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人気絶頂期でも休める時代になった芸能界、休業のリスクと“復活タレント”の強固さ
菅田将暉・大倉忠義・深田恭子・LiSA・氷川きよし… 相次ぐ人気者の“休業宣言”なぜ?
働き方改革が芸能界にも及び始めている今らしい例として、その理由はまず「リフレッシュ」だ。大倉忠義は「意欲的に活動しておりましたが、その責任感の強さ故、本人の自覚以上に疲労が蓄積していたことは否めません」とコメント。
氷川きよしは「色々と報道されておりますが、事務所との確執などが原因ではなくて、とにかく22歳からファンの皆様の真心にお応えしたいという思いがエネルギーでしたが、なかなか心と身体が思うようにならなくなり、ご期待にお応え出来ないこともあり、来年からリフレッシュの為お休みを頂く事に致しました」と語っている。
同番組内で、山田孝之も「芝居やってたら、そうなって当たり前だなと思いますね」と共感。「病むっていう言い方をしたらあれですけど、その期間中って自分のことを全部捨てて、ずっと役のことを考えてるんで、精神を自ら分裂させるわけですよね。不安定にさせなきゃいけないので、ずっと続けてたら何が何だか分かんなくなっちゃって当然だと思う」と、休みなしに俳優業を続ける難しさを説明していた。
復帰後、違った魅力放つ広末涼子・若槻千夏・ヒロミ… 休業が“リブランディング”期間に
「ある大物プロデューサーに聞いたのですが、あの山口百恵さんもあまりの多忙ゆえ、移動中の新幹線で倒れ、業界には箝口令が敷かれたそう。また私が取材中に生で聞いた話では、今も第一線で活躍する某人気女優が約10年前、『とにかく休みたい。休ませてもらえない。休ませてください。これ、記事に書いていいですよ』と救いを求めるように私に訴えかけてきたことがあります」(同氏)
また、23歳から約10年間休業していた若槻千夏も「クイズ番組とかが多くて、バカキャラみたいなのがすごい流行ってて、求められることがすごい多くて。それに自分の器が満杯になっちゃって。何したらいいんだろう、みたいな感じ」と悩んだ当時を振り返り「テレビが嫌いになって休んだんです。逃げたんです」と話していた。だがその後、洋服のデザインやキャラクターのプロデュースし、ヒットを連発。現在は再びバラエティ界に欠かせない存在として、『上田と女が吠える夜』『あしたの内村』『トークィ―ンズ』『所JAPAN』などで大活躍している。
自身でも「(ブレイク)当時はどこにでも“広末涼子”っていうイメージがついて回ってきたので、その印象を打破した方がいいのか、乗っかった方がいいのかって考えている内に、自分がいなくなってしまって…/日本の芸能界だけに囚われすぎない、縛られない生き方をしないといけないなって気づくことができました。その経験があったからこそ、23歳から2年間ほどお休みさせてもらうという決断に至って…」と、休業により、ようやく俳優としてスタート地点に立てたと語っていた。
引退や留学を経て、視野広がるパターンも 活躍の場を広げる“復活タレント”の強固さ
内田有紀は、「芸能という世界にずっと身を置き、フレッシュな気持ちや人間らしい生活をおざなりにしていると、だんだん思考が偏っていくと思うんです。そんな状態で豊かな表現をすることが難しくなり、自分でもすごく停滞していたなと思います」と、引退の理由を語っている。そして復帰後は、「まとっていた鎧が外れたような、枠を決めていた自分から解き放たれたような気がしました」と、自身の表現のアプローチに変化があったという。
3歳で芸能界入りし、16歳で一度芸能界引退を発表した吉川愛は、17歳で復帰。「役の背景をもっとしっかり考えるようになったのは、そこからですね。地続きだとその違いに気づくのはすごく難しいことなんだろうなと思います。いつ変えるかっていうタイミングの難しさもありますし。私の場合は離れた時期があり、切り替えるタイミングがあった。そんな意味でも、あの1年間は私にとって大きな意味があったと思います」と語っている。
「石原さとみさんや大島優子さん、ウエンツ瑛士さんなど、休業して留学するパターンもあり、一歩引いた視線を得ることで、より自分らしく生きられることが、“やらされてる感”を嫌う現在の視聴者の支持にもつながっているのでは。ただし、トラブルや不祥事による休業からの復帰を遂げているタレントは数少ない。また、時代によって音楽性が目まぐるしく変化するアーティストも、一度休止期間を設けると、休止前の人気を再び得るケースは見られない印象です」(衣輪氏)
人気タレントも堂々と「休む」と言えるようになった今こそ、休業期間をいかに良い時間にするかは必須。「芸は人なり」と人は言う。人間らしい生活をせずして、いかに“人間”を“芸”で表現することができるかも甚だ疑問である。現在休業している芸能人たちが、それぞれの“人間性”を生活の中に見出し、復帰後さらなる活躍をしてくれることを願いたい。
(文/西島亨)