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「女みたいで気持ち悪い」いじめ、虐待、同性愛…諦めきった中学生を救った光とは?「少しでも抑止になれば」

 同級生からのいじめ、親からの虐待などが表面化し、ニュースとなることは多い。学校や教育委員会、児童相談所などが対策を講じているが、なかなかそうした問題が減ることはない。フィクションであるマンガで、これらの難しいテーマに加え、ジェンダー問題にも踏み込んだ作品がある。LINEマンガで掲載中の『夜明け焦がれる僕たちは。』だ。現在、大きな反響を集める本作の作者ヨシミズさんに、意図を聞いた。
『夜明け焦がれる僕たちは。』/ヨシミズ(外部サイト)
◇LINEマンガにて連載中、毎週金曜更新

幼い頃に母を亡くし、義理の父親と生活をする白川 唯(しらかわ ゆい)。 家ではその義父から虐待を、通う中学ではいじめを受け 光を見出せない日々を送っていた。 そんな中、唯一彼に手を差し伸べる有馬 翔(ありま かける)。 暗闇の中で光を探す、二人の青春の行末は――。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件等とは一切関係はありません。

■マンガの続きはコチラから(外部サイト)

「軽々しく描けない」、それでもマンガのテーマに選んだ理由

 幼いころに母を亡くした中学生・白川唯は、ともに暮らす義理の父親から性的な虐待を受けていた。さらに学校では、義父の希望である長い髪のせいで「女みたいで気持ち悪い」といじめを受け、諦めの日々を過ごしている。そんな中、転校してきた有馬翔が唯一手を差し伸べるが、さらなるいじめ、義父の妨害、そして二人の間の恋愛感情など、様々な問題が待ち受けているのだった。
――本作『夜明け焦がれる僕たちは。』では、義理の父親からの虐待、いじめなど、かなり重いテーマが含まれています。このような内容にしようとした理由はなんでしょう?

ヨシミズさん どんなにつらく暗い境遇からでも、救ってくれる光が必ずあると思っていて。そんな物語を描きたいと思った時に、読者のみなさまに身近な問題として「虐待」「いじめ」を捉えてもらえたら、と考えて設定しました。

――ニュースなどでもそうした問題に注目が集まることが多い昨今ですが、そうしたことも関係していますか?

ヨシミズさん ニュースやドラマ、映画などでも取り上げられるのを目にしますが、私自身は経験がないので、どうしても憶測にマンガ的要素を入れて描いてしまっているのが事実です。それでも本作が少しでも抑止になればと思い、こういったテーマで描かせていただきました。

――このような内容をLINEマンガで連載することに不安は?

ヨシミズさん ありました。虐待、いじめ、同性愛…どれもデリケートで軽々しく描けないものだったので。それでも、チャレンジしてみたいという思いの方が勝りました。

――本作を描いたことで、先生自身の心境の変化は?

ヨシミズさん 当然、想像だけではどうにもならないときもあって、そのときは調べたりしながら描いていました。経験者本人の記事や、経験者から聞いたお話などには自分の想像以上のものや知らなかった出来事がたくさんあって、見聞きしていてもつらくなりました。よりいっそう、世の中からこういった不幸せなことがなくなることを強く願いました。

いじめから救おうとする唯一の友だち、その間に生まれる同性同士の恋愛の葛藤

――唯は虐待やいじめに遭い心を閉ざしていましたが、翔によって徐々に変わっていきます。揺らぎながらも変わっていく心情に心をつかまれますが、描く上で意識したことは?

ヨシミズさん 唯の心情の変化速度です。決して単純な人物にならないように気をつけました。唯の身動きの取れない葛藤を感じていただけたら嬉しいです。

――一方で、真っすぐな翔も、ときに迷いながら唯を救い出そうとします。翔の言葉が唯の心を動かしますが、とくに気に入っている言葉は?

ヨシミズさん 「小さな幸せが続いていくことが本当の幸せ」です。言ってることは当たり前のことなんですけど、けっこう見落としてる小さな幸せがあると思うんです。世の中が小さな幸せで溢れるといいなと思いながら、翔にこの言葉を言ってもらいました。

――そんな唯と翔の間の男性同士の恋愛感情やそれを揶揄する周囲、また女性同士の恋愛の葛藤も描かれています。

ヨシミズさん 私自身、異性が好きとか同性が好きとかはただの個性にすぎないと思ってます。ただ、やっぱり周りの目を気にしてしまうというのは恋愛に限らずあることだと思うので、それがわかっていても難しいところなのかなと思います。

――そうした題材を扱いながらも、単に“BL”と言えるような内容でなく、さまざまな問題を考えさせる内容ですね。

ヨシミズさん できるだけキャラクターの思考や、セリフ、行動が身の回りにいるような人物になるように気をつけました。あまりマンガっぽくならないよう、リアリティが出るように、常に「自分がこのキャラだったらどうするか」を意識して。キャラクターの表情にしても、今そのキャラがどんな気持ちなのかをわかりやすく、かつオーバーな表現にならないように気をつけました。

読者からも多くの反響、「何か少しでも感じていただければ」

――読者からも大きな反響があったと思いますが、いかがですか?

ヨシミズさん コメント欄やSNSに感想を送ってくださる方がいて、本当にありがたいです。とくに、初めてファンレターをいただいたのが衝撃でした。連載しているのが紙媒体ではなくWEB上なので、その分コメントで感想を送りやすいのに、わざわざ手書きのお手紙を送っていただいたことは本当に嬉しかったです。編集部に届いたファンレターを家に送ってもらったのですが、何度も郵便受けを確認しました(笑)。

――ヨシミズさんはSNSやpixivなどで創作漫画を公開していますが、LINEマンガでの連載は今作が初めて。SNSなどとの違いはありましたか?

ヨシミズさん SNSやpixivでよく見ていた漫画は白黒で、横読みのものばかり。今回連載するのは縦読み、しかもフルカラーのwebtoonだったので、正直不安しかありませんでした。その中でまず一番の課題となったのが、横読みと縦読みによる視線誘導の違いでした。今でもそこには特に気をつけるようにしています。

――初連載で、苦労した点は?

ヨシミズさん 連載自体初めてだったので、なかなか後々の展開を考えて話を作るというのが難しかったです。当然ですが、あとから展開を修正できないのがつらい…。連載開始当初、ある程度ストーリーをまとめてはいたものの、今ではまったく違うものになっています(笑)。

――現在は、大人になった唯と翔の物語が連載中です。今後どんな展開を考えていますか?

ヨシミズさん 様々なことを乗り越えてきた今、唯と翔がタイトル通りどのように夜明けを迎えるのか、見守ってくださると嬉しいです。でも本当に、コメント欄やSNSでいただく感想には大変励まされているんです。本作を読んで、何か少しでも感じていただければ幸いです。
『夜明け焦がれる僕たちは。』/ヨシミズ(外部サイト)
◇LINEマンガにて連載中、毎週金曜更新

幼い頃に母を亡くし、義理の父親と生活をする白川 唯(しらかわ ゆい)。 家ではその義父から虐待を、通う中学ではいじめを受け 光を見出せない日々を送っていた。 そんな中、唯一彼に手を差し伸べる有馬 翔(ありま かける)。 暗闇の中で光を探す、二人の青春の行末は――。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件等とは一切関係はありません。

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