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「私とゲームどっちが大切!?」恋人と修羅場になりながら、ソフト3289本フルコンプしたコレクターが語る『プレステ』の魅力と功績

「一生遊ぶことはない」最悪の第一印象を一転させた迷作『LSD』の衝撃

――そもそもPS1との出会いを教えてください。
灼栗両親がゲーム好きで、物心ついた時にはすでにPS1が家にありました。ですが、当時小学校低学年だった自分にとって、あの独特な起動音や、ゲームカセットではなくディスクという異質な存在、親が特に熱心にプレイしていた『I.Q Intelligent Qube』など、PS1に対してとにかく「怖い」「冷たい」「大人向け」といった印象しかなく、特に関心がありませんでした。正直、一生遊ぶことはないとすら思っていました(笑)。

――「遊ぶことはない」という子どもの頃の印象から、関心を持ったのは何かきっかけがあったのですか?
灼栗大学入学後、一人暮らしが始まり、パソコンで『ニコニコ動画』のゲーム配信をよく見るようになったのが全ての始まりです。そこで『LSD』というゲームのプレイ動画を見たとき、「あのPS1に、こんな訳のわからないゲームがあるのか」と衝撃を受けました。それからPS1の全タイトル数を調べて、その数に驚愕して、同時に「これだけの数があるならばまだまだすごいゲームがあるはずだ」と思い、集め始めました。

――フルコンプリートを意識したのはいつごろですか?
灼栗あまり意識はしていなかったのですが、集め始めて早々に、中古ゲームショップの閉店セールで1本50円や100円などほぼ捨て値で販売されていて、そこで600本ほど集まり、コンプリートの可能性が見えました。

――フルコンプリートするまでどのくらいの期間で、総額いくらくらいかかりましたか?
灼栗大学生のころからなので、およそ10年です。総額に関しては、「ちょっと良いグレードの新車が買えるくらい」です。ヤフオク、メルカリ、他オンラインショップが6割、残りが実店舗での購入ですね。買うのが上手な方だったらもっと安くコンプリートできるかもしれません。

――昨年、3289本のソフトをコンプリートしたわけですが、達成感はいかがでしたか?
灼栗「ついにやったか…!」という感じですね。数が数だけに、自分でもあまり信じられなかったです。最近棚に全部並べてようやく実感したところです(笑)。

――ちなみにご家族やご友人の反応はいかがでした?
灼栗家族ではないですが、当時付き合っていた相手に「私とゲームどっちが大切なの!?」とドラマみたいなことを言われたことがあります。即答できませんでした(笑)。

こまめに市場をチェック「いつ来るかわからない『時』を待つのは想像以上に苦痛」

――数あるコレクションのなかで“最も手に入れるのに苦労したソフト”は?
灼栗『あそんで知能アップ』『ザ・マスターズファイター』『みんな集まれ!囲碁教室』『わいわいカート』『わいわい草野球』の5本が同率1位ですね。この5本は、私が収集していた当時、ネットオークション・オンラインショップには一切出回っていなかったので非常に苦労しました。

――市場に出回っていないソフトをどのように集めたのですか?
灼栗毎日のようにオークション・フリマサイトを巡回して、「ジャンクまとめて100本」というふうに出品されている中に紛れていないかなど、数ヵ月間ずっと探していました。仕事が休みの日には県外の店舗にも出向いたりもして、かなり時間を割きました。その成果かわかりませんが、たまたま中古ショップで見つけたり、オークションで出品されたりということが続いてコンプリートに至りました。いつ来るかわからない『時』を待つというのは想像以上に苦痛でした。
――粘り強さ、根気の勝利ですね。昨今、昔のゲームが見直されていることもあり、市場価格が高騰しているようですが、PS1にも影響がありますか?
灼栗そうですね。私の持っているものだと、「ちっぽけラルフの大冒険』、『serial experiments lain』、『ハームフルパーク』が、市場価値が高いといわれていて、5万円を超えていると思います。といっても、この3本は最初期に入手していて、高かったというイメージは全くなかったです。狙って入手したわけではなく、いつの間にか持っていたというパターンですね。
 私見ですが、今は特定のタイトルが一気に高くなっている印象があります。ニッチなジャンル、実は絵がかわいい、壊滅的な操作性(もしくはストーリーとか)、そもそも販売数が少ない、といった要素があると注目されやすく、価格が上がっている印象です。

――ファミコンソフトをはじめ、高額化が進んだ結果、投機目的で購入する人が増え、本当に好きな人が購入できない状況にもなっているといえると思います。この状況をどう思われますか?
灼栗今だとPS storeで配信されているアーカイブスで高額タイトルも安く買えたりします。なのでプレイできるものもあります。ただ、望まれても権利の関係で配信できないものもありますからね…。ブームが起きてしまっている以上、沈静化するまで待つしかないと思います。手に入るのも入らないのも時の運みたいなところがありますから…。

ゲーム以外の企業もソフト開発へ参入「PS1という新しいハードへの期待感があった」

――これまで、レトロゲームというとドット絵のファミコンの印象がありましたが、1994年に発売され、“28歳”となるPS1もその域に入ってきます。
灼栗そうですね。世間的には3Dポリゴンの見た目が最近のものというイメージに繋がるのではないでしょうか。ドット=レトロのような。どこまでがレトロでどこからが最近のもの、という正式な線引きもないですし、各々が思うところがレトロ、という感じでいいかなと思います。

――グラフィックや、動き、操作性、データ量など、現代のゲームは日々進歩しています。現在発売されている『PS5』は本当にリアルで、臨場感あるグラフィックは驚く限りですが、ドット絵だったファミコンからの進化という意味では、『PS1』が出たときの衝撃はすごかったと思います。今考えると過渡期の産物ですが、灼栗さんは『PS1』の魅力をどのようにとらえていらっしゃいますか?
灼栗PS1には3000を超えるタイトルがあり、本当の意味で「老若男女どんな人でも1本は気に入るタイトルがある」と思えるほど、さまざまなジャンルが網羅されています。そこには、開発費が比較的安価だったこともあり、さまざまな企業がこぞって、それまでゲーム業界に参入していなかった企業さえも動かして、開発・発売をした背景があるわけですが、それはPS1という新ハードに対する期待があってこそのことだったと思います。こういった経緯もあって、ゲームの可能性を無限大に引き出したことが、PS1の魅力であり、最大の功績だと思っています。

――確かに、現代につながるゲームへの期待感は、『PS1』によって扉が開かれたと言っても過言ではないかもしれません。最後になりますが、最後に灼栗さんにとって「プレイステーション」とは?
灼栗「小さい頃からそばにいてくれた幼なじみ」みたいな存在ですね、年齢も近いですし(笑)。まだまだ知らないことも多いので、これから全タイトルをプレイして、より深く知っていこうと思います。

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