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誕生から35年の『モンプチ』 “家族”になった猫の食事ニーズを見据えた戦略

 1987年の発売から、長年愛されているキャットフードブランド『モンプチ』。豪華なディナーテーブルに座った猫がクリスタルの器でごはんを食べる斬新なCMが、いまだ記憶に残っている人も多いのでは。“ネコノミクス”と呼ばれる猫ブームや、コロナ禍の巣ごもりで発生したペット需要など、誕生から35年の間にペットを取り巻く環境も様々に変化。フードの変遷と同社がこだわり続ける思いを、ネスレ日本株式会社ネスレ ピュリナ ペットケア マーケティング統括部の今田良子さんに聞いた。

第一次ペットブームのなかブランド誕生 腹を満たすものから猫へ“食事の楽しさ”を提案

 1980年代から90年代にかけて“第一次ペットブーム”が起きたことで、犬や猫がより家族に近い存在としてとらえられるようになっていた。そんな中で『モンプチ』は1987年に発売された。“グルメなネコの贅沢メニュー”をコンセプトに誕生し、それまでにはない高級キャットフードとして他社とは差別化を図った。
「犬や猫は、より家族に近い存在へととらえられるようになりました。それと同時に、フードに関しても、単にお腹を満たすだけの“エサ”を与えるのではなく、自分たちと同じように、ネコちゃんにも美味しい“食事”を与えたいというニーズが高まりました。そのようななか、ネコちゃんにより美味しい食事を提供するため、いち早くプレミアムウェット市場を創造しました」
 厳選した素材、さまざまな調理法(レシピ)を駆使し、使い勝手や鮮度を考えた食べきりサイズのパッケージや魅力的なデザインまで、すべてに特別なこだわりを持ち開発。初代は『モンプチ 缶』で、ブランド初となるテレビCMも当時注目を集めた。

 猫がディナーテーブルに座り、カクテルグラスでごはんを食べる姿は、大きな話題に。今田さんによると、「猫を飼っていなかった方でも、いまだに『モンプチ』と言えばあのグラスをチンチーンと鳴らすCMと言って下さることが多い」とのことで、反響の大きさが伺える。
 CM上の演出とはいえ、カクテルグラスにごはんをよそうという行為こそが、高級感だけではなく、猫にとっての“食事”であることを印象付け、猫であっても食べることを“楽しむ”という概念を作ったといえる。

 ちなみに、2012年には豪華回転寿司レストランをイメージした店内で、猫たちが『モンプチ』缶を楽しむ様子を写したCMも放送。どの皿を食べるか迷う猫たちの表情から、プレミアム感はそのままに、ラインナップの拡大も初CMよりも進化した21世紀のネコグルメを表現した。

「よりおいしいものを…」飼い主たちのニーズを汲み開発

 『モンプチ』誕生と同時期にペットフード業界も新規企業が参入し始めていく。市場拡大の背景には、家族の中での“ペットの立ち位置”が関係する。一人暮らしや高齢世帯の増加、少子化の進行により、ペットを大切な家族の一員としてかわいがる人が増えていく。ペットへお金や手間もかけるようになり、その流れはキャットフードにも。「もっとおいしい食事を食べさせたい」というニーズが高まっていった。ある意味で、ペットが“人間化”してきたという表現が近いかもしれない。家族(猫)に食事を喜んでほしい、そんな需要を先取りしたことが飼い主の心を掴んでいったのだ。
「どんなわがままなネコちゃんも満足できる美味しさと豊富なバラエティ、キャットオーナー様が心から安心して与えられる高い品質です」と商品のこだわり話す今田さん。同社に限らず、キャットフードの形態も、ウェット、ドライなど多様化。生きていくためにお腹を満たすという考えから、より人間の食生活に近いものや、猫もメニューを選べるというトレンドに変化していく。
「人間と同じく“毎日同じごはんでは飽きるのではないか”というオーナー様のネコちゃんへの思いやりから、様々な味やテクスチャ(食感)のウェットフードが誕生しました。選ぶ基準も単に栄養を満たすだけではなく、より健康的なものを、ネコちゃんが喜ぶ美味しいものを与えたいという想いから、人間の食事を選ぶ基準並みに、もしくは、言葉を発せれないネコちゃんを思いやり、それ以上の基準へと変化していきました」

「もっと愛猫を幸せにしたい」家族の絆を深める食体験を提供し続ける

 昨今はキャットフードでも健康や機能性に気を配ったものや、特定の添加物が無添加の製品がトレンドで、人間と同じく健康志向が高まっている。昔は「ねこまんま」と言われ、人間の食事の残りをあげるような片手間感もあったが、今では人間の食事のようなメニューも登場。同ブランドでも、「ライフステージ対応」や、穀物(小麦、とうもろこし、米などの穀物全般)を不使用とした「グレインフリー」など、愛猫の年齢や特長に合わせた商品を取りそろえている。それに伴い、副食のラインナップも増え、キャットフードの立ち位置は確実に変化を遂げていった。

 犬はしつけやトレーニングのご褒美のためにおやつをあげるが、猫はそういった需要が低い。よりコミュニケーションを取りたいという飼い主の想いの高まりから、おやつ製品も新たに誕生する。
「2010年に発売した“手からあげるしあわせ”をコンセプトにした『モンプチ クリスピーキッス』は、当時はまだネコ用おやつの市場が大きくなかったのですが、人間のおやつでも主流となっていた個包装のパッケージを適用したことや特別感たっぷりの可愛いデザインがヒットにつながり、ネコ用おやつ市場の活性化の先駆けとなりました」

 2019年には、『モンプチ ナチュラルキッス』という、スティックタイプでゼリー状のラインナップも発売。他社も含め、近年人気を集めているタイプで、ペットがぺろぺろとおいしそうになめる姿が間近で見られることから、お互いの絆を深めるツールとしても一役買っている。
「スティック状の製品は、よりネコちゃんと近づきたいという、ネコちゃんと家族の距離感の変化から生まれたコミュニケーションのためのパッケージと言えるかと思います」
 価値観と共にフードの種類が変化しても、ブランドを展開する同社の思いは変わらない。
「“美味しいごはんに満足するネコちゃんの姿がしあわせ”をオーナー様に届け、ネコちゃんとオーナー様の絆を深めるお手伝いをしたいという思いは変わりません。今後もこれまでと変わらず究極の美味しさを追い求めるとともに、ネコちゃんとオーナー様の絆を深める新たな食体験を継続的に提供し、さらに50年、100年と愛され続けるブランドを目指したいと思います」

 現在、170種類以上の豊富なラインナップを展開する『モンプチ』。発売から35年、消費者調査や試行錯誤を重ね、常に時代の先を読んだ商品を届けてきた。今後も時代の変化に合わせ、人とネコの思いをつなぐ商品の開発は続く。

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