルとして活動する娘・ゆりあんぬさんがテレビで整形と壮絶な親子ケンカの日々を告白。大きな注目を集めたが、現在は「少しずつ理解できるようになってきました」と話す内海さん。

 昨年9月、自身のブログでパニック障害を公表した元おニャン子クラブでタレントの内海和子。近年、芸能界ではパニック障害での休養が増加傾向にあり、SNSでは体調を気遣うコメントが数多く寄せられていたが、「実は診断されたのは10年前なんです」と長く闘病中であることを明かした。公表の経緯と病気との付き合い方、芸能界ならではの事情を聞いた。

迷いながらもパニック障害を公表…支えは家族とカウンセリング

――パニック障害と診断されたのはいつ頃でしょうか。

【内海和子】 実はだいぶ前から症状はあったんです。10年以上前から。ただ、心臓病の家系なので、こんなに急に呼吸が苦しくなるのは、てっきり心臓が悪いんだと思ったんですよ。だから最初は心臓の検査を何回も受けたんですが、何の症状もなくて、わからなかったんです。でも、とうとうある時、夜中に救急で運ばれる事態になって、その時の先生に「これはパニック障害ですね。これから受診するなら心療内科ですね」って初めて言われました。

――診断されたのは10年前だったんですね。昨年、公表したのには理由がありますか?

【内海和子】 迷いましたね。こういう病気をネタでブログを書くのもすごく躊躇があって、ずっと書きませんでした。ただ最近、あまりにもこういう病気の人が多いように感じたので、じゃあ私が書いてみたら、皆さんどういうふうに返信をしてくれるのかな、と。

――結果はいかがでしたか。

【内海和子】 私が知らなかったことの知識の引き出しが増えました。あぁなるほど。こういうふうに思う人もいるんだとか、こういう病院に行かれてるんだとか。お陰様でそういうファンの人達とのやり取りで、ちょっと楽になってる、救われている面は大きいです。

――公表したことで気持ちが楽になったのは良かったですね。それにしても長い期間、大変な時期を過ごされて…

【内海和子】 そうですね。でも、この病気になってから周囲に言われた言葉で印象に残ってるものがあって。「パニック障害の発作で死なないから、大丈夫」。すごいでしょう(笑)。

――かなり大胆な言葉ですね。

【内海和子】 今では、我が家の合言葉ですよ。パニック障害になった方じゃないとわからないと思うんですけど、その時の息苦しさって絶対死ぬ、もう死ぬって思っちゃうんですよ。私も苦しすぎて「絶対もう死ぬ!」って言うと主人や母や娘が「大丈夫だから、死なないから」って背中をマッサージしてくれるんですよ。本当にそれだけで、スーッとどんなお薬よりも楽になります。決して死ぬような病気ではないってことをいつも自分に言い聞かせて。でも本当に苦しい時はお薬に頼ってもいいと思っているので、処方されたお薬を飲んで。そんな風に自分のペースでパニック障害とうまく付き合っていけるように、今はなっています。
  • 闘病を支えるご家族。娘・ゆりあんぬさん。Instagram(@kazukoutsumi)より

    闘病を支えるご家族。娘・ゆりあんぬさん。Instagram(@kazukoutsumi)より

  • 85歳になる実母。ブログより

    85歳になる実母。ブログより

芸能界という環境でも「昔のタレントは大勢の大人に守られていた」

――芸能界でもパニック障害をカミングアウトされる方が増えている印象です。

【内海和子】 そうですね。でも私は、芸能界にいた頃はパニック障害にはなっていなかったと思います。ただ今思えば、それに近い症状になっている子を周囲で見たことはあります。やっぱり忙しいし、まだ若いし、もう自分をどうしていいかわからない時ってあるじゃないですか。例えばコンサートだと着替えて、ステージ出て、着替えて、ステージ出て、終わったら次の現場に行って……とか。落ち着いて呼吸する暇もないですよね。私もある時突然パスポート持って来いって言われて、気付いたらハワイにいた、とか。もうそういう、記憶にない状況が2〜3年続いていたくらいですから。

――特におニャン子クラブは国民的アイドルでしたから。

【内海和子】 そういう中で、具合が悪くなって、ある日「あれ、あの子何でいないの?」って聞いたら、病院行ってるとか。そういうことが多々あったんですよね。ただ、それがパニック障害だったのかはわからないですけど。苦しそうにハァハァと呼吸してる子を見たこともあるし。今はそれがパニック障害っていう言葉として診断されるようになったんじゃないのかな、と思います。

――過酷なスケジュールの上に、大勢の人に見られるプレッシャー。

【内海和子】 アイドルのプレッシャーは大きいです。一発勝負だったりするので。その時の緊張感っていうのは計り知れないものがあって。しかも、あの子より何としてでも上手に歌いたい、とか。もう色んな気持ちが重なった状態でステージに立ちますから。普通の体調でも息が苦しくなってもおかしくないですよね。

――近年ではネットの普及によってプライベートがなくなっていること、アンチから執拗に攻撃されることも芸能界の問題としてあります。今と昔の芸能界の違いを感じますか?

【内海和子】 昔のタレントは善かれあしかれ、大人たちに守られてましたよね。ファンレターもスタッフが確認してカミソリが入ってないか見て、みたいな感じでファンから届く声にも一定のラインやマナーがあったと思います。今はそれがSNSなどで垣根がなくなったぶん、怖いなと思います。数年前は私もたまにエゴサーチしてましたけど、本当に危険なことだと感じました。そこで言われてることに振り回されますから。それって本来の自分を失っていくんじゃないかっていう心配が非常にあります。

――アンチの声で本来の自分を失う…

【内海和子】 そう。SNSで何か言ってる人は、顔も知らないような人。そんな人に何を言われようが、自分が正しいと思っていればそれでいいんじゃないかなって思うんだけど。それによって振り回されて、自分がなくなっていくのはおかしいと思うんですよね。私はもう絶対エゴサーチしないですから。以前見たものが、根拠がないことを書いてるくせに、娘の学校名まで書いてあったんですよ。運動会でどっちが勝ったよね、とか。さすがに恐怖を覚えました。それ以上に自分の時間を、その恐怖に感じることに使った、使わされた、ってことが本当に腑に落ちないんです。自分の時間がもったいなさすぎる。だったらこういうことに一切振り回されない。今は全然見てないです。

――なるほど。恐怖することに時間を使わされてしまった…と。

【内海和子】 私達のアイドル時代は大人が塀を囲って、守ってくれてました。でも人形のように扱うことじゃないですよ。ちゃんと学校行って、ちゃんと宿題もやって、すごくちゃんとしてたんですよ。おニャン子クラブって。成績表も提出してましたし。

――成績表まで!

【内海和子】 私が勝手に大学を辞めたら、自分のお金で復学しろって怒られました。それぐらいしっかり守られていたから、プライベートもありつつ、おニャン子として活動できたんだと思います。今はそれに比べると自由ですけど、その分、タレント本人にかかるストレスやプレッシャーが大きくなっているように思いますね。
  • 趣味のお料理はプロ並の腕前。正月の手作りお節。(

    趣味のお料理はプロ並の腕前。正月の手作りお節。Instagram(@kazukoutsumi)より

  • ある日の朝ごはん。

    ある日の朝ごはん。Instagram(@kazukoutsumi)より

専門家の診察とアドバイスでパニック障害と更年期をコントロール

――ご病気の原因についてどのようにお考えですか?

【内海和子】 私、何でもやり過ぎなんですよ。しかも、プラス完璧主義者。完璧過ぎるから苦しくなるし、疲れる。少し手を抜けって言われるんですけど、その手の抜き方がわからないんです。

――周囲に頼ったり、甘えたりできない性格なんですね。

【内海和子】 そうですね。担当医の先生もとにかく手を抜け、好きな映画を見に行け、音楽を聴きに行け、って言うんですけど、じゃあその音楽聴きに行ってる間、私のフォローを誰がやってくれるのか、私ができなかったらどうするの? って考えちゃうんです。すると音楽聞きながら、今日のおかず何にしよう?って考える。それがどんどん積み重なっていて苦しくなってくる。で、気付いたらパニック障害で過呼吸になって。まぁ悪循環なんですよね。私のやり方っていうのは。

――どんな時に症状が出るんでしょうか?

【内海和子】 私の場合はストレスの重なりですね。例えば娘と言い合った次の日の朝とか。でも、それは単なる引き金で、ひとつひとつは小さなこと。解決できてなくて。自分の中でモヤモヤしていること。それが続いてどっかーんと息が苦しくなってくる感じですね。今は主に薬でカッとならないようにコントロールして。その感情の急な起伏が抑えられるだけでも、過呼吸の症状って出て来なくなるんですよ。

――心の起伏がポイントなんですね。

【内海和子】 そうですね。症状が出る時や出る前は感情が嵐のように渦巻いて、人に対しても暴言を吐いてしまったり言葉が強くなってしまったり…結局後で後悔するのも自分だから言わなきゃいいのに、つい口に出してしまうんです。何だとー!もう一回言ってみろ!みたいな。わかってるのに。だったらそれを言わないようにするための薬ってあるんですか?って駄目もとで先生にお伺いしたら、感情が高ぶりすぎないようにするお薬はありますよって。今もう何でも薬であるんだなと驚きましたね。それを処方してください!ってお願いしました。

――きちんと心療内科の先生とコミュニケーションをとっていらっしゃる。

【内海和子】 はい。自分の今の精神状態を全て先生に話すので、それに合わせたお薬を遠慮なくいただいてます。薬を飲まないで治そう、とかではないです。海外とかだと心療内科ってもう当たり前じゃないですか。私の家にホームステイしてた留学生なんかも気持ちが苦しいとすぐ心療内科に行ってたんですよね。それを見てたので、何かあったらすぐ私も心療内科の主治医に行く。相談して、カウンセリングを受ける。これが今の私のベースになっています。そして先生からじゃあこれはお薬で治しましょう。これはちょっと考え方の意識を変えてみませんか、とか提案をいただきます。心療内科とカウンセリングっていうのはすごくバランスが良くて。おかげさまで正常を保って更年期を過ごしております。

(取材・文/後藤直子)

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